研修の原則参加とは?社員が知っておくべきポイントを解説

「研修の原則参加とは?」
「社員が知っておくべきポイントは?」
「研修に参加できない場合はどうすればいいの?」

このようにお考えではありませんか?

原則参加の研修とは、業務命令で参加することが強制されている研修です。研修に参加した時間は、就業時間外であっても労働時間となります。一方、自由参加としている研修は、労働時間として取り扱われません。

業務命令で参加することが強制されている社内研修や勉強会などの期間中に年次有給休暇を取得したい場合、労働基準法に基づいて請求できます。また、原則参加の研修とはいえ、研修に参加できない場合は、上司に相談してから必要な手続きを行いましょう。この記事では、研修の原則参加や社員が知っておくべきポイントなどについて解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

研修の原則参加とは?

企業が社員に行う研修には、原則参加しなくてはならない研修と自由参加の研修があります。ここでは、それぞれの研修について紹介します。

原則参加の研修

原則参加の研修とは、会社による業務命令で参加することが強制されている研修のことを指します。研修に参加した時間は、就業時間外であっても当然ながら労働時間となります。

会社が研修への参加を義務づけた場合、原則、社員が拒否することはできません。そのため、研修に参加していた時間にも給与は支払われます。就業時間外に行う研修を強制する場合の条件は、以下のとおりです。

  • 時間外労働の契約を結んでいる
  • 業務と直結した研修の内容である
  • 時間外の労働時間となるため通常の給与にプラスして支給する

この場合、会社と従業員との間で「事業上の労使協定(36協定)」を締結し、労働基準監督署に提出していなければなりません。

また、参加が明示的に会社から指示されていない場合でも、職務内容に直結する研修への参加は、原則として従業員としての職務遂行となるため労働時間となるのです。自由参加であることが明示されていない場合を除きます。

自由参加の研修

会社が自由参加としている研修については、労働時間として取り扱われません。自由参加であるかどうかは、会社が自由参加であるといわれるだけでなく、そのほかの事情も考慮し実質的に判断します。

会社が自由参加としていた研修を欠席した場合、欠席を理由に不利益な制裁を与えると、研修への参加を強制していると判断されるでしょう。そのため、このような研修への参加に対しての参加は労働時間となります。

社員が知っておくべきポイント

会社が行う研修に対し、社員が知っておくべきポイントを紹介します。

社員側の目的は「スキルアップ」

会社による社内研修や勉強会、セミナーなどに参加することは、自身のスキルアップにつながります。知識や技術を身につけたり、資格を取得したりすることで目標とするキャリアプランに近づくことができるでしょう。

また、自己啓発のようなセミナーや研修への参加も役立ちます。会社側が行う目的は、働いていくうえで必要なスキルや要件を満たすために、研修を通して人材教育や人材育成を行うことです。

年次有給休暇の取得

会社による業務命令で参加することが強制されている社内研修や勉強会などの期間中に年次有給休暇を取得したい場合、労働基準法第39条に基づいて請求できます。

ただし、会社側には「時季変更権」の権利があり、社内研修や勉強会などの期間中に年次有給休暇を取得することで事業の正常な運営を妨げる場合は、休暇の時期を変更することが可能です。

事業の正常な運営を妨げる場合とは、以下のようなことが挙げられます。

  • 短期間の研修期間であり、その研修によって社員が重要な知識やスキルを習得する必要が高い場合
  • 研修期間中に年次有給休暇を取得すると、研修の目的が達成できなくなる場合 など

研修の重要性や期間、社員の研修参加の必要性を考慮して、年次有給休暇の取得を認めるかどうかを会社側は判断するため、しっかり相談しましょう。

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研修に参加できない場合

研修は社員のスキルアップや業務遂行能力を向上させる重要な場ですが、やむを得ない理由で参加できない場合もあります。その際には、対応を後回しにせず、早急に適切な行動を取ることが重要です。研修への参加が難しいとわかった時点で、上司や研修担当者へ連絡し、事情を説明することから始めましょう。

