電話応対が怖い人へ〜新入社員向け電話応対の対策とコツ~
社会人になって今までほとんどの人がやったことがなかったことに電話応対が挙げられると思います。
どの課でもどうしても避ける事ができない業務であるため、電話対応のスキルは必要不可欠といえるでしょう。しかし、若い新入社員は電話対応を苦手とする人がたくさんいます。
本記事では、一般企業に入社した新入社員に求められる電話応対やその例文、取り継ぎ方や電話メモの書き方、緊張する人向けのアドバイスなどを紹介していきます。電話対応を苦手とする方は参考にしてみてください。
目次
電話対応が苦手な理由
電話対応が苦手な理由は各種各様です。
克服のカギは、苦手となった原因を解明することにあります。原因の詳細がわかりさえすれば、案外どうってことはないと思うかもしれません。
業務における電話対応が苦手な理由は主に2つあります。
SNSの多様化
いわゆる「Z世代」と呼ばれる若い世代の人たちは、携帯電話・スマートフォンを使うようになってからコミュニケーションツールとして多用しているのがSNSであるため、電話での会話をほとんど行ったことがないのが現状です。
電話を使用したとしても、せいぜい友人や家族にたまに連絡を取る程度で、稀にアルバイト先の店長やバイトリーダーに業務連絡を受けるくらいです。まず今のアルバイトの連絡ツールは「LINE」が主流であるため、社会に出るまで電話での会話をまともにしたことがない人がたくさんいるでしょう。しかし、社会に出ると取引先と交渉や顧客から問い合わせを受けるといった電話を使う場面の方が多いです。
正しい電話対応のやり方を就職して初めて知る人が多いと思われるので、自分だけうまくいかない・苦手意識を持っているから恥ずかしいなんて思わず、先輩職員に積極的に質問してみましょう。
人見知り
SNSの普及によって電話対応のやり方がわからないこともあるでしょうが、そもそも面と向かってどころか見ず知らずの人とほぼ直接会話することに慣れていないため、人見知りしてしまう人が多くいるようです。
昨今チャットアプリが増えてきていることや問い合わせすらほとんどメールでしか対応していないところも増えてきているため、ますます会話することが少なくなってしまっています。
また、SNSの利点として会話の内容が文字で表示されるため、返答に困る内容や考えて話さなければならないことに対して、電話ではほぼノータイムで返答しなければならないところを、SNSではリアルタイムで会話が動いていたとしても考える時間が少なからずあるため、人見知りでも気兼ねなく会話できてしまいます。
電話は音声のみで会話が行われるため、その人の話し方や声の印象が注目されます。人見知りの場合、緊張で詰まってしまったりぼそぼそと喋ってしまったりして相手に不快感や困惑を与えてしまう可能性が出るのではないか、と人見知りの人は思い込んでしまいさらに話せなくなってしまいます。まずは、深呼吸して気持ちを落ち着かせましょう。
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慣れていない状態で電話対応の正しい方法を先輩職員がやっているのを見て覚えるのは至難の業でしょう。
マニュアルをもらってすべての対応を正しくやり切ろうとするのも現実的ではありません。まずは土台として覚えてほしい3つのポイントがあります。
メモの用意
まずはメモ帳を用意するようにしましょう。
電話対応の業務に限らず筆記用具は何かと使うことが多いため、自分のデスクには常にメモ帳と筆記用具を用意するようにしましょう。
重要なことを聞き逃さずすぐにメモできるようにしたいところですが、言われたことすべてをメモしていては会話の内容がわかっていなかったり、最も重要なことを聞き逃してしまう恐れがあります。そのため、要点を押さえて記録する癖をつける必要があります。
まず、「会社名・部署名・氏名・用件」は必須項目です。用件だけに気がいって誰からの問い合わせかがわからないなんてことにならないようにしましょう。電話対応中のメモにおいて、誰でも読みやすい字を書くことは気にせずに自分さえわかれば良いので、走り書きや略語などで雑に書いても特に問題はありません。
報連相
新入社員という立場であるため、相手方の質問にはすぐに正しく答えることはできないことがほとんどです。
その時点ではすぐに回答をせず、一旦分かる者が不在なため確認してから折り返しの電話を入れる事を伝えたり、上司に相談する旨を伝えたりして明言は避けるようにしましょう。
保留機能を使って、上司や先輩職員に確認・相談をすることや、電話を取り継ぐことが可能かどうか事前に確認しておくのも良いでしょう。誰から・どんな用件だったか・不明点はないかなどのような「報連相」を忘れないようにしましょう。
