法人税率はこう変わる!中小企業の税制ポイント

KEYWORDS 中小企業
中小企業にとって法人税は経営に直結する大きなテーマです。特に資本金1億円以下の法人などは「軽減税率」や「特例措置」の対象となるケースが多く、知識の有無で納める税額が大きく変わることも少なくありません。しかし、法人税率の仕組みや中小企業特有の優遇制度は複雑で、改正も頻繁に行われるため、経営者や経理担当者にとっては理解しにくい分野です。
そこで本記事では「法人税率 中小企業」をテーマに、基本的な税率の仕組みから優遇制度の全体像、さらに令和6年度以降の改正内容までを体系的に整理します。また、理解を深める手段としてeラーニングの活用メリットにも触れ、実務対応に直結する学びを提案します。
目次


中小企業向け優遇税制 & 圧縮記帳・特別償却の実務
動画数|9本 総再生時間|101分
本研修では、中小企業が活用できる優遇税制を体系的に解説します。法人税率の軽減や欠損金控除、交際費課税特例などの基本から、令和6年度改正内容、設備投資関連税制の要件や手続きまでを学び、経営課題を税制面から支える実践力を養います。
動画の試聴はこちら法人税率を理解するための基本講座
区分 | 所得800万円以下 | 所得800万円超 |
---|---|---|
中小法人(資本金1億円以下) | 15% | 23.2%(通常税率) |
大法人(資本金1億円超) | 適用なし | 23.2% |
法人税率の基本構造
法人税は法人の所得に対して課税されます。大企業と中小企業の税率は同じではなく、中小法人に該当する場合は軽減税率の特例が適用されます。具体的には、資本金1億円以下の普通法人等については、年800万円以下の所得に対して本来19%の税率が15%に軽減される仕組みです。この軽減税率は、中小企業の資金繰りを助けるために設けられた制度であり、長年延長され続けています。
一方で、所得が800万円を超える部分については通常の税率が課されます。つまり、中小法人でも利益が大きくなれば大企業と同じ水準の税率が適用されるということです。まずは、この基本構造を理解しておくことが重要です。
中小企業と大企業での違い
大企業には外形標準課税や交際費課税など、追加的な負担が求められる制度がありますが、中小企業はこれらの対象外となるケースが多いのも特徴です。特に「交際費等の損金算入限度額」では、中小法人の場合、年800万円まで全額損金算入が可能であり、大企業に比べて有利な取扱いが認められています。
このように、法人税率の水準だけでなく、付随する制度の扱いにおいても中小企業には手厚い支援が用意されています。
中小企業向け優遇税制の全体像
縦の幹から各項目が枝分かれする構造図です。
-
中小企業税制
- 軽減税率 (15%)
- 設備投資 (経営強化税制・投資促進税制)
- 研究開発 (試験研究費控除)
- 圧縮記帳 (補助金・保険金活用)
- 特別償却 (初期投資負担軽減)
軽減税率の特例
先ほど触れた軽減税率(年800万円以下の所得に対して15%)は、中小企業税制の中でも代表的な優遇措置です。適用を受けるためには、資本金1億円以下であることに加え、大企業の完全支配下にないことなど一定の要件を満たす必要があります。また、適用除外事業者(過去3年間の平均所得金額が15億円を超える法人など)は対象外となります。
設備投資・研究開発に関する優遇措置
法人税の優遇制度は、単なる税率の軽減にとどまりません。中小企業が成長のために行う投資や研究開発にも手厚い支援が設けられています。例えば、
- 中小企業経営強化税制:一定の認定を受けた経営力向上設備について即時償却や税額控除が可能
- 中小企業投資促進税制:機械装置やソフトウェアなどに対する特別償却や税額控除が認められる
- 研究開発税制:試験研究費に対する税額控除率や上限額が見直され、活用の幅が広がっている
これらの制度を理解していれば、単に税金を減らすだけでなく、企業の成長戦略に直結させることができます。
圧縮記帳や特別償却の仕組み
中小企業がよく利用する仕組みに「圧縮記帳」や「特別償却」があります。例えば、国庫補助金や保険金を受け取って資産を取得した場合、その収益を一括で課税すると負担が重くなります。圧縮記帳を使えば、受け取った補助金等の金額を資産取得価額から控除でき、課税のタイミングを後ろにずらすことができます。
また、特別償却を利用すれば、通常より早いペースで減価償却を進められるため、投資初期の税負担を軽減する効果があります。これらは財務管理と資金繰りの安定化に非常に有効です。
事例で学ぶ軽減税率と特例の活用
設備投資を行った場合の節税効果
例えば、製造業の中小企業が6,500,000円の設備を導入したケースを考えます。通常の減価償却では数年間に分けて償却しますが、中小企業経営強化税制を利用すれば即時償却が可能となり、その年の損金に一括計上できます。その結果、当期の課税所得を大幅に減らし、法人税額を軽減できるのです。
賃上げ促進税制の活用事例
従業員の給与を増額した場合にも税制上のメリットがあります。中小企業向けの賃上げ促進税制では、給与総額を一定割合以上増加させることで、その増加額の一部を法人税額から控除できます。特に教育訓練費を増やした企業には上乗せ措置があり、人材育成と節税を同時に実現できる仕組みです。
少額減価償却資産の特例利用
中小企業にとって特に身近な優遇制度の一つが「少額減価償却資産の特例」です。30万円未満の資産を取得した場合、合計300万円までであればその取得価額を全額損金算入できる仕組みです。通常であれば資産は数年かけて償却する必要がありますが、この特例を使えば一度に経費計上が可能です。例えば、パソコンや事務機器の購入がこれに該当し、資金繰りの改善につながります。
また、この特例は電子申告を行うことが条件となるケースがあり、今後ますます「電子申告義務化」が進む中で活用のハードルが下がると考えられます。
改正内容を押さえるポイント講座
令和6年度改正の主要ポイント
制度 | 改正内容 | 効果 |
---|---|---|
賃上げ促進税制 | 控除率最大45%へ拡充 | 人材投資・給与増加を後押し |
事業再編投資損失準備金 | 適用期限延長・積立率拡大 | M&Aや事業承継を支援 |
外形標準課税 | 適用法人の範囲を拡大 | 中堅企業やグループ会社も対象へ |
令和6年度の改正では、中小企業に大きな影響を与える点が複数あります。例えば、賃上げ促進税制が拡充され、最大で法人税額の45%まで控除できる仕組みが整備されました。教育訓練費の増加や女性活躍支援に積極的な企業には、さらに上乗せ措置が用意されています。
また、中小企業事業再編投資損失準備金も延長・拡充され、M&Aや事業再編を通じた成長戦略を後押しする内容となっています。これらは単なる税負担軽減にとどまらず、経営の方向性そのものを変える力を持つ改正です。
中小企業への影響と留意点
一方で、外形標準課税の見直しにより、資本金が1億円以下でも資本金と資本剰余金の合計額が一定以上の法人は対象となる見込みです。スタートアップやグループ企業にとっては将来の課税環境が変化する可能性があり、早めに対応を検討する必要があります。
学んだ知識を実務に活かす方法
eラーニングで体系的に学ぶメリット

