事業承継税制の提案はリスク?認定取消の恐怖を自信に変える実務の要諦

事業承継税制

後継者が取得する自社株の納税が実質ゼロになる「法人版事業承継税制(特例措置)」。 その節税効果の大きさは圧倒的ですが、一方で顧問先への提案をためらう税理士・公認会計士の先生方も少なくありません。

「一度適用したら、途中でやめられないのではないか」「万が一、認定が取り消された時の責任はどうなるのか」

このような不安を感じるのは、制度の本質が「免除」ではなく、長期にわたる「猶予」であり、極めて厳格な要件管理が求められるからです。制度適用はゴールではなく、数十年に及ぶ長い管理業務のスタートに過ぎません。

本記事では、多くの実務家が抱える「事業承継税制提案のリスク」の正体を解き明かし、その不安を払拭して、年間を通じて自信を持って実務に取り組むためのポイントを解説します。

弁護士・税理士の視点で「死角」をなくす。事業承継税制マスター講座

認定取消の落とし穴から出口戦略(M&A・廃業)までを網羅。単なる制度の暗記ではなく、現場で起こる「想定外」の事態に自信を持って対応できる実務能力を、体系的に習得します。

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目次

なぜ多くの税理士が「事業承継税制」の提案に二の足を踏むのか

「顧問先のためになる制度」であることは理解していても、安易に勧められない事情が現場にはあります。その最大の要因は、制度特有の「取り消しリスク」と「賠償責任の影」に他なりません。

認定取消の恐怖!一括納税リスクと損害賠償の影

事業承継税制の適用において、最も恐ろしいシナリオが「認定取消」です。 本制度は、要件を満たし続ける限り納税が猶予されますが、ひとつでも要件を外せば、猶予されていた税額に加え、期間に応じた利子税を合わせて一括納付しなければなりません。

特に注意が必要なのは、以下のようなケースです。

  • 後継者が代表権を維持できなくなった(解任や辞任など)
  • 資産管理会社とみなされてしまった
  • 継続届出書の提出を失念した

これらが原因で認定が取り消された場合、顧問先には突如として巨額のキャッシュアウトが発生します。その際、「先生が大丈夫だと言ったから適用したのに」というクレームだけでは済まず、最悪の場合、損害賠償請求に発展するリスクさえあります。この「責任の重圧」こそが、積極的な提案を阻む最大の壁となっています。

複雑怪奇な「継続要件」と管理コストの重圧

事業承継税制は、入り口(認定申請)よりも、その後の「管理」が重要かつ困難です。 特例承継期間(5年間)だけでなく、その後も株を保有し続ける限り、継続的な要件チェックと報告義務が発生します。

経営環境は常に変化します。予期せぬM&Aの打診、組織再編、あるいは後継者の健康問題など、長い期間の中では様々なイベントが発生します。その都度、「この変更は税制適格に影響しないか?」「届出は必要か?」を条文に照らして判断しなければなりません。

通常の税務顧問業務の範囲内で、この先何十年も続く制度管理をミスなく行うには、相応の管理体制高度な専門知識が求められます。「報酬に見合わない手間とリスク」を感じ、提案そのものを避けてしまうケースが多いのが現状です。

先生は即答できますか?現場で起こる想定外のリスク
  • 後継者が精神疾患等でやむを得ず退任する場合、猶予は継続できる?
  • M&Aで他社の子会社になる場合、事業承継税制はどう処理される?
  • 特例承継計画の提出後、当初予定していた後継者を変更することは可能?
  • 認定支援機関として、どこまで指導責任を負うべきか線引きがあいまい。

書籍や条文の独学だけでは埋められない「実務の溝」

「制度の概要は解説本を読めばわかる」と思われるかもしれません。しかし、事業承継税制の真の難しさは、マニュアルに載っていない「例外対応」と「出口戦略」にあります。

マニュアルに載っていない「出口戦略」の重要性

制度の適用を検討する際、多くの解説書は「申請の手順(入り口)」には詳しいものの、「やめ方(出口)」については記述が薄い傾向にあります。

事業承継税制は、一度適用すると「一生涯、株を持ち続けなければならない」という強い拘束力を持ちます。しかし、将来的にM&Aで会社を売却したり、事業転換を行ったりする可能性はどの企業にもあります。

  • もし途中でM&Aをすることになったら、税金はどうなるのか?
  • 免除要件を満たして「あがり」にするには、具体的にどうすればいいのか?

