社内DXが進まない…!RPAで業務効率化を加速させる5つのポイント

社内DXが進まない...!RPAで業務効率化を加速させる5つのポイント

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DX推進の一環としてRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入しようとすると、必ずぶつかるのが「社内の説得」です。

ツールの選定や技術的な準備は順調に進んでいても、いざ社内展開を進めようとすると、

  • 経営層からは「費用対効果が見えにくい」と指摘される
  • 現場からは「自分の仕事がなくなるのでは」という不安の声が上がる
  • プロジェクトは止まっていないのに、前にも進まない

このような状態に陥っている情シス担当者やプロジェクト責任者は多いのではないでしょうか。

本記事では、RPA導入時によくある社内での障壁とその解決策を、「コストの不安」「現場の抵抗」「社内説得」「効果測定と改善」という4つの視点から整理します。導入を「止めない」ためではなく、「着実に進める」ためのヒントを、実務ベースでお届けします。

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目次

RPAで業務効率化を実現するための基本知識

自動化技術としてのRPAとは何か

RPA(Robotic Process Automation)は、定型的な業務プロセスをソフトウェアロボットが自動で処理する技術です。主に、画面操作の自動化によって人手による繰り返し作業を代替します。従来の大規模なシステム開発とは異なり、既存の業務システムに手を加えず導入できる柔軟性が大きな特長です。そのため、スモールスタートがしやすく、短期間での実装も可能です。

また、シナリオ単位での改善や修正が容易で、運用しながら柔軟にチューニングできるというメリットもあります。ただし、RPAはあらゆる業務に適応できる万能ツールではありません。業務の標準化が不十分で、手順が人によって異なる場合や、例外処理が頻発する業務には向いていないため、導入前に業務整理を行うことが成功の前提条件となります。

情シス部門としては、まず業務のばらつきを抑え、フローを明確にする「前準備」を丁寧に進めるべきです。RPAはあくまでDXの入口であり、その先にある業務全体の見直しと併走させる視点が重要です。

RPA導入で得られる効果

RPAの最大の効果は、作業時間の短縮とヒューマンエラーの削減です。入力作業や集計業務を自動化することで、人的ミスを防ぎ、業務の正確性とスピードを同時に高めることができます。また、夜間や早朝の無人稼働によって処理の安定性も向上し、繁忙期でも一定の処理量を担保できるようになります。

さらに、RPAによって作業手順が標準化されるため、業務の可視化や監査対応にも強くなります。結果として、業務品質が安定し、効率化と内部統制の両立が図れるようになります。

一方で、RPAは導入しただけでは評価されにくく、「どれだけ効果があったか」を明確に示すための仕組みが欠かせません。そのため、導入前後で作業時間・処理件数・エラー率といった定量的な指標を測定・比較し、関係者に共有することが重要です。

情シスの責任者は、RPAの導入段階からこの評価計画を組み込んでおくことで、組織全体の信頼を獲得しやすくなります。特にスモールスタートによって、小さな成功を早期に共有することが、次の展開を加速する原動力になります。

情シスが押さえるべき5つのRPA活用ポイント

① 業務選定の明確化
② 小さく始めて成功体験を積む
③ 社内への説明と合意形成
④ 継続的な改善と運用体制
⑤ DX全体戦略との連携

業務選定の明確化

RPAは、定型で繰り返しが多く、例外が少ない作業に向いています。日次・週次の帳票作成やマスタ更新など、効果が可視化しやすい業務から選定します。手順の文書化や入力ルールの整備が成功率を高めます。

いきなり部門横断を狙うと調整が重くなるため、まずは1部門で実施し、成果と学びを蓄積するのが得策です。定期的に業務を棚卸し、入れ替えを前提に継続的な見直しを行います。

小さく始めて成功体験を積む

パイロット導入は、小さな範囲で学びを得る絶好の機会です。テストと運用を繰り返しながら、手順の標準化と効果の可視化を進めます。レポートで成果を共有することで、組織の理解も深まります。

導入効果は、削減時間や処理件数などの数値で示すことが不可欠です。成功事例はテンプレート化し、次の導入に活かします。

社内への分かりやすい説明と合意形成

意思決定層には投資回収の見通し、現場には作業負担の軽減効果を伝えることが重要です。導入費用と運用費用、品質向上やリスク低減の効果を、定量・定性の両面で説明します。

