無意識のフキハラに注意!上司が注意するべき不機嫌ハラスメントとその対策

生きている限り誰でも不機嫌になることはあるでしょう。それが一時的で、表面的に見せることがなければ問題ないはずです。

ところが、態度を露骨に出してしまう性格の人も少なからず存在します。不機嫌さを表面に出して被害を与えることを不機嫌ハラスメント、もしくは略して「フキハラ」と呼ばれていることをご存知でしょうか。

とくに職場の上司が引き起こしてしまうフキハラは、コンプライアンスや働き方改革が騒がれる現代において問題視され始めてきました。
本記事では、職場の上司が気をつけておきたいフキハラについての概要と、リーダーとしてフキハラを予防するための対策やポイントを解説します。

目次

フキハラの概要

不機嫌ハラスメントは、略して「フキハラ」とも呼ばれます。

ある人が不機嫌な状態であることを周囲に八つ当たりして困らせてしまうシチュエーションを指します。不機嫌になると口調や態度が今までと比べて変貌し、露骨に嫌な態度を示し始める癖を持った人物によるものです。

フキハラが起こる場所はさまざまで、家庭や職場、交友関係などの複数の人々が集うところで顕著になっています。フキハラが起こると周囲の人々は気遣いすることになり、対象者をなだめるような言動が日常茶飯事となるので、環境が悪化していくことでしょう。

フキハラは周辺に広まりやすい

フキハラが厄介な点は、周囲にまき散らして伝染させてしまうことです。

周囲へ気を遣わせ困らせることが恒常化しやすくなり、次々に連鎖してしまうでしょう。職場などでは、部署内に不機嫌な態度を取る人が増えていく可能性も高まってしまいます。

不機嫌な人をなだめようとして逆に不機嫌となり、その矛先として他の関係ない人物へも不機嫌な態度を現すといった循環ができる恐れがあるのです。とくに上司が部下へフキハラを犯し、その不機嫌さが他のスタッフへも伝染するという悪循環に及んでしまいます。

フキハラは、簡単に広がってしまうのが特徴です。

フキハラは無意識に職場を巻き込む

フキハラを引き起こす時、無意識な態度のまま現れているケースが多いとされています。日によっては体調が優れない、あるいは過労などが重なり、意図していないのにフキハラの加害者になってしまいかねません。

誰しも機嫌のよい時・悪い時があるのが当然ですが、自分でもわかっていてコントロールできれば、相手に迷惑をかけることがないはずです。ところが、フキハラ気質の人物はほとんどが無意識のまま犯しています。

自分では普段のままのつもりでいて気がついていません。職場では、そのチームのリーダーなどが陥りやすいとされています。上司である以上、部下への指導や忠告のつもりでいても、フキハラが恒常化していれば、高圧的な態度や不機嫌な様子を見せてしまうことがあるのです。

その様子を見て責任のないスタッフが、自分に非があるものと錯覚する恐れがあります。たった一人の理不尽な感情が、周りを巻き込んで悪い方向へ促してしまうのです。

上司が気をつけたいフキハラのパターン

家庭や職場など複数の人々が交流する場でフキハラが生じますが、中でも多いのは職場であり、その部署の責任者の上司が思わず犯していることがあります。

上司として部下たちと接する際に、どのような点に気をつけるべきでしょうか。

まずは、上司が犯してしまうフキハラのパターンを知っておきましょう。

無言による威圧感

部下が感じやすい上司のフキハラとしては、無言で不機嫌な態度を取る場合です。提出した報告書などについて、何も言わず突き返すといった行動や、読んだ後に深いため息をつくといった、態度が露骨すぎる時が該当します。

本人はとくに無意識でいつものように振る舞っているだけですが、部下からすれば自分の仕事を認めてもらえないものと判断し自信を失うかもしれません。職場ストレスの原因にもなりかねないフキハラのパターンです。

特定の部下だけをターゲットにする

上司が犯しやすいフキハラのパターンの1つは、特定の部下や同僚にだけ不機嫌な態度を取るような場合です。

他の職場スタッフに対しては笑顔で接しているのに、特定の人物を目の前にすると無表情で冷酷な態度を取ってしまいます。人の好き嫌いが激しくて表に出やすいタイプでもあります。このような上司の態度を受けてしまった部下は孤立感を覚えるでしょう。

