生成AI丸投げが失敗する理由とは?制作現場が困る依頼と正しい活用法

生成AI丸投げが失敗する理由とは?制作現場が困る依頼と正しい活用法

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「君、全然AI使いこなせてないよね?もっと使うべきだよ!」とか言ってくる人に限って、生成AIの成果物に自己満足し、本筋を理解しないまま仕事の指示をしてくる人が増えていませんか?

生成AIの普及によって、専門知識がない人でも簡単に画像やWebページのサンプルを作れるようになりました。しかし、その手軽さゆえに「自分でここまで作った」という達成感だけが先行し、実際の制作工程を無視した依頼が現場に飛び込んでくるケースが増えています。生成AIは便利なツールですが、正しい知識を持たずに使うと、かえって制作側の負担が増えるという本末転倒な事態を招きます。

本記事では、実際によくある失敗事例を交えながら、生成AIを正しく活用するために知っておくべき知識と、企業研修の重要性について解説します。

事例1:A4チラシをそのまま展示会ポスターにという無理な依頼

よくある失敗パターンが、上司や担当者が生成AIでA4サイズのチラシを作り「これをそのまま展示会用のポスターにして」と依頼してくるケースです。一見完成しているように見えても、印刷物として使うには複数の工程が必要です。

A4からA1への拡大でドットが目立つ問題

生成AIが出力する画像の多くはラスター形式(ビットマップ画像)で、決まったピクセル数しか持っていません。

A4サイズからA1サイズ(約4倍以上)へ拡大すると、解像度が足りずにドットのギザギザ(ジャギー)が目立ち、印刷したときに品質が著しく低下します。展示会という人目につく場面でこの状態のまま出力してしまうと、企業イメージを損なうリスクもあります。

印刷会社入稿に必要なAI・EPS形式とトンボ設定

印刷会社に入稿する際には、画像だけでなくベクター形式(AIやEPSなど)への変換が必須です。

ベクターデータは拡大縮小しても劣化しないため、大判ポスターの印刷に適しています。さらに、断裁位置を示す「トンボ」の設定や、塗り足し(裁ち落とし)の確保など、印刷特有のルールを踏まえたデータ作成が求められます。これらは生成AIが直接出力できる形式ではなく、デザイナーが手作業で組み直す必要があります。

素材集探しなど追加作業が発生する理由

生成AIで作られた画像には、著作権や利用ライセンスが不明瞭なアイコンやイラストが含まれていることがあります。

印刷物として正式に使用する場合、素材の出典を確認し、必要であればストックフォトサービスなどから正規のライセンス素材を探し直す作業が発生します。「素材集から探してほしい」とデザイナーに丸投げされると、結果的に一からデザインするのと変わらない手間がかかるのです。

依頼内容生成AIでできること実際に必要な追加作業
A4チラシのデザイン案ラフイメージの提示解像度調整、ベクター化
A1ポスターへの拡大単純な画像拡大再デザイン、トンボ設定
使用素材の確認イメージ生成のみライセンス確認・差し替え

正しい進め方:生成AIの画像は「構成要素」として渡す

ではどう依頼すれば良いのでしょうか。ポイントは、生成AIで作った画像を「完成品」ではなく「構成要素(ラフイメージ)」として位置づけることです。

まずは生成AIでキャッチコピーの方向性やレイアウトのイメージ、雰囲気を伝えるための素材を作成します。そのうえで「このイメージを参考に、タイトルやレイアウトを考えてほしい」という形で制作側に渡すのが正解です。

タイトル文字や配置、実際に使用する画像素材の選定は、制作担当が自身のデザインスキルと生成AIを組み合わせながら、印刷用のベクターデータ(AI・EPS形式、トンボ付き)に仕上げていきます。この役割分担さえ明確にしておけば、生成AIの手軽さと制作側の専門知識の両方を活かすことができます。

生成AIを活用したチラシ・ポスターの制作フロー

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事例2:HTMLのLPサンプルをそのままホームページにという依頼

もう一つの典型例が、生成AIで簡単なランディングページ(LP)のHTMLサンプルを作成し「これをそのままホームページにして」と依頼してくるケースです。表面的には動いているように見えても、公開用のWebサイトとして運用するには多くの調整が必要です。