現場には、「毎日2時間の作業が15分に短縮」など、具体的なイメージで伝えると協力が得やすくなります。わかりやすい用語を使い、質問しやすい雰囲気も意識します。

継続的な改善と運用体制の構築

導入後の運用が安定性を左右します。小規模チームを置き、監視と改善を担当させます。変更管理ルールや障害対応フローを整え、復旧スピードを高めます。

ツールの更新やセキュリティチェックも定期的に行いましょう。ログ分析を通じて改善のヒントを得ることも有効です。運用の知見は社内で共有し、属人化を防ぎます。

DX全体戦略との連携

RPAは単体導入ではなく、他のツールや基盤と連携させて効果を拡張します。ワークフローやAIとの統合、データ活用との連動により、意思決定支援にもつなげられます。

単発導入で終わらせないために、ロードマップで優先順位を明示し、KPIと連動させて全社最適化を図ります。RPAはDXポートフォリオの中核として、長期的に活用すべき施策です。

RPA導入の障壁と解決策

コストに関する不安

RPA導入における最大の懸念は、やはりコストです。初期費用やライセンス費用が明確に提示されることで、負担感が先に立ち、導入判断が慎重になります。さらに、運用コストが不透明な場合、投資の判断が先送りされがちです。

そこで重要となるのが、定量的な効果の換算です。たとえば、年間で削減できる作業時間を人件費に換算し、ROI(投資対効果)を試算します。また、監査対応の容易化や品質向上といった効果も、定性的に整理することで、「費用」ではなく「経営施策」としての位置づけが可能になります。

一方で、全社同時導入を狙うと費用対効果の説明が難しくなるため、まずはパイロット導入で実証データを蓄積し、段階的な展開が効果的です。DXに取り組む情シスの責任者は、会計部門とも連携し、効果算定の基準づくりから取り組む必要があります。

現場からの抵抗

現場からの抵抗の根底には、「仕事を奪われるのでは」という不安があります。さらに、新しいシステムや運用方法に対する負荷増への懸念も加わり、心理的なハードルは高くなります。

この不安を解消するには、業務の再設計が欠かせません。定型業務の自動化によって空いた時間を、顧客対応や業務改善、分析などの付加価値業務へと再配分する役割転換を提案します。そして、丁寧な教育と現場への伴走により、不安を希望へと変えていくことが求められます。

説明が抽象的すぎると納得感が得られません。たとえば、「毎月の締め処理が1日短縮される」といった、具体的で身近な成果例を用いることで、理解と協力を引き出しやすくなります。情シスの責任者は、現場の声を計画に反映させながら、少しずつ合意形成を進めていくことが重要です。

社内説得のポイント

社内での説得は、設計されたコミュニケーションのプロセスとも言えます。まず、経営層に対しては「コストと効果」のストーリーを明確に描き、現場には「負担軽減とスキルアップ」の道筋を示すことが求められます。

さらに、外部事例と自社データを組み合わせて提示することで、再現性のある取り組みとしての信頼性が高まります。こうして、小さな成功から全社展開へとつながる納得感のあるロードマップを描くことがポイントです。

反対に、情報共有の頻度が低いと、現場の期待や関心は薄れてしまいます。定期的に成果や改善内容を共有し、透明性を持った進捗報告を行うことで、信頼が継続します。また、情シスの責任者は、説明資料をテンプレート化・定型化することで、説明の一貫性と品質を保つことができます。

導入後の効果測定と改善

効果測定は、導入の信頼性を裏付ける基盤となります。まず、事前にKPIを設定し、削減時間・処理件数・エラー率・稼働率といった指標を定点で追いかける体制を整えます。そして、定例会やレポートで結果を共有しながら、都度改善を加えていくことで、施策の継続性が確保されます。

ただし、数字だけでは測れない効果も存在します。たとえば、監査対応のしやすさや、属人化の解消などは、定量化しにくいものの業務上の大きな価値です。情シス部門は、こうした定性的な成果もストーリーとして整理し、数値と組み合わせて意思決定を後押しする視点を持つことが求められます。

RPA導入の壁を乗り越えるために

RPAは、業務効率化の起点として非常に有効な手段です。しかし、導入そのものよりも、社内の合意形成や現場の不安解消、費用対効果の説明といった「説得・理解」のプロセスにこそ、多くの時間と労力が必要になります。

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