人的資本開示2026完全ガイド|初心者でも迷わない実務のコツ
KEYWORDS 人的資本
2026年、人的資本開示は本格的な義務化のフェーズを迎えました 。上場企業、特にプライム市場に上場する企業にとって、人的資本の情報開示はもはや「任意の取り組み」ではなく、法規制に基づいた厳格な対応が求められる経営課題です 。金融庁による内閣府令の改正や、サステナビリティ開示基準委員会(SSBJ)による新しい開示基準の指定により、開示の質と実務の難易度は飛躍的に高まっています。
本記事では、2026年3月期以降の有価証券報告書対応に追われる人事担当者や社会保険労務士の方々に向けて、最新の開示ルールと、実務上の最大の難所を最短で突破するための具体的な解決策を提示します。
「人的資本の情報開示」実務対応
動画数|14本 総再生時間|220分
2026年の義務化に備え 、上場企業から中小企業の求人力強化まで網羅した実務講座です。SSBJ基準への対応 や男女間賃金差の分析 、改善提案の手法を習得。人的資本を武器に、組織価値を高める戦略的人事を実現します。
動画の試聴はこちら目次
- 2026年3月期の転換点:SSBJ基準と人的資本開示の義務化
- 【最短解決】人的資本開示を武器に変えるeラーニング実務習得法
- 実務担当者が直面する「分析の壁」とセーフハーバーの活用
- 人的資本を「守り」から「攻め」の武器に変える:ガバナンスと戦略の統合
- 2026年以降のスタンダード:SSBJ基準に準拠した詳細開示の実務
- 社労士・人事担当者が担うべき「人的資本コンサルティング」の具体ステップ
- まとめ: 2026年、人的資本経営の真価が問われる年へ
2026年3月期の転換点:SSBJ基準と人的資本開示の義務化
2026年、金融庁はサステナビリティ開示基準委員会(SSBJ)が作成した基準を、サステナビリティ情報の作成および開示に関する基準として正式に指定しました 。これにより、企業のディスクロージャー実務は新たなステージに突入しています。
新しく指定されたサステナビリティ開示基準
金融庁の告示に基づき、以下の基準がサステナビリティ情報の作成および開示に関する基準として指定されています。
これらの基準は、東京証券取引所のプライム市場に上場されている企業の有価証券報告書作成において、重要な指針となります 。
必須となる人的資本・多様性の3指標
内閣府令の改正により、有価証券報告書等の「従業員の状況」や「サステナビリティに関する考え方及び取組」において、以下の多様性指標の開示が必須化されています。
これらの項目は、投資家が企業の「人材への投資姿勢」を判断する極めて重要な定量データとして位置づけられています。
【最短解決】人的資本開示を武器に変えるeラーニング実務習得法
人的資本開示の義務化に伴い、現場では「数値は出せても、その背景にある課題の分析や戦略への紐付けができない」という深刻な課題に直面しています 。特に男女間賃金差異については、職種構成や勤続年数の違いをどう分析し、投資家に説明するかという高度なスキルが求められます。
この「実務の壁」を最短で突破する手段が、専門家によるeラーニング講座の受講です。社会保険労務士であり、人的資本開示の第一人者である深瀬勝範氏が監修するプログラムでは、2026年以降の最新ルールに準拠した実務ノウハウを体系的に習得できます。
eラーニングで習得できる3つのコアスキル
実務担当者が直面する「分析の壁」とセーフハーバーの活用
人的資本の情報を公開する際、多くの担当者がぶつかるのが「数字をどう説明するか」という壁です。単に「女性管理職が何%」と書くだけなら簡単ですが、その数字が会社の成長にどう繋がっているのかを論理的に説明しようとすると、途端に難易度が上がります。未来の予測や目に見えない「人の力」を言葉にするのは、正解がない作業だからです。これを私たちは「分析の壁」と呼んでいますが、大切なのは完璧な回答を出すことではなく、自社の考えを誠実に言葉にすることです。
将来情報等における虚偽記載責任の回避
「将来の目標を書いて、もし達成できなかったら責任を問われるのではないか」という不安は、実務の現場でよく耳にする悩みです。しかし、リスクを恐れて当たり障りのない表現ばかりを選んでいては、投資家から「この会社には魅力がない」と思われてしまいます。そこで役立つのが「セーフハーバー」という考え方です。これは、作成した時点でしっかりとした根拠を持って誠実に書かれた目標であれば、後から結果が伴わなかったとしても、すぐに法律的な責任を問われることはないというルールです。このルールを知っていれば、過度に怖がることなく、自社の目指すべき姿を具体的に語ることができるようになります。
男女間賃金差異の「分析」と「注記」
男女の賃金格差については、ただ「差がある」という事実を出すだけでは不十分です。なぜその差が生まれているのか、その背景を「注記(メモ)」として詳しく添えることが、信頼を得るための近道となります。例えば「過去に男性の採用が多く、今の平均勤続年数に差があるから」といった理由があるなら、それを隠さず説明します。その上で、これからどう改善していくかの計画をセットで伝えることで、単なる「格差の報告」が「会社を良くしていくための前向きな宣言」へと変わるのです。
人的資本を「守り」から「攻め」の武器に変える:ガバナンスと戦略の統合
2026年以降の有価証券報告書において、人的資本の記載は単なるデータの羅列ではなく、経営戦略と表裏一体のものとして記述される必要があります。改正された内閣府令およびガイドラインでは、サステナビリティに関する考え方と取組の状況について、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標および目標という4つの枠組みで記載することが求められています。
