2026年度版|ITストラテジスト試験の新制度と科目別勉強法
応用情報技術者試験(AP)やプロジェクトマネージャ試験(PM)、システムアーキテクト試験(SA)などの高度な情報処理技術者試験に合格した経験をお持ちの方は、次なるステップとして「ITストラテジスト試験(ST)」の取得を検討されていることでしょう。 ITストラテジストは、経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、及び競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進して、ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方に最適な資格です。
本記事では、過去の合格実績による免除制度(旧午前I免除)を活用して、最短かつ効率的に一発合格を狙いたいITエンジニアやITコンサルタントの方に向けて、2026年度(令和8年度)から大幅に変更される試験制度の概要と、具体的な勉強方法について詳しく解説します。
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目次
【2026年新制度】CBT移行の注意点と「科目A-1免除」の活かし方

CBT化で何が変わる?試験日程と新科目名
2026年度(令和8年度)より、ITストラテジスト試験を含む高度試験は、従来のペーパー方式での実施から、パソコンを利用して解答するCBT(Computer Based Testing)方式へ移行する予定です。社会のデジタル化の進展を踏まえ、受験者の利便性向上を目的としたこの変更により、試験の日程や科目名称が変更されます。
試験時期については、従来の特定の1日で実施される形式から、一定期間内に複数日設定された受験日程の中から自身の都合に合わせて選択する形式へ変更される予定です。前期試験は2026年11月頃、後期試験は2027年2月頃の実施が予定されています(2026年6月時点)。
なお、科目A群(科目A-1・A-2)と科目B群(科目B-1・B-2)は実施期間を分けて実施される予定ですが、詳細な日程や受験方法については今後IPAから公表される情報を確認してください。
また、実施方式の移行に伴い、科目の名称と時間割も以下のように変更される予定です。
| 従来の科目名 | CBT移行後の科目名 | 試験時間 | 出題形式・解答数 |
|---|---|---|---|
| 午前I試験 | 科目A-1試験 | 50分 | 多肢選択式(30問解答) |
| 午前II試験 | 科目A-2試験 | 40分 | 多肢選択式(25問解答) |
| 午後I試験 | 科目B-1試験 | 90分 | 記述式(3問中2問解答) |
| 午後II試験 | 科目B-2試験 | 120分 | 論述式(2問中1問解答) |
なお、試験で問われる知識・技能の範囲、出題形式、出題数、試験時間そのものに変更はありません。
注意点として、科目A-1・A-2からなる「科目A群」と、科目B-1・B-2からなる「科目B群」は、実施期間を分けて実施される予定です。申し込みの際には、これら「科目A群」と「科目B群」を同時に予約する形となります。
免除制度の活用が「最短一発合格」の絶対条件
ITストラテジスト試験は、経営戦略に基づいてITを活用し、事業改革を主導する人材を対象としています。応用情報技術者(AP)やプロジェクトマネージャ(PM)などの合格者は、要件を満たすことで旧午前Iにあたる「科目A-1試験」の免除制度を利用可能です。
科目A-1免除制度を活用できる場合は、一発合格の可能性を高める大きなアドバンテージとなります。 この制度を利用すれば、試験当日の負担が軽減されるだけでなく、広範な基礎知識の再学習にかける時間を削減できます。浮いた時間をITストラテジスト特有の専門知識や、難関とされる科目B群(午後試験)の対策に充てられるため、多忙なITエンジニアやコンサルタントにとって効率的な学習計画を立てやすくなります。
効率的な合格への道筋:3ヶ月(12週間)の学習スケジュール
合格に必要な勉強時間の目安
科目A-1(旧午前I)試験の免除制度を利用する場合、必要となる勉強時間の目安は一般的に100時間から150時間程度とされることが多いです。ただし、受験者の経験や保有資格、業務内容によって必要な学習時間は大きく異なります。
すでに他区分の学習を通じてベースとなる論理的思考力や記述力、マネジメントに関する知識を持っている場合は、初学者に比べて短い学習時間での合格も十分に可能です。
逆算型・3ヶ月スケジュール
以下に、試験日から逆算した約3ヶ月(12週間)の具体的な学習スケジュールの目安を示します。
| 学習期間 | 学習のテーマと目標 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1〜4週目 | 科目A-2の知識習得と、科目B-2(論文)のネタ出し・骨組み作成 全体像を把握し、一番時間がかかる論文対策のベースを早期に構築します。 |