ヘッダー・フッダー、フォーム、metaタグの修正

生成AIが出力するHTMLは、あくまでサンプルレベルのコードであることがほとんどです。

実際に自社サーバーへ載せ替える際には、共通ヘッダーやフッターとの整合性、問い合わせフォームの実装、SEOに関わるmetaタグ(タイトル、ディスクリプション、OGP設定など)の追加・修正が必須になります。これらを怠ると、検索エンジンからの評価が下がったり、フォームからの問い合わせが正常に届かなかったりするトラブルにつながります。

修正のたびにHTMLで来る依頼の非効率性

さらに厄介なのが、公開後に修正が必要になった際、再び生成AIで作ったHTMLコードをそのまま送りつけられるケースです。既に本番環境に組み込んだ構成を無視して別のHTMLを渡されると、デザイナーやエンジニアは差分を一つずつ確認し、場合によっては作り直しに近い作業を強いられます。これは長尾キーワードで言えば「生成AI 修正依頼 非効率」の典型例であり、制作現場では頻繁に話題になる悩みです。

作業工程生成AIサンプル本番運用に必要な対応
デザイン確認ビジュアルの雛形レスポンシブ対応の調整
フォーム機能見た目のみ再現送信処理・バリデーション実装
SEO対策未対応が多いmetaタグ・構造化データ設定

正しい進め方:生成AIのHTMLは「構成案」として扱い、修正ルールを決めておく

HTMLについても考え方は同じで、生成AIで作ったコードは「初期の構成案」として位置づけるのが正解です。まずは生成AIでページ構成やコンテンツの並び方、大まかなデザインイメージを固めるための素案としてHTMLを作成します。その構成案をもとに、実際のデザインとコーディングは専門の担当者に依頼し、ヘッダー・フッダーの共通化やレスポンシブ対応、フォームの実装まで含めて本番用に組み直してもらいます。

ここで重要なのが「公開後の修正ルール」をあらかじめ決めておくことです。方法は大きく2つあります。

1つ目は、軽微な修正であれば「文字の変更」「画像1点の差し替え」など、修正単位を明確にして依頼する方法です。これなら担当者は該当箇所だけをピンポイントで直せます。

2つ目は、依頼者自身がある程度の知識を身につけ、生成AIでHTMLを作成した段階で、metaタグの設計、フォームの送信動作、GA4(Googleアナリティクス4)の計測タグ設置なども踏まえて完成させ、そのままサーバーにアップして完結させてしまう方法です。

どちらの方法を取るにせよ、「生成AIのHTMLをそのまま渡せば終わり」という誤解をなくし、役割と修正の粒度を最初に決めておくことが、手戻りを防ぐ最大のポイントになります。

生成AIを活用したhtml制作フロー

事例3:生成AIで書いた「動くコード」をそのまま本番に組み込んでという依頼

企画担当やプロダクトマネージャーが生成AIでプロトタイプのスクリプトやアプリのサンプルコードを書き、「動作確認できたので、これをそのまま本番システムに組み込んでほしい」とエンジニアに依頼してくるケースも増えています。

生成AIが書いたコードは一見それらしく動作しますが、実際のシステムに組み込むには専門的な観点からの見直しが不可欠です。

セキュリティ脆弱性の見落としと機密情報のハードコーディング

生成AIが出力するサンプルコードには、APIキーやパスワードといった機密情報がそのままコード内に埋め込まれている(ハードコーディングされている)ケースが少なくありません。また、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった代表的な脆弱性への対策が抜けていることも多く、認証・認可の仕組みも簡易的なものにとどまりがちです。

これらを見落としたまま本番環境に組み込むと、情報漏えいや不正アクセスといった重大なセキュリティインシデントにつながるリスクがあります。

エラーハンドリング・例外処理が考慮されていない問題

生成AIのコードは「正常に動くケース」を前提に書かれていることがほとんどで、想定外の入力や通信エラー、タイムアウトといった異常系への対応(エラーハンドリング・例外処理)がほぼ考慮されていません。

本番運用では、こうした例外的な状況にどう対応するかがシステムの安定性を左右します。エンジニアはこの部分をゼロから設計し直す必要があり、単なる「コードの微調整」では済まないケースがほとんどです。

