そのニュース、本当に正しい?偽情報・フェイクニュースに騙されないための心得
近年、フェイクニュースや偽情報が社会的な問題となっています。特にインターネットやSNSの普及により、情報の拡散スピードが加速し、真偽が定かでないニュースが一瞬で広がることも少なくありません。
例えば、新型ウイルスの流行時には「○○を食べれば治る」といった科学的根拠のない情報がSNSで拡散され、多くの人が混乱しました。また、政治の世界では選挙の前に誤った情報が流され、有権者の判断に影響を与えることもあります。
このようなフェイクニュースは、人々の認識や行動を誤らせるだけでなく、社会全体に大きな混乱をもたらす可能性があります。では、なぜフェイクニュースはここまで広がるのでしょうか? そして、私たちはどのようにして偽情報に惑わされず、正しい情報を見極めればよいのでしょうか?
この記事では、フェイクニュースの現状とその影響、さらに私たちが身につけるべき「情報リテラシー」について詳しく解説します。
目次
フェイクニュースの影響力と現状
フェイクニュースは単なる「誤った情報」ではなく、社会に大きな影響を与えることがあります。特に、政治・経済・健康・災害などに関する偽情報は、人々の行動や判断に影響を及ぼし、時には社会的な混乱を引き起こすことさえあります。
フェイクニュースがもたらす社会的な影響
フェイクニュースは、以下のような分野で深刻な影響を与えます。
- 政治への影響
- 選挙中に、SNS上で多数のフェイクニュースが拡散され、有権者の投票行動に影響を与えた例があります。
- 「〇〇候補が犯罪を隠している」「〇〇候補は外国政府とつながっている」といった根拠のない情報が広まり、世論を操作する手段として利用されるケースもあります。
- 経済への影響
- 株式市場では、偽のニュースが流れることで株価が急落・急騰することがあります。
- 例えば、ある大企業の倒産を予測するフェイクニュースが拡散された結果、投資家がパニックを起こし、実際に株価が下がる事例もあります。
- 健康への影響
- 健康や医療に関するフェイクニュースは、特に危険です。
- 例えば、「〇〇を食べるとがんが治る」「〇〇は危険だから食べない方がいい」といった誤った情報が拡散されることで、人々の健康を損なうリスクがあります。
- 災害時の混乱
- 地震や台風などの災害時には、「この地域に大地震が来る」「避難所がすでに満員」といったデマ情報がSNSで拡散されることがあります。
- こうした偽情報を信じることで、不必要なパニックを引き起こしたり、本当に必要な支援が届かなくなったりする危険性があります。
フェイクニュースは私たちの社会に大きな影響を与える可能性があります。では、なぜこれほどまでにフェイクニュースは広がるのでしょうか? 次の章では、SNSやYouTube、テレビなどのメディアの特徴と、情報を見極める重要性について解説します。
SNSやYouTubeは要注意、でもテレビも100%正確ではない
フェイクニュースが広がる原因の一つは、私たちが普段利用しているメディアの特性にあります。特にSNSやYouTubeでは偽情報が拡散されやすく、一方で「テレビや新聞も信用できない」と考える人も増えています。それぞれのメディアの特徴を理解し、情報を見極めることが重要です。
SNSやYouTubeで偽情報が拡散されやすい理由
SNS(Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなど)やYouTubeは、多くの人が情報を共有し、拡散できる便利なツールです。しかし、これらのプラットフォームでは、以下のような理由でフェイクニュースが広まりやすくなっています。
① アルゴリズムによる「バズ」の仕組み
- SNSやYouTubeは、ユーザーが興味を持ちそうな情報を優先的に表示するアルゴリズムを採用しています。
- 「驚き」「怒り」「恐怖」といった感情を引き起こす情報ほどシェアされやすく、結果としてフェイクニュースが拡散しやすくなります。
② 誰でも簡単に情報を発信できる
- SNSでは、専門知識がない人でも自由に情報を発信できます。
- 「専門家らしき人」が発信した情報でも、実際には根拠がない場合があります。
③ 修正や削除が遅れる
- 一度拡散された偽情報は、事実が判明した後もインターネット上に残り続けます。
- 公式発表で否定されても、最初のフェイクニュースだけが広まり、訂正情報が十分に伝わらないこともあります。
テレビや新聞も100%正しいとは限らない
「テレビや新聞は信用できる」と思っている人も多いですが、実際には誤報が報じられることもあります。
災害時には混乱の中で不確かな情報が流れることがあり、社会不安を招いたケースもあります。政治や選挙に関する報道では、候補者に関する情報が後に誤りだったと判明することもあります。医療や健康に関しても、科学的根拠が不十分な内容が報じられた後に否定されることがあります。
こうした誤報には訂正やお詫びが出る場合もありますが、必ずしも全ての情報が修正されるとは限らず、また訂正された場合であっても、その情報に触れた全ての人に届くとは難しいのが現状です。
「どのメディアを信じるか」ではなく、「情報をどう見極めるか」が重要
SNS、YouTube、テレビ、新聞など、どのメディアにも長所と短所があります。大切なのは「どのメディアを信じるか」ではなく、「どうやって情報を見極めるか」というリテラシーを身につけることです。