法人税制は頻繁に改正され、紙の書籍や過去の情報ではすぐに陳腐化してしまいます。eラーニングを活用すれば、最新の法改正や事例に基づいた学習が可能となり、税制知識を常にアップデートできます。また、経営者だけでなく経理担当者や若手社員が同じ内容を学ぶことで、社内に共通認識を作りやすいというメリットもあります。


中小企業向け優遇税制 & 圧縮記帳・特別償却の実務
動画数|9本 総再生時間|101分
本研修では、中小企業が活用できる優遇税制を体系的に解説します。法人税率の軽減や欠損金控除、交際費課税特例などの基本から、令和6年度改正内容、設備投資関連税制の要件や手続きまでを学び、経営課題を税制面から支える実践力を養います。
動画の試聴はこちら申告書作成での活用法
優遇税制の活用には、別表の記載や添付書類が必要です。例えば、中小企業経営強化税制では工業会の証明書や経済産業局の確認書が欠かせません。これらを正しく準備するためには、実務の流れを理解しておくことが重要です。eラーニングでは、実際の申告書記載例を用いた演習型講座もあり、単なる知識ではなく実務力として身につけることができます。
将来の資金計画につなげる方法
税制の知識は、単に申告業務をスムーズにするだけでなく、経営計画にも直結します。例えば、特別償却を利用すれば当期の利益を圧縮できる一方、将来の減価償却費は減るため、中長期的な利益推移を見据えた資金繰り計画が必要です。こうした視点を持つことで、税制を単なる「節税テクニック」ではなく「経営戦略」として活かすことができます。
まとめ
中小企業にとって法人税率の理解と優遇税制の活用は、経営を左右する重要なテーマです。
- 年800万円以下の所得に対する軽減税率(15%)
- 設備投資や研究開発を後押しする特例制度
- 少額減価償却資産や圧縮記帳などの実務的な仕組み
- 令和6年度改正による賃上げ促進税制の拡充
これらを体系的に学ぶことで、税負担を軽減するだけでなく、経営戦略に税制を組み込むことができます。そして、その学びを支える最適な手段がeラーニングです。常に最新情報を反映し、申告書の書き方から経営戦略まで一貫して学べる環境を活用することで、中小企業は安定した成長を実現できるでしょう。