国家公務員スキル一覧とは?57項目・27の姿勢と人材育成・研修への生かし方を徹底解説【2026年版】
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国家公務員スキル一覧の57項目と27のマインドセットを、公式資料に基づき体系的に解説。若手・中堅・管理職別の活用法、スキルマップ作成、企業内研修へ落とし込む手順まで、人材育成担当者に役立つ実践ポイントと研修設計の注意点が具体的にわかります。
国家公務員スキル一覧は、府省や業務を越えて国家公務員に共通して求められる能力を、人事院が整理・言語化した枠組みです。「どの能力を伸ばせばよいのか」「研修体系をどう見直すべきか」と悩む職員や人材育成担当者にとって、育成を考える共通言語になります。
本記事では、2026年6月公表のVer.1.0を基に、57のスキルと27のマインドセットを整理します。さらに、若手・中堅・管理職への当てはめ方、スキルマップの作り方、企業内研修で定着させる方法まで解説します。
目次
国家公務員スキル一覧とは
人事院「国家公務員スキル一覧の作成について」によると、本一覧は、職員の主体的な学びと成長を促し、キャリア形成支援や人材確保に活用するために作成されました。全員を同じ型にはめる評価表ではなく、役職、担当業務、組織の特性に応じて必要な能力を選び、育成施策をつなぐための土台です。
作成された背景
政策課題の複雑化、デジタル化、官民連携の拡大により、公務には法令や予算の知識だけでなく、データ活用、合意形成、プロジェクト管理、将来構想など幅広い力が必要です。一方、能力の呼び方や育成方法が府省・部門ごとに異なると、研修、OJT、キャリア面談を連動させにくくなります。
この枠組みは、各組織が培ってきた暗黙知を言語化し、人事院、各府省、外部人材・研修コンテンツの間をつなぐ役割を担います。本人には学習目標を、上司には育成観点を、人事部門には研修設計の基準を与える点が重要です。
3つの調査から57項目を特定
作成過程では、一つの立場だけに依存せず、育成される側、育成する側、専門家の視点が組み合わされました。
| 調査・確認 | 対象・規模 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 全府省職員アンケート | 41,287人 | 118の仮説スキルについて、重要度と今後伸ばしたい度合いを把握 |
| 各府省人事担当ヒアリング | 17府省庁 | 業務・役職別に重要な能力や、育成が不足している能力を抽出 |
| 有識者ヒアリング | 15人 | スキルの定義、分類方法、活用の妥当性を確認 |
回答が少ない仮説の削除、重複項目の統合、名称・定義の補正を経て、共通性の高い57項目がまとめられました。数字の多さだけでなく、複数の視点から検討された点が、一覧の信頼性を支えています。
国家公務員スキル一覧の57項目
中心となるスキルセットは、「特定の役割や業務を遂行するために必要な知識・技術・経験を、実際の行動として発揮できる能力」です。大きく業務スキル、対人スキル、概念化スキルの3領域に分かれています。
| 領域 | 区分 | 収録スキル |
|---|---|---|
| 業務スキル | 社会人汎用 | 語学力、デジタルリテラシー、データマネジメント、タイムマネジメント、ヘルスリテラシー |
| 業務スキル | 社会人基礎・業務 | 読解力、文章力、コミュニケーション力、資料作成力、資料管理力、マルチタスク、情報収集・活用力、機密保持意識、法令・制度理解、組織プロセス理解、法・予算プロセス理解、統計力 |
| 対人スキル | 対人関係 | ステークホルダーマネジメント力、ファシリテーション力、官民・アカデミア連携、対外発信力、合意形成力、相互尊重性、ネットワーク形成力、プレゼンテーション力、交渉力 |
| 対人スキル | マネジメント | チーミング力、多様性マネジメント、アンコンシャスバイアスマネジメント、インフルエンシングスキル、リーダーシップ、傾聴力、モチベーション促進力、コーチング力、成長促進、フィードバック力 |
| 概念化スキル | 公共価値創出 | アカウンタビリティ、ユーザー視点、洞察力、国際的視野、政策設計、法・予算プロセスマネジメント、組織プロセスマネジメント |
| 概念化スキル | 課題解決・将来構想・実行管理 | 状況把握力、論理的思考力、課題発見・設定力、調査設計・実行力、有事対応力、将来予測力、多角的視点、俯瞰視点、長期的構想力、ナラティブ力、プロジェクト管理力、リソースマネジメント力、リスクマネジメント力、意思決定力 |
業務スキルは実務を正確に進める力、対人スキルは関係者と協働する力、概念化スキルは複雑な課題を捉えて解決策や戦略を考える力です。例えば「文章力」だけを高めても、政策の意義を多様な関係者へ伝え、合意を得て実行するには不十分です。対外発信力、合意形成力、政策設計、プロジェクト管理力などを組み合わせることで、実務成果につながります。
スキルセットとマインドセットの違い