たとえば、体調不良であれば「医療機関を受診した証明書が必要か」、家庭の事情であれば「どのくらい参加が難しいのか」など、具体的な情報を相手に伝えることで、必要なサポートを得られる可能性が高まります。また、単に「参加できない」という事実を伝えるだけでなく、自分が果たすべき責任をどのようにカバーするかを相談する姿勢が大切です。たとえば、研修で学ぶべき内容を事前に把握しておき、資料や録画を活用することで後から補える準備を進めることも効果的です。

速やかに上司や担当者に連絡を行う

研修に参加できない場合の最初のステップは、速やかに上司や研修担当者に連絡を取ることです。参加できない理由を簡潔かつ明確に伝えることで、相手が状況を把握しやすくなります。理由が体調不良であれば、当日の朝に連絡をするのが基本ですが、状況によっては事前にわかっているケースもあるでしょう。その場合は、できるだけ早い段階で相談することが大切です。

また、研修の性質によっては、参加しないことで業務に影響が出る場合があります。たとえば、新しい業務のためのスキルを習得する研修や、法律に関する内容を扱う研修などの場合、内容を把握しないままだと業務に支障をきたす可能性があります。そのため、参加できないことが確定した時点で、会社としての対応策を確認しておきましょう。録画や資料が後日提供される場合が多いですが、それがない場合には、同僚や上司から研修内容を聞いて補う必要があります。

さらに、連絡時には、「その後の自分の対応について」具体的に相談することも欠かせません。例えば、「この研修で扱うテーマについて、補足で勉強が必要な場合、どのように進めるべきか」を上司に確認し、自分が取るべきアクションを明確にしておくことで、参加できなかったことへのリカバリーがスムーズになります。

参加できなかった後にやるべきこと

研修に参加できない場合、事前の連絡に加えて、その後のフォローが非常に重要です。欠席したことで学ぶ機会を失ってしまうだけでなく、業務の中で必要なスキルや知識に穴ができてしまう可能性もあるため、積極的に対応することが求められます。

まず、研修担当者や上司に欠席者向けの資料が用意されているかを確認しましょう。資料や録画があれば、それらをしっかりと読み込み、研修に参加した場合と同じレベルの知識を得られるよう努めることが大切です。ただし、資料だけでは研修中の具体的な事例や説明がわからないことも多いため、研修に参加した同僚に補足を依頼するのも有効です。

また、参加できなかった内容について、自分で調べたり関連書籍を読んだりすることで補完する努力も欠かせません。たとえば、法律や業務手順に関する研修であれば、上司に確認しながら実際の業務で試しに実行してみることで、実践的に学ぶことができます。さらに、必要に応じて、後日実施される類似の研修や別のセミナーに参加する機会を探るのも良いでしょう。

参加できない事情があったとしても、その後の積極的なフォローと対応によって、学びを取り戻すことができます。このような姿勢を持つことで、研修を欠席したことによる影響を最小限に抑えることができるでしょう。

まとめ

この記事では、会社が行う原則参加の研修や社員が知っておくべきポイント、そして研修に参加できない場合の対応手順について解説しました。

研修に参加できない場合は、速やかに上司や研修担当者に連絡を取り、参加できない理由や今後の対応について相談することが大切です。その後のフォローとして、資料や録画が提供されていれば、それらを活用して研修内容を補完しましょう。また、参加した同僚に補足説明を依頼することで、実際の業務に必要なスキルや知識を効率的に吸収することができます。こうした積極的な対応は、研修に参加できなかったことによる影響を最小限に抑えるために欠かせません。

会社による研修や勉強会は、単なる義務ではなく、将来のキャリアや業務効率の向上に直接役立つ貴重なチャンスです。研修に参加することで、知識や技術を身につけたり、資格を取得したりして、目標とするキャリアプランに近づくことができます。たとえ一時的に参加できない状況があったとしても、積極的な姿勢で学びの機会を最大限に活用し、自身の成長につなげていきましょう。