こうした出口戦略(Exit Strategy)をあらかじめ設計せずに申請を行うことは、出口のないトンネルに顧問先を導くようなものです。実務では、単なる税額計算だけでなく、経営の将来像を見越した戦略的な判断が求められます。

法務と税務の交差点!弁護士視点の欠如

また、事業承継は税金だけの問題ではありません。「遺留分に関する民法特例」の活用や、種類株式の導入など、法務(会社法・民法)の知識が不可欠です。

税理士だけの視点では、税務メリットを追求するあまり、法的な争族リスクを見落としてしまう可能性があります。税務と法務、そして経営実務。これらを横断的に理解していないと、真に安全な提案は不可能です。

しかし、これら全てを独学で、しかも日常業務の合間に習得するのは現実的ではありません。そこで必要となるのが、「現場の落とし穴」を知り尽くした専門家の知見を、効率的にインストールする仕組みです。

リスクを自信に変える!事業承継税制マスター講座の全貌

事業承継税制の提案において、最も怖いのは「知らないこと」による判断ミスです。条文や通達の解釈一つで、顧問先の将来を左右しかねません。 そこで、独学の限界を突破し、実務家としての足場を固めるために開発されたのが、ビズアップ総研の「事業承継税制マスター講座」です。

本講座は、単なる制度解説にとどまらず、税理士が現場で直面する迷いを解消し、自信を持って業務を遂行するための実践的なカリキュラムとなっています。

基礎から実務、出口戦略まで網羅する3部構成

本講座の最大の特徴は、制度の入り口から出口までを体系的に学べる点です。断片的な知識ではなく、一気通貫したストーリーとして理解することで、応用力が身につきます。

1
事業承継税制(特例)基礎編 制度の全体像やメリット・デメリットはもちろん、特例承継計画の確認申請から認定申請までの流れを整理。まずは制度の骨格を確実に理解します。
2
事業承継税制(特例)実践編 認定支援機関としての指導のポイントや、申請書類の作成実務を深掘りします。どこまで指導すべきか、ミスしやすいポイントはどこかといった、実務家が最も知りたい部分をカバーします。
3
出口戦略・組織再編編 多くの書籍で手薄になりがちな出口(Exit)を徹底解説。M&Aやホールディングス化、あるいは廃業といった選択肢と事業承継税制の絡みを学びます。認定取消を回避しつつ、どのように経営のバトンを渡すか、高度な判断力を養います。

制度改正を主導した立役者たちが直接指導

本講座の講師陣は、単なる実務家ではありません。現在の事業承継税制(特例措置)の制度設計そのものに関わった、まさに「制度の生みの親」とも呼べるスペシャリストたちです。

講師を務めるのは、日本の上場承継をリードしてきたトップランナーである玉越 賢治 税理士。 そして、中小企業庁で事業承継税制の改正を主導した「2人の若き専門家」、北澤 淳 税理士伊藤 良太 弁護士です。

なぜ、この条文が作られたのか。制度の裏側にある意図とは何か。 教科書的な解説ではなく、「作る側」の視点から語られる講義は、制度の本質的な理解を深め、実務における応用力を飛躍的に高めます。税務と法務、双方の視点から「現場の正解」を学べる、他に類を見ない講座です。

独学 vs マスター講座:実務対応力の差

書籍やインターネットでの独学と、本講座で学ぶことには、実務対応において決定的な差が生まれます。

比較項目 一般的な独学・書籍 本マスター講座
学習の視点 制度要件や計算方法が中心
(点の知識)
法務・税務・出口戦略の連携
(線の知識)
講師の専門性 解説者による二次情報が中心 制度改正を主導した当事者
による一次情報
出口戦略 記述が少ない、または専門書が別途必要 M&Aや組織再編との併用を
具体的に解説
学習効率 難解な条文の読み解きに
多大な時間を要する
eラーニングで要点を凝縮
繰り返し視聴で定着

事務所の「高付加価値化」を実現する武器として

事業承継税制への対応は、単なる手続き代行ではありません。数年、数十年というスパンで企業の存続を支える、極めて付加価値の高いコンサルティング業務です。

この分野に精通することは、事務所にとって高単価業務の獲得だけでなく、顧問先からの絶対的な信頼に繋がります。逆に言えば、生半可な知識で対応することは、事務所経営にとっても大きなリスク要因となり得ます。

いつでも見返せるeラーニングという形式は、実務で迷った際の「辞書」としても機能します。必要な時に、必要な知識を即座に確認できる環境を持つことは、精神的な安定にもつながるはずです。

まとめ

事業承継税制は、その効果の大きさゆえに、リスクと責任も重大です。しかし、正しい知識と出口戦略を持っていれば、これほど顧問先に貢献できるツールはありません。

リスクが怖いから提案しないのではなく、リスクを完全に把握しているからこそ、自信を持って提案できる。 そう言い切れる専門家になるために、ぜひ本講座で制度の核心を学んでください。それが、貴事務所と顧問先の双方を守る、最も確実な投資となるはずです。


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