男性の育休はありえない?育休取得を後押しするための職場づくり
KEYWORDS ワークライフバランス育休
「育休を取りたいけれど、職場で自分が最初の男性になりそうで言い出しにくい」。そう感じたことがある方は少なくないのではないでしょうか。
男性の育児休業取得を後押しする制度は整ってきているものの、実際に取得するかどうかは、職場の雰囲気や周囲の理解に大きく左右されます。この記事では、男性育休が注目される背景から、取りにくくしている職場の雰囲気、収入・キャリアへの不安、育休を取りやすくするために本人・職場ができる具体的な行動までをわかりやすく解説していきます。
男性育休を取りやすい職場とは

男性育休が注目される背景
男性の育児休業は、近年急速に注目度が高まっているテーマです。背景には、少子化対策としての国全体の取り組みに加え、共働き世帯の増加により、育児を夫婦でどう分担するかが多くの家庭にとって現実的な課題になっていることがあります。2022年には、子の出生直後の時期に柔軟に育休を取得できる「産後パパ育休(出生時育児休業)」制度が始まり、分割取得もできるようになるなど、制度面での整備が進んできました。また、東京都は「育児休業」という言葉が持つ「休み」というイメージを見直し、育児を「仕事」として前向きに捉え直す愛称として「育業」という言葉を掲げるなど、育休に対する社会全体の意識を変えようとする動きも見られます。
(参考:産後パパ育休 | 厚生労働省)
企業の側から見ても、男性育休への対応は無関係ではいられないテーマになっています。育児と仕事を両立しやすい環境が整っているかどうかは、採用活動における企業の魅力の一つとして意識されるようになってきており、若い世代を中心に、就職・転職先を選ぶ際の判断材料にする人も増えています。制度を整えるだけでなく、実際に取得しやすい雰囲気があるかどうかまで含めて、企業の姿勢が問われる時代になっているといえます。
育休を取りにくくする職場の雰囲気
制度が整っても、実際に取得しやすいかどうかは、職場の雰囲気に大きく左右されます。「これまで部署内で男性が育休を取った前例がない」「自分が最初に手を挙げるのは気が引ける」といった心理的なハードルは、多くの職場に共通する課題です。上司自身が育休取得の経験を持たない場合、部下からの相談にどう応じればよいか戸惑ってしまうこともあります。また、繁忙期が明確な部署や、少人数で業務を回している職場ほど、「自分が抜けたら周りに迷惑がかかる」という遠慮が先に立ち、取得をためらう要因になりがちです。
こうした雰囲気は、誰か一人の意識の問題というより、職場全体に染み付いた「暗黙の前提」であることが多く、個人の努力だけで変えるのは簡単ではありません。「男性が育休を取ると評価が下がるらしい」といった、根拠のはっきりしない噂話が一人歩きしてしまうケースもあり、こうした思い込みが、実際には取得可能な人まで及び腰にさせてしまう悪循環を生んでいることもあります。
男性育休を進めるうえでの課題
収入・キャリア・業務負担への不安
男性育休をためらう理由として、収入面の不安を挙げる人は少なくありません。育児休業給付金の仕組みはあるものの、休業前の給与を100%補填するものではないため、家計への影響を心配する声はよく聞かれます。また、「育休を取ることで昇進・評価に悪影響が出るのではないか」というキャリアへの不安や、「休んでいる間の自分の業務を誰が引き継ぐのか」という業務負担への懸念も、取得をためらわせる大きな要因です。こうした不安は、制度の内容を正確に理解し、早い段階から周囲と具体的にすり合わせることで、ある程度は解消できます。
収入面の不安については、育児休業給付金に加え、休業期間中は社会保険料が免除される仕組みもあわせて確認しておくと、実際の手取りベースでの負担感をより正確にイメージしやすくなります。「なんとなく収入が減って大変そうだ」という漠然とした不安のまま検討をやめてしまうのではなく、実際にどの程度の期間、どの程度の収入変化が生じるのかを具体的な数字で確認することが、判断の第一歩になります。
上司・同僚の理解を得るポイント