約40時間 |
| 5〜8週目 | 科目B-1の過去問演習と、科目B-2(論文)の部分執筆・推敲 午後I(科目B-1)の読解パターンを掴みつつ、論文の各パーツを実際に書き進めます。 |
約50時間 |
| 9〜12週目 | 科目B-1・B-2を通しで行う実践演習、弱点補強、時間配分の調整 本番と同じ制限時間を意識して論文をタイピングし、記述の抜け漏れや時間配分を仕上げます。 |
約40時間 |
余裕を持った学習計画を立て、特に論述式(論文)対策である科目B-2試験に最も多くの学習時間を配分することが、一発合格への確実な道筋となります。早期に論文の構成案を作成し、何度も推敲を重ねることで、実践的な論述力を高めていきましょう。
【科目別】一発合格を掴むための具体的な対策と勉強法
ここからは、科目A-1試験の免除を利用する前提で、科目A-2試験、科目B-1試験、科目B-2試験の効率的な勉強方法を解説します。すべての科目の対策を「ステップ」に沿って体系化しました。ITストラテジストとして期待される技術水準を深く理解し、学習を進めていきましょう。
科目A-2試験(旧:午前II試験)対策
試験時間40分で25問の多肢選択式(四肢択一)問題が出題されます。事業戦略や情報システム戦略の策定に関する専門知識が中心となるため、以下の2ステップで確実な得点力を身につけます。
反復学習
過去問と類似した知識を問う問題が多いため、 IPA公式サイト等の過去問題を繰り返し解きましょう。まずは直近数年分を重点的に学習し、 選択肢の背景知識まで理解することが重要です。単なる暗記ではなく、正解・不正解の理由を説明できるレベルを目指しましょう。
フレームワークの把握
最新技術を経営に活かす視点が求められるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)やAIなどの最新トレンド、経営フレームワークに関する新用語が出題されることもあります。日頃からIT関連のニュースには意識的に目を通しておきましょう。
科目B-1試験(旧:午後I試験)対策
試験時間90分で3問中2問を選択して解答する記述式試験です。長文を素早く正確に読み解く「読解力」と、問題文の意図に沿って制限字数内で簡潔にまとめる「記述力」が強く求められます。以下の3ステップで過去問演習を行います。
問題文の精読
まずは設問を先に読み、何を問われているかを明確に把握します。その上で問題文を読み進め、関連するキーワード、経営層の意向、事業ごとの前提や制約条件などをチェックしながら精読します。
視点での解答構成
「ITを活用した基本戦略の策定・提案・推進を遂行する立場」の視点を絶対に忘れないでください。問題文中の表現を適切に抜き出し、つなぎ合わせて解答を構成します。開発担当者などの下位視点にならないよう注意が必要です。
採点講評による修正
自身の解答と、IPA公式の解答例・採点講評を比較し、表現のブレや着眼点のズレを修正します。採点講評には出題者の意図や受験者が陥りやすい間違いが詳細に記載されているため、必ず熟読して次回の演習に活かしてください。
科目B-2試験(旧:午後II試験)対策
試験時間120分で2問中1問を選択して解答する論述式(小論文)試験です。主導的立場での高度な実践能力と経験が問われる最難関のセクションですが、以下の3ステップで体系的に準備を進めることで攻略可能です。
(部品)」の作成
自身が経験、または仮想設定したプロジェクトを題材にします。「企業の事業特性・経営課題」「立案したIT戦略」「直面した課題と分析・対策」「経営者への評価」などのテーマごとに、数百字程度の文章ブロック(モジュール)をあらかじめ複数作成しておきます。
設計訓練
いきなり書き始めるのではなく、設問の指示に対して用意した論文モジュールをどう当てはめるか、章立てと文字数配分を15分〜20分程度で設計する練習を繰り返します。設問の要求に一つでも答え漏れがあると大幅な減点となるため、意図の正確な把握が不可欠です。
タイピング実践演習
制限時間120分で2000〜3000字の論文をPCで書き上げる演習を行います。CBT化で推敲は容易になりますが、求められる論述・構成力は変わりません。設問の要求に漏れなく答え、経営者視点を持った説得力のある論文を書けるよう練習しましょう。
まとめ
ITストラテジスト試験は、単なるITの知識だけでなく、経営的な視点から事業を牽引する力が求められる非常に難易度の高い試験です。しかし、応用情報技術者試験や他の高度試験をクリアしてきた皆様であれば、これまでに培った知識と経験、そして科目A-1試験の免除制度を最大限に活かすことで、十分に最短での一発合格が可能です。
2026年度(令和8年度)からのCBT方式への移行により、受験の利便性が向上し、ご自身の学習スケジュールに合わせた柔軟な受験が可能になります。本記事で紹介した効率的なスケジュールと、特に科目B群(記述式・論述式)に特化した勉強方法を参考に、ぜひ「経営とITを結びつける戦略家」としての称号を手に入れてください。

