中堅社員に求められる二つの”力”とは?上司・部下との付き合い方も紹介

中堅社員は、一般的に入社5年目から15年目程度の社員を指し、年齢で言えば30代前後から40代前半が多いとされています。ただし、企業や業界によっては、その範囲が異なる場合もあります。
この層の社員には、単なる実務担当者ではなく、チームの中核として組織の成果を支える役割が求められます。具体的には、上司の方針を理解し業務を円滑に進めること、後輩を指導・育成し職場全体のパフォーマンスを向上させることが主な責任です。また、業務改善や新しい提案を行うことも期待され、問題を発見し、解決策を考え、実行に移す力が不可欠になります。
こうした役割を果たすために、「貢献力」と「提案力」を高め、周囲と協力しながら主体的に行動することが重要です。
目次
中堅社員に求められる「貢献力」

貢献力とは
貢献力とは、「上司の期待を正しく理解し、それに応える力」です。中堅社員は、組織の目標を達成するために、上司が求めることを把握し、適切な行動を取ることが求められます。
この力が不足すると、上司の指示をただ待つだけの「指示待ち社員」になってしまい、組織の成長を妨げる要因となります。一方で、適切に貢献力を発揮できれば、チーム全体の成果向上に寄与し、上司からの信頼も高まります。
また、貢献力には単に上司の指示に従うだけでなく、自ら考え、主体的に動くことも含まれます。企業の目標やビジョンを意識し、業務を遂行するだけでなく、より良い方法を模索しながら成果を出すことが重要です。
貢献力を高める方法
1. 上司の期待を正しく把握する
自分が上司に何を期待されているのかを知ることが重要です。これを明確にするために、以下の方法を実践しましょう。
- 普段の上司の発言や指示から、何を重視しているかを把握する
- 目標設定の際、上司としっかりコミュニケーションを取る
- 期首や期末の面談で、自分に求められている役割を確認する
また、「期待されていること」を正しく理解するためには、組織全体の目標を意識することも大切です。企業の経営方針や事業計画、自部門のミッションを把握し、その中で自分がどのように貢献できるのかを考えることが求められます。
2. 「T-PDCAサイクル」を活用する
一般的なPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)に「Target(目標)」を加えた「T-PDCAサイクル」を意識することが重要です。明確な目標を持ち、計画的に業務を進めることで、上司の期待に応えやすくなります。
T-PDCAサイクルの流れ
- Target(目標設定) – 自分の業務のゴールを明確にする
- Plan(計画) – 目標達成のための計画を立てる
- Do(実行) – 計画に沿って業務を進める
- Check(評価) – 進捗状況を確認し、問題点を洗い出す
- Action(改善) – 課題を修正し、より効果的な方法を模索する
T-PDCAサイクルを意識的に回すことで、より効果的に貢献力を発揮できるようになります。
3. 効果的な「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)を実践する
貢献力を高めるには、上司との円滑なコミュニケーションが不可欠です。特に「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を徹底することで、上司との信頼関係を築くことができます。
- 報告:事実を正確に伝え、必要に応じて中間報告を行う
- 連絡:情報を簡潔かつ明確に伝え、誤解を防ぐ
- 相談:問題が発生する前に適切なタイミングで相談する
特に「相談」を上手に行うことが、貢献力を高めるポイントです。自分で考えても解決できない課題に直面したときは、早めに上司に相談し、適切なアドバイスをもらうことが重要です。ただし、単に問題を投げかけるのではなく、「自分なりに考えた解決策」も提示することで、主体的な姿勢を示すことができます。
また、上司が求めている報告のスタイルや頻度を理解することも大切です。上司によっては詳細な報告を求める人もいれば、要点だけを簡潔に伝えることを好む人もいます。上司の好みを把握し、それに合わせた報告スタイルを心がけることで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
中堅社員に求められる「提案力」
提案力とは
提案力とは、「業務や職場をより良くするための提案を行う力」です。単に上司の指示をこなすだけでなく、問題点を発見し、改善策を提案できる人材が求められます。
提案力を高める方法
1. 問題を発見する力を養う
問題解決には、まず問題を発見することが重要です。そのために、次のアプローチを活用しましょう。
- 現状と理想のギャップを考える(問題の定義)
- フレームワークを活用する(例:「4M(人・機械・方法・材料)」や「QCDS(品質・コスト・納期・サービス)」)
- 日頃から問題意識を持ち、改善点を探す
2. メンタルブロックを取り除く
新しい提案をする際、「どうせ無理だ」「前例がない」といった考えが邪魔をすることがあります。これを「メンタルブロック」と呼びます。
主なメンタルブロックには、以下の3つがあります。
- 認識のブロック:「これはこういうものだ」という固定観念
- 文化のブロック:「今までこうしてきたから変えられない」という職場の習慣
- 感情のブロック:「失敗したらどうしよう」という恐れや不安
これらを乗り越えるには、「新しい視点を持つ」「他部門や他業界の成功事例を学ぶ」「失敗を恐れず挑戦する」といった姿勢が必要です。
3. 上司が納得する提案を行う
提案を通すためには、単なるアイデアではなく、具体的な根拠や実行計画を示すことが重要です。
- 視点(どのような角度で見るか):問題の本質を見極める
- 視座(どの立場で考えるか):上司の視点に立って提案する
- 視野(どの範囲を考えるか):部門全体や企業全体の視点を持つ
上司・部下との関わり方