次の章では、フェイクニュースに騙されないための具体的な方法を紹介します。
ネットリテラシー養成講座
インターネット上に大量の情報が溢れている昨今、正しい情報とそうでない情報を見分ける力が求められています。
ビズアップ総研のネットリテラシー養成講座では、インターネットから信頼できる情報を見つける技術、SNSとの付き合い方をご紹介します。
フェイクニュースに騙されないために気をつけること
フェイクニュースに騙されないためには、情報の見極め方を知っておくことが大切です。ここでは、誰でも実践できる「正しい情報を見分けるためのポイント」を紹介します。
複数の情報源を確認する
1つのニュースだけを信じるのではなく、複数の情報源を比較することが重要です。
- 異なるメディアで報じられているかを確認する
- 例えば、SNSで見たニュースが大手新聞社や公共放送(NHKなど)でも報じられているかをチェックする。
- 国内外の情報を比較する
- 海外メディア(BBC、CNN、ロイターなど)がどのように報道しているかを確認する。
危険な例
このように 「SNSで話題になっているから本当」と思い込むのは危険です。
情報の発信元をチェックする
ニュースがどこから発信されたのかを確認することも大切です。
信頼できる発信元のポイント
- 公式な機関や専門家が発信しているか
- 例:政府機関(厚生労働省、WHO)、大学の研究者、医師・専門家など。
- 匿名のアカウントではなく、責任のあるメディアが報じているか
- 例:「〇〇新聞」「NHK」などの信頼できる報道機関。
- 発信者の経歴や過去の発言を調べる
- 例:医療系のニュースなら、その発信者が本当に医師なのかを確認する。
危険な例
Twitterの匿名アカウント:「この薬を飲むと、どんな病気も治るよ!」
→ 本当に医師が発信しているのか? 企業が広告目的で発信していないか?
発信元が不明な情報には注意しましょう。
感情を煽る情報に注意する
フェイクニュースの多くは「怒り」「恐怖」「驚き」 などの感情を刺激することで拡散されやすくなります。
感情を煽るニュースの特徴
- 「〇〇国が日本を攻撃しようとしている!」(恐怖を煽る)
- 「政治家〇〇が巨額の賄賂を受け取った!」(怒りを煽る)
- 「この食品を食べるだけで10kg痩せる!」(驚きを煽る)
危険な例
YouTubeの動画タイトル:「これを知らないと人生が終わる! 今すぐ見て!」
→ 極端な表現をしている情報は要注意。
感情的にならず、一度冷静に情報を分析することが大切です。
ファクトチェックサイトを活用する
フェイクニュースかどうかを判断するには、ファクトチェックサイトを活用するのも有効です。
ファクトチェックサイトとは、ニュースやSNSで拡散された情報の真偽を検証し、事実に基づいた解説を提供するウェブサイトです。これらのサイトは、ジャーナリストや研究者、メディア団体、非営利組織などによって運営されており、政治・経済・健康・災害情報など幅広い分野の誤情報を分析します。公的機関や専門家のデータを基に検証を行い、偏りのない正確な情報を発信することを目的としています。情報の信頼性を判断するために活用するとよいでしょう。
危険な例
あるサイト:「このニュースは本当です!」
→ そのサイト自体がフェイクニュースを発信している可能性もある。
信頼できるファクトチェックサイトを活用し、情報の真偽を確認しましょう。
まとめ
フェイクニュースや偽情報は、私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。特にSNSやYouTubeの発展により、誤った情報が一瞬で広まる時代になりました。だからこそ、一人ひとりが「情報を見極める力(リテラシー)」を持つことが重要です。
この記事で紹介した「フェイクニュースに騙されないための4つのポイント」をおさらいしましょう。
① 複数の情報源を確認する
1つのニュースだけを信じず、他のメディアでも報道されているかを確認する。
② 情報の発信元をチェックする
SNSの匿名アカウントではなく、公的機関や専門家の情報を優先する。
③ 感情を煽る情報に注意する
「怒り」「恐怖」「驚き」を感じたら、一度冷静になって真偽を調べる。
④ ファクトチェックサイトを活用する
提示されているデータを見て、情報の正しさを確認する。
フェイクニュースは「誰か特別な人だけが騙されるもの」ではありません。どんなに賢い人でも、情報リテラシーが低いと、誤った情報を信じてしまう可能性があります。
例えば、以下のような姿勢を日常的に意識することが大切です。
- 「本当にこの情報は正しいのか?」と常に考える
- 情報を見たら、すぐにシェアする前に確認する習慣をつける
- 家族や友人にも情報リテラシーの重要性を伝える
特に、SNSでは「シェア」「リツイート」などの機能があるため、間違った情報を無意識のうちに広めてしまうことがあります。「拡散する前に、一度立ち止まって考える」 ことが重要です。
私たちは毎日、膨大な量の情報に触れています。その中には、信頼できるものもあれば、意図的に作られたフェイクニュースもあります。大切なのは、「どの情報を信じるか」ではなく、「どうやって情報を見極めるか」という姿勢です。
フェイクニュースに惑わされず、正しい情報を見極める力を身につけることで、より健全な社会を築いていくことができます。ぜひ、今日から 「情報を鵜呑みにしない習慣」 を意識してみましょう!