自分の職場は元々女性社員が少なく、隣の部署で産休中・育休中という人を見かけた程度の環境でした。ましてや男性は社内で誰も取得した人がいなかったので不安でしたが、第一子の出産に合わせて思い切って上司に相談しました。最初は戸惑っていましたが、「そういう時代だよな」ということで、色々と環境を整えてもらいました。引き継ぎ資料の作成等もあったので、早めに相談したのも良かったかなと思います。
上司や同僚の理解を得るには、できるだけ早いタイミングで意向を伝えることが基本になります。取得を考え始めた段階で、まずは直属の上司に相談し、希望する時期や期間のイメージを共有しておくと、周囲も準備を進めやすくなります。あわせて、休業中の業務をどう引き継ぐか、自分なりの案を持って相談することで、「迷惑をかけるだけ」という一方的な印象ではなく、「きちんと準備をして臨んでいる」という姿勢が伝わりやすくなります。
同僚への伝え方にも配慮したいポイントがあります。業務の引き継ぎを依頼する際は、「お願いします」だけで終わらせず、休業中に困ったときの連絡手段や、復帰後のフォローについても触れておくと、引き継ぐ側の不安も和らぎやすくなります。一方的にお願いするのではなく、「お互い様」という関係性を意識したコミュニケーションが、円滑な理解につながります。
育休を取りやすくする具体的な行動

本人が事前に準備しておきたいこと
育休取得を検討している本人が、事前に準備しておきたいことを整理すると、次のようになります。
- 産後パパ育休(出生時育児休業)を含め、自分が利用できる制度の内容・期間・給付金の仕組みを正確に確認する
- 自分の担当業務を棚卸しし、引き継ぎが必要な項目を具体的にリストアップしておく
- 取得を考え始めた早い段階で、上司に希望時期と大まかな期間を相談する
これらを早めに済ませておくことで、周囲に「準備不足のまま急に休む」という印象を与えずに済み、本人自身も安心して育休期間を過ごしやすくなります。
管理職・人事が整えたい職場環境
管理職・人事の立場からは、個人の努力だけに頼らない環境づくりが求められます。過去に育休を取得した社員の事例を、プライバシーに配慮しながら社内で共有することは、「前例がない」という心理的ハードルを下げるうえで効果的です。また、特定の担当者に業務が集中しないよう、日頃から業務の属人化を防ぐ体制を整えておくことも、育休取得のしやすさに直結します。「誰かが抜けても業務が回る」という状態を平時から作っておくことが、結果的に男性育休だけでなく、あらゆる休暇取得のしやすさにつながります。
さらに、管理職自身が育休や短時間勤務といった制度について、部下から相談された際に迷わず答えられるだけの知識を持っておくことも重要です。管理職が制度に詳しくないと、相談された側も曖昧な回答しかできず、結果として「相談しても仕方がない」という空気を生んでしまいます。人事担当者が管理職向けに定期的な情報共有の場を設け、制度の最新情報や社内の取得実績をアップデートし続けることが、職場全体の理解度を底上げする土台になります。
ワーク・ライフ・バランス(WLB)
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まとめ
この記事では、男性育休が注目される背景から、取りにくくしている職場の雰囲気、収入・キャリアへの不安、育休を取りやすくするために本人・職場ができる具体的な行動について解説しました。制度が整ってきた今、育休を取得しやすいかどうかは、職場の雰囲気づくりと、本人の早めの準備の両方にかかっています。「育休を取りたいけれど言い出しにくい」と感じている方は、まず利用できる制度の内容を正確に確認するところから始めてみましょう。
ただし、育児と仕事の両立は、育休の取得だけで解決する話ではありません。復帰後の働き方や、家庭内での役割分担、職場全体の働き方の見直しまで、長期的な視点で考えていく必要があります。e-JINZAI lab.の「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」講座では、仕事と生活の両立を困難にする社会的背景から、個人・企業にとってのWLBの効果まで、体系的に学べます。「WLBとはなにか」という冒頭の動画は無料で視聴できるため、まずは内容を確認してから判断することもできます。育児と仕事の両立について考え始めている方は、まずは無料の冒頭動画から覗いてみませんか?
