新人教育の担当者は必見!OJTとは?やり方と注意点を紹介



新入社員の教育において、OJT(On-the-Job Training)は欠かせない手法です。OJTとは、実際の業務を通じて指導を行う教育方法のことで、座学では得られない実践的なスキルを身につけるのに効果的です。
しかし、OJTを効果的に行うためには、担当者の適切な指導や環境づくりが必要です。漫然と業務を任せるだけでは、期待した成果を得ることはできません。本記事では、OJTの基本的な考え方や具体的なやり方、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
目次
OJTとは?その目的とメリット

OJTの定義と目的
OJT(On-the-Job Training)とは、職場で実際の業務を通じて行う教育訓練のことを指します。新人が実務に携わりながら、必要な知識やスキルを学んでいく方式です。企業において、OJTの目的は以下のような点にあります。
- 業務の流れを理解し、即戦力化を促す
- 実務経験を通じて、知識やスキルの定着を図る
- 職場の文化やチームワークを学ぶ
- 社員の成長を促し、長期的な戦力を育成する
OJTのメリット
OJTには、座学研修にはない実践的なメリットがあります。
- 実際の業務に即したスキル習得
座学研修では学びにくい、業務に即した知識やスキルをリアルな環境で身につけることができます。 - 指導者(トレーナー)が直接サポートできる
新人が困ったときにすぐに相談できる環境があり、適切なフィードバックを受けることができます。 - 職場の雰囲気や組織文化を理解しやすい
実際の業務を通じて、職場のルールや価値観を自然に学ぶことができます。
OJTの基本的な進め方
OJTを効果的に進めるためには、体系的な計画と適切な指導が必要です。以下のステップで進めると、スムーズに新人を育成できます。
1. 事前準備を行う
OJTを成功させるためには、事前準備が欠かせません。まず、新人に期待するスキルや成長目標を明確にし、それに沿った教育計画を作成します。また、OJT担当者(トレーナー)も、自身の役割を理解し、指導方法を学んでおくことが重要です。
例えば、営業職の場合、「1カ月目は商品知識を学び、2カ月目は先輩の商談に同行し、3カ月目からは簡単な商談を任せる」といった具体的な成長計画を作ると、新人も進捗を把握しやすくなります。
2. 実際の業務を通じて指導する
新人に業務を任せる際には、ただやらせるのではなく、最初に明確な説明を行い、その後に実践をさせることが大切です。例えば、以下の流れで進めると効果的です。
- 業務の目的と流れを説明する
- 担当者が見本を見せる(新人が理解しやすいよう、具体的な事例を用いる)
- 新人が実際に業務を行い、フィードバックを受ける
- 必要に応じて、改善点を指導する
例えば、事務職の場合、「まずは書類の作成手順を説明し、先輩が実際に作業をして見せる。その後、新人が試しに作成し、先輩がチェックしてフィードバックする」という流れを取ることで、理解度を高めることができます。
3. 振り返りとフィードバックを行う
OJTでは、新人の成長を促すために、定期的な振り返りとフィードバックを行うことが重要です。良い点を評価し、改善点を具体的に伝えることで、新人が効率的にスキルを向上させることができます。
例えば、週に1回のミーティングを設けて「今週うまくできたこと・難しかったこと」を振り返る機会を作ると、新人の不安を解消しやすくなります。また、「この業務はできるようになったので、次はこのステップに進もう」と段階的に指導すると、新人の成長を実感しやすくなります。
OJTの注意点と成功のポイント
OJTを効果的に進めるためには、指導の進め方や新人との関わり方を工夫することが重要です。特に、近年の職場環境では、上司と部下の関係がフラットになり、指示の出し方やフィードバックの伝え方がより丁寧に求められる傾向があります。また、新人自身も「なぜこの業務を行うのか」を理解したうえで取り組むことを重視し、漠然とした指導ではモチベーションが上がりにくいことがあります。
最近の若手社員の特徴として、業務の目的を理解したうえで取り組みたい」「いきなり大きな仕事を任されると不安を感じやすい」「具体的なフィードバックがあると成長を実感しやすい」といった傾向が挙げられます。これらを踏まえ、OJTを進めるうえで注意すべきポイントを解説します。
1. 漫然とした指導を避ける
「まずやってみて」と業務を丸投げするような指導では、新人が何をどうすればよいのかわからず、効果的なOJTとはなりません。業務の目的や流れを事前に説明し、見本を示してから実践させることが大切です。
例えば、事務作業を教える場合、「この書類を作成して」といきなり指示するのではなく、「この書類は〇〇の目的で作成し、△△の部署で使用される」と説明し、その後、先輩が実際に作業を見せると、新人は業務の全体像を理解しやすくなります。
2. 新人の成長ペースを考慮する
OJTでは、新人の成長スピードに合わせた指導が重要です。業務を一度説明しただけで完全に理解できるわけではなく、段階的にスキルを習得できるように配慮することが求められます。
例えば、接客業の場合、「まずはお客様に挨拶する」「次に注文を取る」といったステップごとの習得目標を設定すると、新人は一つひとつの業務に自信を持ちやすくなります。「全部できるようになったら本番」という形ではなく、小さな成功体験を積み重ねることで、業務への不安を軽減できます。
3. フィードバックは具体的に行う
「頑張れ」や「もっと工夫して」などの抽象的なフィードバックでは、新人はどのように改善すればよいのかわからず、成長につながりにくくなります。具体的な改善点や成功したポイントを伝えることが重要です。
例えば、プレゼンの練習をした新人に対し、「もっと自信を持って話そう」ではなく、「話すスピードを少しゆっくりにすると、より伝わりやすくなる」と伝えたほうが、次のアクションに活かしやすくなります。また、「前回よりも声が聞き取りやすくなったね」と成長を具体的に伝えることで、新人のモチベーションも向上します。
4. 失敗を責めるのではなく、学びの機会とする
新人は業務に慣れていないため、ミスをすることは避けられません。ミスを責めるのではなく、「なぜ失敗したのか」「次にどうすれば防げるか」を一緒に考えることで、成長の機会にすることが重要です。
例えば、資料作成で誤ったデータを入力してしまった場合、「間違えないように気をつけて」ではなく、「入力後にダブルチェックの時間を設けるとミスが減るよ」と具体的な改善策を示すと、次に活かしやすくなります。新人が安心して学べる環境を作ることで、失敗を恐れずチャレンジできるようになり、結果的に成長を早めることにつながります。
効果的なOJTについて学ぶなら
ビズアップ総研のOJT研修では、教育担当者の立場からみたOJTの基本的な進め方から、計画の立て方、効果を最大化するための実施方法などを動画で学ぶことができます。若手社員の最近の傾向を踏まえて、より効率の良いOJTを実施しましょう。
資料ダウンロードはこちらOJTにおける「見える化」の重要性