その職場での居心地の悪さを感じ始めてしまい、その後の成り行き次第では退職してしまうかもしれません。

舌打ちやため息が癖になっている

普段より無意識にため息をついたり舌打ちをする上司がいる場合、フキハラに該当するかもしれません。部下が報告などをしている最中、ため息をついている上司がいませんか。

傍から見ると、部下がミスをして迷惑をかけているように思えてしまいます。第三者にも悪影響で、その職場全体が萎縮してしまうことになるでしょう。せっかく前向きに仕事をしたくても、そのような上司が一人いるだけで雰囲気が台無しになってしまいます。

無視や無反応な態度になる

フキハラの疑いがある上司は、部下が挨拶をしても返事をしない、話しかけても無視するといった露骨に不機嫌な態度を示します。部下としては、自分が上司に嫌われているものと判断してしまうでしょう。次第に精神的なストレスにも発展しかねません。

上司がフキハラを犯す原因

フキハラ気質な上司が不機嫌な状態に陥ってしまう場合、なにか思わぬ原因が潜んでいるのでしょうか。

ここでは、職場の上司がフキハラを起こしてしまう原因について解説していきます。

権力を誇示したいから

上司が部下に対してフキハラする場合の原因は、権力誇示のためが多いとされています。部下のミスを上司として睨みを利かせることで、自分のポジションを強引に確立させ、支配欲を満たしたい場合です。そのような上司ばかりとは到底思えませんが、ゼロではないことも現実だといえます。上下関係や立場を見せつけたい欲求が、無意識に働いているからです。

責任回避をしたいから

この場合は、かなり悪質な上司となりますが、自分の責任転換をしたいためです。自分がしでかしたミスや失敗にもかかわらず、他人に押し付けて不機嫌な態度を取ってしまいます。

なにかの重大なプロジェクトが失敗した場合、上司があえて不機嫌な態度を見せ、自分の責任を回避している場合です。必ずとはいい切れませんが、その部署に限らず企業全体が良識に反している可能性もあるので、まずは第三者に相談するほうがよいでしょう。

当人の周辺が環境悪になっている

フキハラの加害者である上司の生活環境に問題がある場合も考えられます。感情コントロールが上手くできないため、つい職場で部下にあたってしまうのです。

ADHD(注意欠如・多動性障害)のような精神疾患がある場合や、子供の頃からのトラウマなども考えられるでしょう。また、体調不良や家庭での個人的事情を抱えていて、いつも苛立ったまま職場に来ているのかもしれません。

さまざまな要因が潜んでいるため、その原因を突き止めて解決するしか方法がありません。

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上司のフキハラが企業にもたらす悪影響

職場の上司によるフキハラは、時と場合によっては部署内にとどまらず、企業全体にも悪影響を与えかねません。そうならないためにも、フキハラが企業にもたらす悪影響が何かを知っておきましょう。

おもに以下の4つの悪影響が考えられます。

周囲へ蔓延してしまう

フキハラは周囲への影響が大きいことは前述しました。そして受けた人数がが多くなれば、ますます周囲に不機嫌な雰囲気が伝染します。

職場全体が落ち着かず、スタッフ全員がいつもイライラしたりビクビクしてしまうのです。ネガティブな雰囲気に支配され。いつの間にか自分自身もネガティブな気持ちに陥ってしまいます。

たった一人の上司による不機嫌な態度が、部下全員に不快感を与えてしまうのです。

生産性の低下

上司のフキハラが原因となり、各スタッフのモチベーション低下を招くので、企業の生産性を低下させます。

嫌な空気が漂う職場では、集中力も低下し始めるでしょう。報告業務さえも遅れたり、ミスがますます増えていきます。業務に集中できなくなるので、成果が出るどころかミスが起こりやすくなるでしょう。

やがて企業全体へも悪影響が及び、商品・サービスの品質低下を招いて業績悪化が著しくなります。

企業イメージの悪化

フキハラが発生したことが社外に漏れてしまうと、企業イメージが下がります。
今どきハラスメントを起こすような企業は生き残れないのが通説です。下手をすると、ハラスメントを放置している企業としてレッテルを貼られてしまいます。

認知度のある企業であればあるほど、取引先や顧客へも影響を及ぼしかねません。信頼を取り戻すための改革をせざるをえないでしょう。そうならないためにも、上司によるフキハラは見て見ぬふりをしてはいけません。

