退職でボーナスはもらえる?損せずに辞めるタイミングを考える

退職でボーナスはもらえる?損せずに辞めるタイミングを考える

転職や退職を考え始めたとき、「せっかくならボーナスをもらってから辞めたい」と考える人は少なくありません。夏や冬の賞与が近い時期であれば、数週間退職日をずらすだけで数十万円単位の違いになることもあります。

ただし、ボーナスは「半年働いたのだから必ずもらえる」という仕組みではありません。支給条件は会社によって異なり、賞与の支給日に在籍していることを条件としている会社では、その前に退職すると支給されない場合があります。

この記事では、退職を考えた時に確認したい就業規則や賞与規程、ボーナスの考え方を紹介します。

退職予定でもボーナスはもらえる?

退職する予定があるからといって、直ちにボーナスの対象外になるわけではありません。ボーナスの支給条件は、就業規則、賃金規程、賞与規程、労働契約などによって決まります。

厚生労働省のモデル就業規則でも、賞与について支給対象時期や算定基準、査定期間などを就業規則で明確にする必要があるとしたうえで、「賞与支給日に在籍している者」を対象とする規定を設けることも可能としています。(参照:モデル就業規則について | 厚生労働省)

たとえば会社の規程に「12月10日の賞与支給日に在籍している社員へ支給する」と書かれている場合、12月10日時点で在籍していれば、退職予定であっても基本的には支給対象になります。

反対に、12月9日付で退職すると、半年間の査定期間をほぼすべて勤務していたとしても、支給日在籍要件によってボーナスを受け取れない可能性があります。

そのため、まず確認したいのは次の3点です。

  • ボーナスの支給日
  • 査定期間
  • 「支給日に在籍していること」という条件の有無

とくに3つ目が、退職日を考えるうえで重要になります。

「査定期間まで働いたからもらえる」とは限らない

よくある誤解が、「夏から冬まで半年間働いたのだから、冬のボーナスは当然もらえる」というものです。

賞与には、過去の勤務実績に対する評価という性格がありますが、それだけで支給が確定するとは限りません。会社によっては業績、本人評価、勤続状況などを踏まえて金額を決定し、さらに支給日に在籍していることを条件としています。

裁判所の判例を見ても、賞与について支給日在籍要件を設けること自体は、任意退職者について一定の場合に有効と判断されています。自分で退職時期を選べる労働者について、会社が将来の勤務継続などを考慮して支給日在籍を条件とすることは、直ちに不合理とはされていません。(参照:判決平成15年2月12日 神戸地方裁判所 平成13年(ワ)第26号 未払い一時金請求事件 | 裁判所)

つまり、「査定期間を全部働いた」=「必ず賞与請求権が発生する」とは限らないということです。

退職時期を決める前に、会社の規程を確認しておきましょう。

ボーナスをもらって翌日に辞めてもいい?

賞与支給後に退職すること自体は可能です。

たとえば12月10日にボーナスが支給され、12月31日付で退職するというスケジュールも考えられます。「ボーナスをもらった直後に退職すると返金を求められるのでは」と心配する人もいますが、通常、適正に支給された賞与を、単にその後退職したという理由だけで返還する必要が生じるわけではありません。

ただし、会社独自の賞与規程や特別な制度がある場合は別です。支給条件や返還に関する規定がないか確認しておくと安心です。

また、法律上可能だからといって、支給日の翌日に突然退職を申し出れば、業務の引き継ぎや職場との関係でトラブルになる可能性があります。「ボーナスを受け取ったあとで退職したい」と考えるのであれば、賞与支給日だけでなく、会社への退職申出期限や引き継ぎ期間も含めてスケジュールを考える必要があります。

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退職を伝えたらボーナスを減らされる?

退職予定を会社へ伝えたあと、賞与査定が行われる場合、「辞めると伝えたらボーナスを減らされるのでは」と不安になることもあるでしょう。

ここも一律には判断できません。

賞与は、会社業績や勤務成績などによって支給額が変わる制度が一般的です。そのため、就業規則や賞与規程に定められた評価基準に沿って金額が決まるのであれば、前年と同額になるとは限りません。一方で、査定基準とは無関係に、単に「退職するから」という理由だけで大幅に減額する場合は、会社の賞与規程やこれまでの運用との整合性が問題になる可能性があります。

賞与についてトラブルになった場合は、「いくら減ったか」だけでなく、会社の規程にどのような算定基準があり、その基準が自分にどう適用されたのかを確認することが重要です。

「損しない退職時期」はいつ?