上司との関係
中堅社員は、上司のリーダーシップを支える「フォロワーシップ」を発揮することが求められます。これは単なる指示待ちではなく、上司の意図を汲み取り、適切なサポートを行うことを意味します。
例えば、上司が新規プロジェクトの企画を進めている場合、必要な情報を整理し、リサーチ結果を提供することで、意思決定をスムーズにすることができます。また、上司が細かいタスク管理を苦手としている場合、進捗管理を代行し、メンバーへのタスク割り振りをサポートすることで、チームの生産性向上に貢献できます。
特に、上司の考えや方針を理解することは重要です。そのためには、定期的に上司とコミュニケーションを取り、意見をすり合わせることが効果的です。例えば、会議後に「今後の方針について再確認させてください」と話しかけることで、上司の意図を深く理解でき、適切なフォローが可能になります。
さらに、上司が気づいていない課題を先回りして対応することも大切です。例えば、業務プロセスに非効率な部分があれば、「この手順を簡略化すれば、1時間の作業が30分で済みます」と提案することで、上司の負担を軽減できます。こうした姿勢が評価されると、上司からの信頼が増し、より重要な仕事を任される機会も増えていきます。
部下との関係
後輩の育成も中堅社員の重要な役割です。ただし、単に「教える」だけではなく、部下の成長を促し、自立した行動ができるようサポートすることが求められます。そのためには、「仕事の教え方の4段階」を意識すると効果的です。
- 学ぶ準備をさせる(目的や内容を説明する)
例:「この作業は、取引先への影響が大きいので、正確性が求められます」 - 指導内容を説明する(具体的にやり方を示す)
例:「この書類は、この順番で作成するとミスが少なくなります」 - 実際にやらせる(実践を通じて学ばせる)
例:「一度やってみて、分からない点があればすぐに聞いてください」 - 教えた後に確認する(理解度をチェックし、フォローする)
例:「作業の流れは理解できましたか?もう一度ポイントを振り返りましょう」
また、部下のモチベーションを高めることも重要です。例えば、部下が企画を提案した際に、「面白いアイデアですね!もう少し具体的にしてみませんか?」と前向きなフィードバックをすることで、意欲を引き出すことができます。逆に、「そんなのは無理だ」と否定すると、部下は意見を出しにくくなり、成長の機会を失ってしまいます。
さらに、部下の成長を促すために、挑戦の機会を与えることも有効です。例えば、「このプロジェクトの一部を任せるので、計画を立ててみてほしい」といった形で責任のある業務を与えることで、主体的に動く力を育てることができます。もちろん、必要に応じてフォローを行い、成功体験を積ませることが大切です。
上司と部下、それぞれとの関係を意識しながら行動することで、中堅社員としての役割をより効果的に果たせるようになります。
まとめ
中堅社員に求められるのは、「貢献力」と「提案力」のバランスを取りながら、上司を支え、部下を育成し、組織の成長に貢献することです。自身の役割を理解し、主体的に行動することで、より信頼される中堅社員へと成長できます。日々の業務の中で、ぜひ実践してみてください。
中堅社員向けの動画研修
中堅社員には、実務の中心的存在として業務を主導するとともに、管理職を補佐するフォロワーシップや後輩を指導するリーダシップが求められます。これらを実践するには、感情に流されて業務をこなすのではなく、目的意識や意欲を持って業務を遂行するためのセルフマネジメント力が必要です。
BIZUP総研の中堅社員向け研修では「貢献力」と「提案力」を軸に、仕事の管理能力や問題解決力といった中堅社員に求められるスキルを学びます。