パワハラの不安を解決!相談窓口と相談前に準備すべきこと

職場での心身の健康や仕事への意欲を大きく損なうパワハラですが、パワハラに悩んでいても、多くの人が相談や通報を躊躇してしまうことが少なくありません。「この程度で相談してよいのか」「相談したらかえって立場が悪くなるのでは」といった不安が、相談を先延ばしにしてしまう原因となっているようです。

この記事では、パワハラに対して利用できる相談窓口の種類や、相談時に準備しておきたいこと、さらに相談に臨む際に抱きがちな悩みや不安について具体的に解説します。まずは気軽な気持ちで、相談の一歩を踏み出すための参考にしてみてください。

目次

パワハラ相談窓口の種類

パワハラの相談窓口には、大きく分けて「公的機関」と「社内窓口」の2つの種類があります。それぞれで特長やサポート内容が異なるため、どちらを利用するかは状況や相談者の希望に合わせて選ぶことが大切です。

公的機関の相談窓口

パワハラに関する相談を受け付ける公的機関の窓口は複数存在します。ここでは代表的な窓口を紹介します。

  • 労働基準監督署
    労働基準監督署(通称「労基署」)は、労働基準法に基づき労働環境の監督や指導を行う機関です。パワハラについての相談も受け付けており、深刻な場合には職場に対して是正指導を行うこともあります。
    労基署では労働基準法に基づく厳格な対応が可能で、パワハラの行為が明らかに違法な場合には警告や指導が行われます。
  • 総合労働相談コーナー
    総合労働相談コーナーは厚生労働省が設置しており、全国の都道府県に配置されています。こちらではパワハラのほか、賃金問題や解雇などさまざまな労働問題について無料で相談することができます。
    労基署と異なり、こちらでは非正式な相談として、内容を整理するだけでも利用できるので、まず気軽に相談したい場合に適しています。
  • ハラスメント悩み相談センター
    自治体によっては、パワハラをはじめとするハラスメント問題を専門的に取り扱う相談センターが設けられています。専門スタッフが相談に対応し、状況に適したアドバイスを行うほか、必要に応じて外部の専門機関への紹介も行います。各自治体で窓口の名称や役割が異なるため、事前に調べてみましょう。

社内の相談窓口

多くの企業は、社員が安心して働ける環境を保つためにハラスメント相談窓口を社内に設けています。これらの窓口を活用するメリットや注意点について見てみましょう。

  • 社内窓口のメリット
    社内窓口では、企業の人事や総務の担当者が相談に応じることが多く、企業内の状況をよく理解しているため、より具体的な解決策を提案してもらえる可能性があります。場合によっては相談からすぐに職場環境の改善がなされる場合もあり、直接的な対応を期待できます。
  • 社内窓口利用時の注意点
    一方で、社内窓口を利用すると、相談内容が職場の人に知られるリスクも考えられます。最近では社内窓口での情報管理が徹底されていますが、企業によっては管理が十分でない可能性もあります。
    そのため、信頼できる窓口であるかを確認し、相談内容が漏れないように注意することも必要です。また、匿名での相談が可能な場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。

相談時に準備しておきたいこと

パワハラの相談をスムーズに進めるため、また、より効果的に問題解決に取り組むには、事前に準備をしておくことが重要です。以下に、相談時に役立つ3つの準備について説明します。

具体的な記録の収集

パワハラを相談する際には、できるだけ具体的な記録を取っておくことが重要です。発生日時、状況、行為の内容、発言や態度など、詳細な情報を整理しておくと、相談相手が状況を理解しやすくなり、より的確なアドバイスが得られます。

  • 記録内容の例
    ・日時:○年○月○日 午前10時頃
    ・場所:オフィス内のミーティングルーム
    ・内容:上司が「君は無能だ」「他の部署に移るべきだ」と発言した
    ・状況:同僚が複数人同席している会議中

こうした具体的な記録があることで、相談先での証拠としても有効です。

証拠の保存

メールやメッセージのやり取りなど、証拠となるものがあれば保存しておきましょう。パワハラを示す発言や指示が含まれるメール、チャットのスクリーンショットなどがあれば、後から確認できる形で別に保管しておくと安心です。

  • 証拠の種類と保存方法
    メールやメッセージのスクリーンショットを撮る、または紙に印刷して保存しておくとよいでしょう。削除される可能性もあるため、パソコンやスマートフォン以外にもバックアップをとると安全です。証拠が多いほど、相談相手も具体的なアドバイスをしやすくなります。
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ハラスメント研修

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相談の目的の整理

相談に臨む際には、「何を解決したいのか」「どのような対応を望むか」といった自分の希望を整理しておくとスムーズです。たとえば「パワハラ行為を止めてほしい」「上司の行動について指導してもらいたい」など、相談の目標をはっきりさせておくことで、担当者がより効果的な対策を提示しやすくなります。

相談前に抱く悩みとその対処法

パワハラ相談の際、多くの人が抱く悩みについても確認しておきましょう。相談時の不安を理解し、適切な方法で対処することで、相談への心理的ハードルを下げることができます。

「この程度で相談して良いのか」

「少し厳しいだけ」「他の人も受けているのでは」と思い、パワハラかどうかを疑問に思うことは少なくありません。しかし、パワハラの基準には「心身への苦痛や業務意欲の低下を引き起こす言動」が含まれるため、まずは一度相談してみることが重要です。少しでも不安や負担を感じた場合には、相談窓口に足を運び、具体的な判断基準について意見を聞いてみましょう。

相談後に自分の立場が悪くならないか

パワハラの相談後に、自分が働きにくくなるリスクを心配する人もいます。特に社内で相談すると、上司や同僚に伝わってしまうのではと不安を抱くこともあると思いますが、相談は労働者の権利であり、企業は労働基準法に基づきパワハラ防止対策を講じる義務があります。

匿名相談が可能な窓口も多いため、まずは匿名で相談して、どのような対応策があるか確認してみるのも一つの手です。相談により報復行為があった場合には、法的な保護を受ける手段もあります。

職場の人間関係への影響

相談により職場の人間関係が悪化するのではと心配する方もいますが、相談することで職場環境が改善されることも多く、結果的に働きやすい職場へと変わる可能性もあります。事前に社内のハラスメント防止規定を確認し、相談窓口で「職場環境への配慮」を求めてみましょう。

まとめ

パワハラは、当事者の心身への負担だけでなく職場全体の雰囲気にも悪影響を与えます。だからこそ、早めの相談が大切です。相談窓口には公的機関や社内窓口があり、記録や証拠を準備することで相談がスムーズに進み、適切な解決策を得られる可能性が高まります。相談時には「この程度で良いのか」といった不安を抱きがちですが、どんな小さな疑問や不安でも相談して良いのです。パワハラの解決は個人の保護だけでなく職場全体の環境改善にもつながるため、まずは気軽な気持ちで相談できる窓口を活用し、安心して働ける職場づくりを目指しましょう。