日本国憲法改正に必要な要件とは?衆議院・参議院2/3と国民投票の仕組みを徹底解説

日本国憲法改正に必要な要件とは?衆議院・参議院2/3と国民投票の仕組みを徹底解説

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日本国憲法の改正は、国の統治機構や国民の基本的人権に直接影響を与える、極めて重要な政治的・法的決定です。しかし、「憲法改正は衆議院の3分の2で決まるのか」「国民投票ではどのように意思表示をするのか」といった基本的な点について、正確に理解している人は必ずしも多くありません。

日本国憲法は、通常の法律と異なり、厳格な改正手続きを採用しています。その中心となるのが、国会による発議と国民投票による承認という二段階のプロセスです。

本記事では、日本国憲法第96条および国民投票法を基礎に、憲法改正の制度設計、国民投票の具体的な仕組み、運動規制や罰則までを体系的に解説します。

目次

日本国憲法改正の基本的な仕組み

憲法第96条が定める改正手続き

日本国憲法第96条は、憲法改正について次の二段階の手続きを定めています。

第一段階:国会による発議
憲法改正案は、衆議院および参議院それぞれにおいて、総議員の3分の2以上の賛成によって発議されます。いずれか一方でも要件を満たさない場合、国民投票に進むことはできません。

第二段階:国民投票による承認
国会が発議した改正案は、国民投票に付され、有効投票の過半数の賛成を得る必要があります。

この二重のハードルは、憲法が国の最高法規であり、容易に変更されるべきではないという立憲主義の考え方に基づいています。

国会による憲法改正の発議要件

各議院で必要となる賛成数

憲法改正の発議には、以下の賛成数が必要です(定数ベース)。

議院総定数発議に必要な賛成数
衆議院465名310名以上
参議院248名166名以上

これは「出席議員の3分の2」ではなく、総議員の3分の2である点に注意が必要です。

衆議院で可決、参議院で否決された場合はどうなるのか

両院の3分の2賛成が「必須条件」

憲法改正の発議は、日本国憲法第96条により、 衆議院と参議院の双方で、それぞれ総議員の3分の2以上の賛成 を得ることが不可欠とされています。

  • 衆議院で総議員の3分の2以上の賛成を得た場合であっても
  • 参議院で3分の2に達せず否決された場合

憲法改正案は発議されず、国民投票には進みません。

この点は、通常の法律案とは大きく異なる特徴です。

個別発議の原則

憲法改正案は、「内容において関連する事項ごとに区分して」発議しなければなりません。
これは、複数の論点を一括して賛否を問う、いわゆる「抱き合わせ改正」を防ぐための制度です。

国民投票の実施プロセス

投票期日:発議から60日以後180日以内

国会が憲法改正を発議した日から起算して、60日以後180日以内に国民投票が実施されます。この期間は、国民が改正案について十分な情報を得て熟慮するための準備期間と位置付けられています。

投票権者:満18歳以上の日本国民

国民投票の投票権者は、満18歳以上の日本国民です。
成年被後見人であることを理由とした投票権の制限は設けられていません。

投票方法(重要):賛成・反対ともに「○」を記入

国民投票法第46条により、投票方法は次のように定められています。

  • 賛成するとき:投票用紙の「賛成」の欄に、自ら○の記号を書く
  • 反対するとき:投票用紙の「反対」の欄に、自ら○の記号を書く

いわゆる「○×方式」ではなく、どちらの場合も○を記載し、欄によって意思表示を区別する方式です。
誤記を防ぎ、投票の有効性を確保するために採用されています。

参考:総務省|国民投票制度についての紹介

憲法改正案広報協議会の役割

国民投票に際しては、国会内に憲法改正案広報協議会が設置されます。
協議会は衆議院・参議院の議員で構成され、法律上、以下の原則が課されています。

  • 改正案および要旨については客観的かつ中立的に説明
  • 賛成意見と反対意見は公正かつ均等に掲載

主な業務は、国民投票公報の作成、説明会の開催、広報資料の作成などです。

国民投票運動に関する規制

表現の自由を尊重した規制体系

国民投票運動は、政治的表現の自由を最大限尊重する観点から、選挙運動に比べて規制が緩やかに設計されています。ただし、公正性を害する行為については一定の制限があります。

投票日前14日間の広告放送制限(2021年改正)

2021年の国民投票法改正により、投票日前14日間は、テレビ・ラジオによる国民投票運動のための広告放送が制限されます。

これは、投票直前の過度な広告合戦を抑制し、有権者が冷静に判断できる環境を確保するための措置です。

その他の主な禁止行為

  • 投票事務関係者による国民投票運動
  • 公務員や教育者による地位を利用した投票運動

国民投票の成立要件と法的効果

承認要件:有効投票の過半数

憲法改正案が承認されるためには、賛成票が有効投票の過半数を超えることが必要です。
最低投票率の定めはありません。

公布と効力発生

承認された憲法改正は、内閣総理大臣の手続きを経て、天皇が国民の名で公布します。公布によって、憲法改正の効力が発生します。

国民投票無効訴訟と司法的チェック

投票人は、国民投票に重大な違法がある場合、告示日から30日以内に東京高等裁判所へ無効訴訟を提起できます。

裁判所は、手続違反や結果への影響が重大であると認められる場合、国民投票の全部または一部を無効とすることがあります。

罰則規定:公正な国民投票を守るために

国民投票法では、以下のような行為について、態様に応じて懲役・禁錮または罰金が科されます。

  • 組織的な買収行為
  • 投票の自由を妨害する行為
  • 投票箱や関係書類の不正操作
  • 公務員による職権濫用

これらの罰則は、国民の自由な意思形成を守るための制度的担保です。

まとめ:憲法改正は国民全体の責任で行われる

日本国憲法の改正には、

  1. 衆議院・参議院それぞれで総議員の3分の2以上の賛成による発議
  2. 国民投票での有効投票の過半数による承認

という、極めて厳格な要件が課されています。

憲法改正は、政治家だけでなく、国民一人ひとりが主体となって判断すべき制度です。正確な法制度の理解に基づき、冷静で責任ある意思表示を行うことが、民主主義を支える基盤となります。

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