また自分に部下がいるという立場の人は、フキハラについての正しい認識をすることが大切です。

離職率が高まってしまう

上司のフキハラは、職場スタッフに嫌悪感を与えます。しっかり改善されればいいのですが、全くそのような兆候がなく悪化したままでは、従業員は次々に退職し始めます。

不快な職場環境に耐えるよりも、今は新天地を求める発想に至る人のほうが多いからです。仮に、状態がさらに悪くなって休職者や離職者が出てしまうようでは、仕事の割り振りなどにも影響があるでしょう。

既存スタッフは、余計な仕事を引き継がれて、嫌々やらされている意識を持ちます。関係のない人物にストレスを与えてしまうので、離職率がますます高くなるでしょう。

無自覚なフキハラを防ぐための対処方法

フキハラは、無自覚なまま起こってしまうケースです。自分では全くハラスメントを犯している自覚がないのに、実際には上司として部下に圧力をかけているかもしれません。

しかし、そうならないためには、まずフキハラを含めた職場でのハラスメントへの認識と理解をしておくだけでも、かなり予防策になるはずです。ここでは、上司として気をつけておきたいフキハラ防止対策について解説します。

アンガーマネジメントを勉強する

企業の上司として自覚があるのなら、アンガーマネジメントに関心を寄せて、自分でも勉強しておくことが大切です。

アンガーマネジメントとは、怒りの感情との付き合い方を体系化したものです。怒りや憤りの感情を自分で賢くコントロールする手法のことで、 1970年代からすでにアメリカで研究され続けています。

アンガーマネージメントに関する書籍なども多く販売されていますし、探せばセミナーや講演会なども多く開催中です。自分は該当しないだろうからと無視するのではなく、上司として責任感があるのなら、アンガーマネジメントへの認識は義務だと思って、自主的に勉強していきましょう。

定期的にセルフチェックをする

上司として健全に勤めていきたいのであれば、定期的にセルフチェックをおすすめします。

自分の性格や感情について客観的に知っておくことが目的です。フキハラは無意識なまま犯してしまうので、あえて意識的にチェックをすることで、ある程度の予防に繋がります。

例えば、以下のような項目をチェックしてみましょう。

  • 自分の思い通りにいかないとイライラする
  • 気分に左右されやすく思い込みが激しい
  • 愚痴・不満・噂話などを言いたくなる
  • 承認欲求が強いと感じることがある
  • あえて言わなくてもわかるだろうと思い上がってしまう
  • 気がついたら貧乏ゆすりをしてしまう
  • 常に体調がすぐれない

これらの内容について、毎月でもいいので振り返ってチェックしてみましょう。もし、思い当たる節があれば、自分なりに改善策も考えることが可能です。これは決して自分を卑下することではなく、客観的判断を養う意味でも役立つでしょう。

基本的な健康管理をする

上司として以前に、なによりも自分の体調を管理することが重要です。過労・ストレスなどに自覚があるようでは、不機嫌ハラスメントの原因になる可能性があります。

健全に働ける環境を整えるためには、まず自分から健康を意識してみましょう。健康診断、カウンセリング、ストレスやメンタルヘルスの研修などへ積極的に参加することも必要です。

重要なのは、健全な職場を保とうとする意識があり、問題や課題を外的要因のせいにするのではなく、まずは自分が実践してみることではないでしょうか。

プライベートを充実させる

フィジカル面での健康管理をしながら、メンタル面の充実を図ることも重要です。そのバロメータとなるのが、プライベートでの過ごし方です。家庭や私生活で余計な問題を抱えていませんか。

もしあるのなら対峙して、1日でも早く解決することです。自分の生活に問題があり、はらいせとして職場でフキハラを犯していることも考えられます。そのまま放置していると、いつまで経っても解決ができず、ついには職場でも居場所をなくしてしまいかねません。

プライベートに問題はないのかを確認しておきましょう。

まとめ

本記事では、職場の上司の立場からフキハラ(不機嫌ハラスメント)の詳細を特集しました。フキハラはとても厄介な現象です。フキハラは自覚がなく、いつの間にか相手を傷つけてしまいます。

知らず知らずに、自分の悪癖を上司という肩書きを利用して、蔓延させてしまうのです。部下との信用を守りたいのであれば、普段から各種ハラスメントについての情報や知識を持ち、自分が陥っていないかを客観的にチェックしていくよう心がけましょう。

どうしても悩みがあるようなら、第三者や専門家へ相談する勇気も大切です。