大学職員ってどんなことをするの?業務内容や必要なスキルについて解説

大学職員は、教育や研究の現場を支え、大学の円滑な運営を担う重要な役割を果たします。大学は教育機関であると同時に、研究機関や地域社会との連携を担う場でもあります。そのため、職員は多様な業務をこなしながら、大学の目標達成に貢献することが求められます。
大学の運営は非営利組織としての特性を持ち、経済的利益の追求ではなく、大学の理念や目標の実現が最優先されます。しかし、持続的な運営のためには財務管理や経営視点も重要であり、職員には多角的な視野が求められるでしょう。
目次
大学職員の具体的な業務内容

教育・研究支援
大学の根幹となる教育と研究が円滑に進むよう、職員は教員や学生を支える業務を行います。授業運営のサポートとして、シラバスの作成や履修登録の管理を担当するほか、研究費の管理や研究成果の発信支援も行います。さらに、近年では大学の教育や研究の成果を測定し、改善に役立てるためのデータ分析業務(IR:Institutional Research)が重視されるようになってきました。
学生支援とキャリアサポート
学生が充実した大学生活を送れるよう、さまざまなサポートを提供するのも大学職員の役割の一つです。履修登録や成績管理、奨学金の手続き、留学支援などの業務があり、学生が円滑に学業を進められる環境を整えます。さらに、キャリア支援として、インターンシップの紹介や企業との連携、就職相談なども重要な業務となっています。大学は単なる学問の場ではなく、社会へ人材を送り出す役割も果たしているため、職員がキャリア形成をサポートすることが求められます。
大学の経営・運営
安定した大学運営のために、職員は財務管理や施設管理、広報活動などの業務にも携わります。予算の編成や補助金の適切な運用、校舎や研究施設の維持管理、安全対策の実施など、運営に関わるさまざまな調整を行います。また、大学のブランド価値を高めるため、広報活動や地域との連携事業にも力を入れる必要があります。近年では、企業との共同研究や地域社会との協力体制の構築など、大学が社会とより密接に関わる機会も増えており、こうした活動のサポートも大学職員の重要な役割となっています。
大学職員に求められるスキル

コミュニケーション能力
大学職員は、教員、学生、行政関係者、企業担当者など、多様な立場の人々と関わる機会が多いため、適切なコミュニケーションが欠かせません。特に、教員は教育や研究に専念しているため、大学運営の細かな手続きについて十分な知識を持っているとは限りません。そのため、教員の意向を理解しながら、業務を円滑に進める調整力が求められます。
また、学生対応では、履修登録や奨学金の手続きなど、専門的な知識が必要な業務についてわかりやすく説明し、安心して相談できる環境を整えることが大切です。さらに、大学は社会的な説明責任を果たす必要があり、広報や地域連携に関する情報発信も重要になります。
企画・調整能力
大学職員の仕事は、日常的な事務作業だけではなく、新たな施策の企画や運営にも関わります。例えば、新しい教育プログラムの開発支援や、オープンキャンパスの企画、地域連携プロジェクトの立ち上げなど、大学をより良い方向へ発展させるための戦略的な業務が求められます。これらの業務を成功させるためには、大学の全体的な方針を理解し、関係者との調整を行いながら、計画を立案・実行する力が必要です。
法規・制度の理解
大学運営には、文部科学省のガイドラインや各種法規が関係しており、それらを正しく理解し、遵守することが求められます。例えば、大学設置基準や補助金制度の適用、個人情報保護やハラスメント対策など、多岐にわたる法律や制度に基づいた業務運営が必要です。
また、2017年に「大学職員のスタッフ・ディベロップメント(SD)」が義務化され、職員自身のスキルアップの機会が増えました。これにより、大学職員も継続的に学び続け、業務に必要な知識を習得することが求められるようになっています。
チームワークと柔軟性
大学は一つの大きな組織であり、各職員が連携しながら業務を遂行します。教育支援、財務管理、広報など、それぞれの専門分野を持つ職員が協力し合うことで、大学の運営は成り立っています。そのため、チームワークを重視し、円滑なコミュニケーションを取ることが重要になります。
また、大学の環境は変化し続けるため、新しい制度や技術の導入にも柔軟に対応する力が求められます。例えば、オンライン授業の導入やデジタルツールの活用など、時代の流れに適応した業務の進め方を考えなければなりません。
大学職員の基礎研修なら
大学職員は、教育や研究の現場を支え、大学の円滑な運営を担う重要な役割を果たします。
ビズアップ総研の高等教育基礎研修では、大学職員の仕事の流れをおさえ、つぎに、大学職員の業務で重要となる大学関係法令の読み方や、文書作成・保存方法などの基礎的知識・スキルを身につけます。
信頼される大学職員になるために
大学職員は、学生や教員、地域社会から信頼される存在であることが求められます。そのためには、業務を正確に遂行すること、期限を守ること、情報共有を徹底することが基本となります。また、個人プレーではなく、チームの一員として協力しながら仕事を進めることも大切です。
さらに、継続的に学び、業務の質を向上させる努力も必要です。大学運営に関する知識を深めることはもちろんのこと、社会一般の出来事にも関心を持ち、幅広い視野を持つことが求められます。
まとめ
大学職員は、教育・研究の支援、学生のサポート、大学の経営・運営など、多岐にわたる業務を担当します。大学の理念や目標を実現するために、職員一人ひとりが主体的に行動し、環境を整えることが求められます。
また、大学職員には、コミュニケーション能力、企画・調整能力、法規の理解、柔軟な対応力などが必要です。時代の変化に応じて大学運営のあり方も進化していくため、常に新しい知識を吸収しながら、業務の質を向上させることが重要でしょう。
大学職員の仕事は、教育の未来を支え、社会に貢献するやりがいのある仕事です。興味のある方は、ぜひ大学職員の役割についてさらに深く学んでみてください。