言葉遣い
電話対応では相手は取引先や顧客であるので、必ず敬語で対応しなければなりません。
当然ですが、ビジネスシーンに合った言葉遣いが求められてしまいますが、普段かしこまって話す機会がない人たちは電話ですぐに敬語を使おうとしてもちゃんと言葉にすることができません。
気にしすぎていると相手にとっては失礼な態度になったり、不自然な会話になったり、考えすぎて声が出ていなかったりしてしまうことがあります。言葉選びに意識が向きすぎているとこちらにとって不本意な結果を招いてしまう恐れがあるのを頭に入れておきましょう。
相手が電話対応に不慣れなことは電話口でもすぐにわかってしまいます。伝えたいことは丁寧に真摯に伝えて、聞く姿勢が整いさえすれば自ずと理解が得られるので、無理しすぎずに伝えていきましょう。
敬語の種類
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があります。
- 尊敬語:目上の人や立場が上の人を敬い、相手を立てる気持ちを表す
- 謙譲語:自分がへりくだることで相手を立て、敬意を表す
- 丁寧語:誰に対しても使える
3つの敬語の早見表を作成しました。これからの電話対応に役立たせてください。
敬語 | 尊敬語 | 謙譲語 | 丁寧語 |
対象 | 相手 | 自分 | 誰でも |
する | なさる・される | (自分から一方的)いたす(相手を立てる)させていただく | します |
言う | おっしゃる | 申す・申し上げる | 言います |
行く | いらっしゃる・お越しになる | うかがう・参る | 行きます |
来る | おいでになる・見える | 参る・伺う | 来ます |
知る | お知りになる・ご存じ | 存じ上げる・承知する | 知っています |
いる | いらっしゃる | おる | います |
見る | ご覧になる | 拝見する | 見ます |
聞く | お聞きになる | 拝聴する | 聞きます |
会う | お会いになる | お目にかかる | 会います |
伝える | お伝えになる | 申し伝える | 伝えます |
わかる | おわかりになる・ご理解いただく | かしこまる・承知する | わかりました |
考える | お考えになる・ご高察なさる | 拝察する・検討いたします | 考えます |
待つ | お待ちになる | お待ちする | 待ちます |
家 | 御宅(おんたく) | 拙宅(せったく) | |
会社 | 貴社・御社 | 弊社 |
定型文を覚える
名刺交換やメールと同じように、電話応対にはある程度決められたフォーマットがあります。電話が来るたびに緊張してしまうという人は、定型文を覚えてしまうというのも一つの方法です。下記に電話応対の定型文のフォーマットを用意しました。これらの文章を何も見ないで言えるくらいまで覚えることで、気持ち的にも大分楽になります。
例文(電話を受ける場合)
お電話ありがとうございます、株式会社〇〇・△部の山田でございます。
〇〇工業・△部の酒井様でいらっしゃいますね。
いつもお世話になっております。恐れ入りますが、ご要件をお伺いしてもよろしいでしょうか?~用件を復唱・メモを取る~
私、山田が承りました。今後ともよろしくお願いいたします。
それでは、失礼いたします。
例文(電話をかける場合)
お世話になっております。◯◯株式会社、△部の山田でございます。
△部の酒井様はいらっしゃいますでしょうか?
□□の件でお電話いたしました。~□□の部分についての詳細な説明~
今後ともよろしくお願いいたします。
それでは、失礼いたします。
注意すべき点として、原則として電話をかけた自分が切るというのがマナーとなっていますが、目上の人や顧客が相手の場合はすぐに切らないのがマナーなので、少し待ったうえで相手がなかなか切ってこない場合はこちらから切断しても大丈夫です。
終わりに
電話対応とは新入社員にとって最初につまずいてしまうものであり、最初に触れるビジネスマナーを学ぶ場でもあります。敬語やその種類、話すスピード、声量など気にしなければならない点はたくさんあるため、新入社員の方々はただでさえ不得手な電話を苦手を通り越して嫌いと思ってしまうのも無理はないと思います。
ベテランであっても常に必要な電話対応ですが、古き慣習で電話対応は新人の仕事などと甘い考えを持って業務にあたっていると、自分どころか会社にも損害を与えてしまうかもしれません。
電話対応が嫌で退職してしまう、という最悪な結果にしないために嫌い→苦手→普通くらいにステップアップして業務にあたれるように頑張ってみてはいかがでしょうか。