OJTを効果的に進めるためには、業務の「見える化」が重要なポイントとなります。見える化とは、業務の進め方や目標、成長過程を明確にし、新人が「何をすべきか」「どこまでできているか」を把握しやすくすることを指します。これにより、新人が安心して学べる環境が整い、OJTの効果が向上します。
1. 業務の流れを可視化する
新人は業務の全体像が見えにくいため、「今自分が何をしているのか」「この業務がどのように役立つのか」を理解しにくいことがあります。そのため、業務プロセスをフローチャートやマニュアルで整理し、視覚的にわかりやすくすることが効果的です。
例えば、事務作業であれば「書類作成→上司チェック→データ入力→提出」といった流れを図示し、それぞれの役割を明確にすることで、新人が迷わず業務に取り組めるようになります。
2. 目標設定と進捗管理を明確にする
OJTでは、「どのレベルまで習得すれば合格なのか」が明確でないと、新人は不安を感じることがあります。業務ごとの達成基準を設定し、進捗を見える化することで、成長実感を持ちやすくなります。
例えば、営業職の場合、「1カ月目は商品知識の習得」「2カ月目は商談のロールプレイ」「3カ月目は実際の商談に挑戦」といった段階的な目標を設定し、進捗を一覧表で管理すると、新人が自分の成長を確認しやすくなります。
3. フィードバックの内容を記録・共有する
OJTでは、指導者(トレーナー)が新人の成長を適切に把握し、継続的に指導することが重要です。そのため、フィードバックの内容を記録し、定期的に振り返る仕組みを作ると効果的です。
例えば、「今週できるようになったこと」「改善が必要な点」を週ごとにシートにまとめ、新人と共有することで、次のステップへ進む際の指針になります。また、OJT担当者が交代する場合にも、スムーズに引き継ぎができるようになります。
4. 新人が質問しやすい環境を整える
新人が疑問を抱えたまま業務を進めることは、成長を妨げる要因となります。そのため、「質問しやすい環境を作る」ことも見える化の一環です。
例えば、「よくある質問」をマニュアルにまとめたり、チャットツールや質問用のノートを用意して、疑問点を気軽に記録・共有できるようにすると、新人が安心して学べる環境を作ることができます。
まとめ
OJTは、新人を育成するための重要な手法ですが、効果的に実施するためには、事前準備や適切な指導が不可欠です。明確な教育計画を立て、新人が成長しやすい環境を整えることが成功の鍵となります。
また、OJT担当者は、新人が業務を通じて学びやすいように、適切なサポートを行うことが求められます。指導者自身も成長しながら、新人とともに学び、より良い職場環境を作り上げていきましょう。