スキルセットは、訓練や経験の積み重ねにより、一定の再現性をもって育成しやすい能力です。対してマインドセットは、学習、成長、変化に対する信念や姿勢であり、スキルを獲得・発揮する基盤です。短時間の講義だけで変えるのではなく、実務経験、内省、対話、上司の関わりを通じて中長期的に育てます。
| 分類 | 公式資料に示された要素 |
|---|---|
| 変化の時代に求められるマインドセット | 学び続ける姿勢、アジリティ、AIデジタル活用志向、レジリエンス、イノベーション創出、感情的知性、エンゲージメント醸成、社会的包摂性、キャリア形成意識 |
| 普遍的に求められるマインドセット | 責任感、誠実さ、探究心、向上心、使命感、チャレンジ精神、胆力、謙虚さ、緻密性、正確性、柔軟性、主体性、法令遵守・コンプライアンス志向、公平性、公共性、変革志向、育成精神、国家公務員行動規範 |
両者は二者択一ではありません。デジタルリテラシーを学んでも、AIデジタル活用志向や学び続ける姿勢がなければ、知識は更新されにくいでしょう。逆に意欲があっても、統計力やデータマネジメントが不足すれば、根拠に基づく政策立案には結び付きません。
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役職・業務別に国家公務員スキル一覧を活用する方法
57項目すべてを一人の職員に求める必要はありません。公式資料も、業務内容、分野、役職によって必要な組み合わせが異なると明記しています。重要なのは、職務の成果から逆算して優先順位を付けることです。
若手・中堅・管理職で重点を変える
若手職員には、読解力、文章力、法令・制度理解、情報収集・活用力など、担当業務の土台を優先します。中堅職員には、ステークホルダーマネジメント力、合意形成力、プロジェクト管理力を加え、周囲を巻き込みながら成果を出す力を育てます。管理職には、リーダーシップ、コーチング力、多角的視点、長期的構想力、意思決定力など、組織全体を動かす能力の比重を高めます。
ただし、階層が上がると基礎スキルが不要になるわけではありません。役割に応じて重点が変わるだけです。一覧を昇格要件の固定表として使うのではなく、「現在の役割で成果を出す組み合わせ」と「次の役割に備える組み合わせ」を分けると、育成計画が明確になります。
政策立案と事業・予算執行で組み合わせる
政策立案では、情報収集・活用力、法令・制度理解、課題発見・設定力、ステークホルダーマネジメント力などが軸になります。管理職に近づくほど、長期的構想力やナラティブ力も重要です。
事業・予算執行では、法・予算プロセス理解、リスクマネジメント力、プロジェクト管理力が中心になります。関係部門や委託先との調整が多い業務なら、プレゼンテーション力や合意形成力も組み合わせます。このように、業務と階層の二軸で選ぶと、漏れと重複を抑えたスキルマップを作れます。
企業内研修でスキルを定着させる4ステップ
一覧を配布するだけでは、行動変容は起こりません。課題の把握、学習、実践、振り返りを一体化した企業内研修を徹底することで、能力開発を現場の成果へつなげられます。
- 職務ごとの重点スキルを決める
業務目標と役割を整理し、57項目から5~8項目程度を選びます。「全項目を一律に高める」のではなく、成果に直結する項目へ絞るのがポイントです。 - 行動レベルを定義して現状を確認する
「論理的思考力がある」といった抽象表現を避け、「複数の根拠を整理し、結論と理由を説明できる」のように観察可能な行動へ変換します。本人評価、上司との対話、成果物の確認を組み合わせれば、単なる印象評価を防げます。 - 研修とOJTを接続する
eラーニングや集合研修で知識・型を学び、実案件で実践し、上司がフィードバックします。例えば、資料作成研修の後に実際の説明資料を作成し、読み手視点、論理構成、根拠の扱いを確認します。 - 効果測定と再学習を行う
受講率だけで終わらせず、事前・事後テスト、行動チェック、成果物、業務指標を確認します。3~6か月後に再評価し、未定着のスキルを補完すれば、企業内研修が単発イベントから継続的な育成サイクルへ変わります。
研修設計で避けたい3つの失敗
- 57項目をそのまま一律の評価項目にして、職員の負担を増やす
- 「リーダーシップ」などの名称だけを使い、期待行動を定義しない
- 受講履歴だけを管理し、実務で発揮できたかを確認しない
この一覧は、研修カタログではなく設計図です。各府省・組織特有の知識や能力は一覧の外側にあるため、共通スキルに専門知識、業務手順、組織の価値観を加えて自組織版へ調整する必要があります。
まとめ|国家公務員スキル一覧を育成の共通言語に
国家公務員スキル一覧は、57のスキルセットと27のマインドセットを通じて、公務に必要な能力を可視化した枠組みです。業務・対人・概念化の3領域を押さえ、職務と階層に応じて重点項目を選ぶことで、キャリア面談、OJT、研修、人材配置を一つの軸でつなげられます。
まずは一つの職種・階層を対象に、必要な5~8項目と期待行動を定義してみてください。そのうえで、企業内研修、実務課題、上司のフィードバック、効果測定を連動させましょう。自組織の研修体系を見直し、学びが現場の行動と成果に結び付く仕組みづくりを始めることが、一覧を生かす第一歩です。

