乙種第4類 危険物取扱者試験の過去問題集

乙種第4類 危険物取扱者試験の過去問題集

乙種第4類危険物取扱者、通称「乙4(オツヨン)」は、ガソリンや灯油などの引火性液体を安全に取り扱うための国家資格です。
試験は消防法に基づき実施されており、法令・基礎的な物理化学・危険物の性質とその取扱いの3分野から構成されます。

この記事では、各章ごとにまず学習内容の解説をわかりやすく整理し、そのあとに実際の過去問を取り上げて理解を深める構成でお届けします。

目次

法令分野の学習情報と過去問

学習情報(法令)

法令分野は、試験全35問中15問前後が出題される最重要パートです。
ここでは「消防法」に関する知識、施設の構造や申請・届出義務、保安距離・指定数量などの制度的な枠組みの理解が求められます。

特に重要なのが以下のポイントです:

危険物の分類と指定数量

乙4で対象となるのは第4類危険物(引火性液体)
この中にも「特殊引火物」「第1石油類」「アルコール類」「第4石油類」などに細かく分類されており、それぞれに**「指定数量」**が設定されています。
複数の危険物を同じ場所で取り扱う場合には、各物質の「貯蔵量 ÷ 指定数量」の合計(=倍数)で管理します。

施設の安全基準と保安距離

製造所や貯蔵所には、「構造」「設備」「位置」に関する安全基準が設けられており、病院や学校のような**公共施設との距離(保安距離)**も定められています。
また、施設の内容に変更がある場合は、市町村長や知事への届出や許可申請が義務づけられています。

消火設備の種類

危険物施設には、危険物の性状に応じた消火設備を備える必要があります。たとえば粉末消火器や泡消火器、ハロゲン化物消火器などがあり、適切な種類を使い分ける知識が問われます。

過去問(法令分野)

問1:法別表第1に掲げる第4類危険物に該当しないものはどれか。
  • 1、特殊引火物
  • 2、第1石油類
  • 3、アルコール類
  • 4、アルキルアルミニウム
  • 5、第4石油類
【正解】4、アルキルアルミニウム
→ アルキルアルミニウムは第4類ではなく、「自己反応性物質」に分類されるため、第4類危険物には該当しない。
問2:製造所の構造に関して、誤っているものはどれか。
  • 1、危険物の加熱設備には温度測定装置が必要
  • 2、静電気除去装置の設置が義務
  • 3、危険物は直火で加熱する構造とする
  • 4、圧力が上がる設備には安全装置が必要
  • 5、飛散や漏れを防ぐ構造が必要
【正解】3、危険物は直火で加熱する構造とする
→ 直火はNG、安全な加熱方式が原則。
問3:設備変更がない場合でも届出が必要なケースは?
  • 1、貯蔵する危険物の品名や数量を変更する
  • 2、危険物保安監督者を選任する
  • 3、保安監督者を解任する
  • 4、製造所の所有者が変わる
  • 5、製造所を廃止する

第2章:基礎的な物理・化学の学習情報と過去問

学習情報(物理・化学)

この分野では、「燃焼」や「引火・発火の原理」、静電気や状態変化、燃焼熱などの理科的な基礎知識が問われます。文系の方には少し苦手意識があるかもしれませんが、出題パターンは比較的定型的です。

燃焼の三要素

可燃物が燃えるためには、以下の3つが同時に存在する必要があります:

  • 可燃物(燃える物質)
  • 酸素供給源(空気など)
  • 点火源(火花や高温)

引火点・発火点の違い

  • 引火点:火を近づけたときに引火する最低温度
  • 発火点:火を使わなくても自然に発火する温度

これらの違いは毎年のように問われる頻出項目です。

静電気と火災

静電気は電子の移動によって発生し、燃焼の引き金になることがあります。
「陽子が移動する」といった誤記に惑わされないようにしましょう。

過去問(物理・化学)

問4:燃焼とは、一般に「熱と光の発生を伴う【B】分解反応」と説明される。この【B】の説明は正しいか?
  • 1、正しい(分解反応)
  • 2、誤っている(酸化反応が正解)
問5:引火点とは何か?
  • 1、自然に火がつく最低温度
  • 2、火を近づけなくても燃える温度
  • 3、蒸気圧が最大になる温度
  • 4、火を近づけたときに引火する最低温度
  • 5、水と混ざらなくなる温度
問6:静電気に関する説明のうち、誤っているものはどれか?
  • 1、良導体に帯電体を近づけると電荷が移動する
  • 2、静電気とは流れない電気である
  • 3、箔検電器で電荷を確認できる
  • 4、陽子の移動により静電気が発生する
  • 5、電荷の総和は変わらない

危険物の性質とその取扱い・火災予防

学習情報(性質・消火)

この章では、第4類危険物の特徴や、実際の取扱・貯蔵方法、火災が起きた場合の消火方法の選び方などが出題されます。具体的な物質(ガソリン・灯油・キシレンなど)の性状や比較問題が多く出ます。

引火性液体の特徴

  • 蒸気は空気より重く、低い場所に溜まる
  • 引火点が低いため、常温でも引火リスクあり
  • 蒸気が拡散して離れた場所で着火する「蒸気爆発」も注意

貯蔵・取扱いの注意点

  • 換気を十分に行い、密閉容器で保管
  • 静電気の除去対策を徹底
  • 火花や高温部への接近を避ける

消火剤の使い分け

  • 泡消火剤:引火性液体の火災に有効(窒息・冷却)
  • CO₂消火器:密閉空間向け(酸素遮断)
  • 粉末消火器:連鎖反応を遮断
  • 水はNG:揮発性液体に水を使うと、火災が拡大する恐れがある

過去問(性質・消火)

問7:第4類危険物の取り扱いで誤っているのはどれか?
  • 1、静電気を除去する
  • 2、液体や蒸気の漏れに注意する
  • 3、蒸気は屋外の低所に排出する
  • 4、火気を近づけない
  • 5、蒸気は屋外の高所に排出する
問8:第4類危険物の火災で不適切な消火方法はどれか?
  • 1、重油に泡消火剤
  • 2、トルエンにCO₂消火剤
  • 3、軽油にハロゲン化物消火剤
  • 4、ベンゼンに粉末消火剤
  • 5、ガソリンに棒状の水
問9:ガソリンの性状として誤っているのはどれか?
  • 1、引火点は-40℃以下
  • 2、流動により静電気を帯びやすい
  • 3、水より軽い
  • 4、灯油と区別するために淡青色に着色されている
  • 5、燃焼範囲は1〜8vol%である

学習戦略と過去問の活用法

乙4試験は、「知識量」よりも「出題パターンへの慣れ」が大きな鍵です。
以下のように学習を進めましょう:

  • 過去問を3周以上繰り返す(解答だけでなく「理由」まで覚える)
  • 間違えた問題をノートにまとめ、復習する
  • 一問一答アプリや暗記カードでスキマ時間も活用
  • 模擬試験形式で時間配分を意識する練習も効果的

まとめ

乙4試験は範囲が広く見えるかもしれませんが、出題される内容はパターン化されています
本記事で紹介したような章ごとの学習と過去問の繰り返しで、確実に合格が狙える資格です。