金銭面だけを考えるなら、一般的には賞与の支給を確認したあとに退職する方が確実です。たとえば冬のボーナスが12月10日なら、支給日前の11月末に退職するより、12月10日以降まで在籍した方が賞与を受け取れる可能性は高くなります。

ただし、「ボーナスをもらうまで絶対に辞めない方が得」とは限りません。

退職時期が1〜2か月遅れることで、転職先への入社日がずれたり、より良い求人を逃したりする可能性もあります。転職先の給与が現在より大きく上がる場合には、数十万円の賞与のために入社時期を遅らせる方が、長期的には不利になることもあります。

たとえば、現在の月給が30万円、転職後が40万円で、ボーナス50万円を受け取るために退職を2か月遅らせるとします。単純計算では、転職後の給与差10万円×2か月=20万円ですから、賞与を待つメリットはまだあります。

しかし昇給機会、入社時の一時金、ポジション、転職市場の状況などまで含めれば、必ずしもボーナスだけで判断できません。「いくらもらえるか」と「何か月待つ必要があるか」を比較するのが現実的です。

有給消化も含めて退職日を考える

退職時期を決める際は、ボーナスだけでなく有給休暇の残日数も確認しておきましょう。

たとえば12月10日にボーナスが支給され、有給休暇が10日残っている場合、12月10日まで通常勤務し、その後有休を取得して12月末退職とするスケジュールも考えられます。

この場合、

12月10日 ボーナス支給
↓
引き継ぎ完了
↓
残った有休を取得
↓
12月31日 退職

という流れになります。

退職日まで在籍しているため、賞与の支給日在籍要件を満たしつつ、残った有休も消化できる可能性があります。ただし、有休取得日や最終出勤日は会社との調整が必要です。賞与支給日だけを基準に退職日を決めるのではなく、「最終出勤日」「有休消化期間」「正式な退職日」を分けて考えるとスケジュールを整理しやすくなります。

社会保険料まで考えると月末退職にも注意

退職のタイミングを金銭面から考える場合、社会保険の資格喪失日も確認しておきたいポイントです。

健康保険や厚生年金の資格は、原則として退職日の翌日に喪失します。社会保険料は月単位で考えるため、月末まで在籍するか、その前に退職するかによって、会社の給与から控除される保険料の見え方が変わることがあります。

ただし、「月末退職を避ければ社会保険料が1か月分丸ごと得になる」と単純に考えるのは禁物です。会社の健康保険を外れれば、その後は転職先の社会保険、国民健康保険、任意継続など別の制度へ加入する必要があります。退職後すぐに転職するのか、しばらく無職期間があるのかによって負担も変わるため、ボーナスだけでなく退職後の保険加入まで含めて考えましょう。

退職前にチェックしておきたいこと

退職日を決める前に、給与明細だけではなく就業規則や社内ポータルの賞与規程を確認しておくと安心です。特に確認したいのは、「支給日在籍要件」「支給日」「査定期間」「退職の申出期限」の4点です。

たとえば、

冬季賞与は12月10日時点の在籍者へ支給する

と明記されていれば、12月9日と12月10日の退職では扱いが大きく変わる可能性があります。

逆に支給日在籍要件が明記されていない場合には、査定期間を勤務した退職者への支給をめぐってトラブルになることもあります。わからない場合は、人事・総務へ「退職予定者の賞与はどのような扱いになりますか」と確認してもよいでしょう。

ボーナスだけで退職日を決めない

ボーナス支給日直前であれば、数週間待ってから退職することで数十万円を受け取れるケースがあります。そのため、退職日を決める際に賞与を確認しておくことには十分意味があります。

ただし、仕事を辞める理由が強いストレスや体調面の問題などであれば、賞与のためだけに無理をして勤務を続ける必要はありません。また、転職先から早期入社を求められている場合には、ボーナスと新しい会社で得られる給与・経験を比較する必要があります。

大切なのは「ボーナスをもらえる最終日」を探すことではなく、自分にとって金銭面とキャリア面の両方で納得できる退職時期を選ぶことです。

まとめ

退職する社員がボーナスを受け取れるかどうかは、会社の就業規則や賞与規程によって異なります。特に重要なのが「支給日に在籍していること」を条件とする支給日在籍要件です。

ボーナス支給日前に退職すると、査定期間を働いていても受け取れないケースがあります。退職を考え始めたら、まず支給日と賞与規程を確認し、有給休暇や退職申出期限も含めてスケジュールを考えてみましょう。

一方で、ボーナスだけにこだわって転職時期を遅らせると、新しい職場で得られる給与やキャリア上の機会を逃す場合もあります。「あと何週間在籍すれば、いくら受け取れるのか」「その期間を待つことで何を失う可能性があるのか」を一度整理してみると、自分に合った退職時期を判断しやすくなります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。賞与の支給条件は会社ごとに異なるため、実際の退職にあたっては就業規則・賃金規程・賞与規程をご確認ください。

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