既存システムとの整合性・保守性が欠けている点

さらに、生成AIは対象となる既存システムのデータベース設計や社内のコーディング規約、既存API(アプリケーション連携の仕様)を把握したうえでコードを書いているわけではありません。そのため、既存システムとの整合性を取るための修正や、将来的な保守・拡張を見据えたモジュール化・設計変更が必要になります。

「動いたから大丈夫」という判断だけで本番投入すると、後から重大な不具合や技術的負債(保守コストの増大)を抱え込む結果になりかねません。

依頼内容生成AIでできること実際に必要な追加作業
プロトタイプコードの提示動作するサンプルコードの生成セキュリティレビュー、認証・認可の実装
本番環境への実装ロジックの雛形提示例外処理設計、ログ設計、既存システムとの統合
継続的な保守・運用コードの単発的な生成テストコード作成、ドキュメント整備、コードレビュー体制の構築

正しい進め方:生成AIのコードは「プロトタイプ」として扱い、要件定義とレビュー体制を整える

生成AIで書かれたコードは、あくまで動作確認用のプロトタイプ・叩き台として位置づけるのが正解です。エンジニアはそれをそのまま本番システムに組み込むのではなく、まずセキュリティ要件やパフォーマンス要件、既存システムとの連携仕様といった要件定義を明確にしたうえで、設計・実装・コードレビュー・テスト・ドキュメント整備という本来の開発プロセスに落とし込みます。

また、修正依頼を出す際も「動作しない生成AIコードをそのまま再送する」のではなく、再現手順や期待する挙動を整理したバグ報告の形で伝えることで、エンジニアが本来の開発フローの中でスムーズに対応できるようになります。この役割分担を組織全体で共有しておくことが、手戻りのないシステム開発につながります。

生成AIを活用した開発フロー

なぜ制作側の負担が増えるのか

これらの事例に共通するのは、依頼者が「完成した」と思っているものと、実際に業務で使える「納品物」との間に大きなギャップがあるという点です。

生成AIは初期のアイデア出しやラフ案の作成には非常に強力ですが、印刷・Web公開といった専門工程を代替するものではありません。このギャップを理解しないまま依頼が来ると、制作側は本来不要だったはずの説明や調整に時間を取られ、結果的にスケジュール全体が遅延してしまいます。

生成AIを正しく使うために知っておくべき知識

生成AIを業務に活かすためには、最低限の技術知識を持つことが欠かせません。特に押さえておきたいのは以下のポイントです。

  • ラスター形式(JPG・PNG)とベクター形式(AI・EPS・SVG)の違いと使い分け
  • 印刷物における解像度・トンボ・塗り足しの基本ルール
  • Web制作における表示速度・SEO・フォーム連携などの基礎知識
  • 生成AIが出力する素材の著作権・ライセンスの確認方法

これらを理解しておくだけで、依頼内容と現場が対応できる範囲のズレを大幅に減らすことができます。「とりあえず生成AIで作ってみたので、あとはよろしく」という進め方ではなく、最初の段階で制作側に相談する姿勢が重要です。

企業研修が解決の鍵になる理由

こうした問題を根本的に解決するには、個人の努力だけに頼るのではなく、企業として生成AIの活用方法を学ぶ研修を実施することが最も効果的です。

研修では、生成AIでできることとできないことの線引き、印刷やWeb制作の基礎工程、制作会社とのコミュニケーションの取り方などを体系的に学ぶことができます。実際に研修を導入した企業では、依頼内容の精度が上がり、手戻りの工数が減少したという事例も報告されています。生成AIは正しい知識と組み合わせてこそ、業務効率化のツールとして真価を発揮します。

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まとめ:生成AIは知識とセットで活用しよう

生成AIを使えば誰でも手軽にチラシやWebページのサンプルを作れる時代になりましたが、それをそのまま印刷物やホームページとして使おうとすると、多くの追加作業が制作側に発生してしまいます。解像度やベクター形式、印刷の基本ルール、Web公開に必要な工程などを理解しないまま依頼すると、結果的にプロジェクト全体の効率を下げることになりかねません。

生成AIを本当に役立つツールにするためには、依頼する側も最低限の知識を身につけ、制作側と密にコミュニケーションを取ることが大切です。ぜひこの機会に、社内での生成AI活用研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。正しい知識を持つことが、生成AIと制作現場の双方にとって最も効率的な働き方につながります。