ガバナンスと戦略の連動性をどう記述するか
人的資本におけるガバナンスとは、サステナビリティ関連のリスクや機会を監視・管理するための過程、統制、および手続を指します 。具体的には、取締役会が人材育成や多様性の確保といった課題に対して、どのような頻度で、どのような報告を受けて意思決定を行っているかを明文化しなければなりません。
また、戦略においては、短期・中期・長期にわたり企業の経営方針や経営戦略に影響を与える可能性がある人的資本関連のリスクと機会に対処するための取組を記載します。
- 人材戦略と経営戦略の紐付け: 連結会社の人材戦略を経営方針・経営戦略等に関連付けて、具体的に記載することが求められます 。
- 方針の策定: 人材の採用・維持、従業員の安全・健康に関する方針などを、将来の価値創造に繋がる戦略として位置づけます。
- 多様性の確保: 人材の多様性の確保を含む人材の育成方針や、社内環境整備に関する方針を「戦略」の中に含める必要があります。
指標および目標の設定と実績の監視
戦略を裏付ける「指標および目標」では、サステナビリティ関連のリスクと機会に関する実績を長期的に評価・監視するために用いられる情報を記載します。
- 重要な指標の選定: 人的資本に関して重要なものについて、指標の内容、目標、および実績を記載しなければなりません。
- 多様性指標の必須化: 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、および労働者の男女の賃金の差異については、多くの企業で記載が求められます。
- 一貫性の確保: 前述の方針に関する指標の内容と、それを用いた目標・実績を具体的に記載することで、有価証券報告書全体としての論理的一貫性を担保します。
2026年以降のスタンダード:SSBJ基準に準拠した詳細開示の実務
2026年からは、日本独自の新しいサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)が本格的にスタートしました。これまでの開示よりも一歩踏み込み、より統一されたルールで詳細に報告することが求められています。
指定された開示基準の体系
新しいルールは、すべての土台となる「ユニバーサル基準」と、分野ごとの具体的なルールである「テーマ別基準」の組み合わせでできています。テーマ別基準には、全般的な内容を扱うものと、気候変動などの特定の課題を扱うものがあり、これらを組み合わせて一つの物語のように自社の状況を説明していくことになります。
開示要件を判断するための「平均時価総額」の算定
すべての企業に同じ重さの開示が求められるわけではありません。自社がどの程度の詳しさで報告すべきかを判断する基準の一つが、平均的な時価総額です。これは一定期間の株価の平均から算出されるもので、この規模によって「いつから」「何を」開示すべきかのスケジュールが決まります。自社の立ち位置を正しく把握することが、効率的な準備の第一歩となります。
社労士や人事担当者の方にとって、これからの役割は「書類を作る人」から「会社を強くするアドバイザー」へと変わっていきます。会社が持っている「人の力」を数字で示し、どうすればもっと良くなるかを提案する。それが人的資本コンサルティングです。まずは、難しい理屈抜きで、現場で何をすべきかを見ていきましょう。
社労士・人事担当者が担うべき「人的資本コンサルティング」の具体ステップ
人的資本コンサルティングの第一歩は、会社の今の姿を「数字」で正しく知ることです。女性管理職の数や男性の育休取得率といったデータは、いわば会社の健康診断の結果のようなものです。こうした数字を集めて、「他の会社と比べてどうか」「去年より良くなっているか」をチェックします。社労士や人事担当者は、この診断結果を経営者に分かりやすく伝え、次に何をすべきかを一緒に考える「データの通訳者」になることが求められています。
人的資本経営のモニタリングと課題抽出
データを集めるだけでなく、定期的にその数字を追いかけ続けることが大切です。これをモニタリングと呼びます。例えば「育児休業を取る人が少ない」という結果が出たとき、なぜそうなっているのか、原因を深掘りします。会社のルールが古いのか、それとも休みを取りにくい雰囲気があるのか、現場の本当の課題を見つけ出すのです。また、会社が掲げている目標と、実際の数字がズレていないか、論理的な一貫性があるかを確認することも欠かせません。
改善提案と戦略的人事へのシフト
課題が見つかったら、それを解決するための具体的なアイデアを提案します。ここで一番おすすめなのが、社員のスキルアップを助ける「学びの場」を作ることです。例えば、PCやスマートフォンでいつでも手軽に学べるeラーニングを導入すれば、忙しい現場でも無理なく知識を深めることができます。こうした具体的な解決策を出し、実行をサポートすることで、人事の仕事は単なる事務作業から、会社の成長を支える「戦略的な仕事」へとステップアップしていくのです。
人事部・社労士が主導する人的資本開示支援
まとめ: 2026年、人的資本経営の真価が問われる年へ
2026年の人的資本開示義務化は、企業にとって単なる法的なハードルではありません。SSBJ基準に基づく質の高い開示を行うことは、国内外の投資家から「投資に値する企業」として認められ、労働市場からは「働く価値のある職場」として選ばれるための必須条件です。
実務担当者に求められているのは、単に数値をまとめる事務能力ではなく、経営戦略と人材戦略を高度に統合し、そのストーリーを語る力です。そのためには、最新の基準やガイドラインを正確に理解し、高度な分析スキルを身につけることが不可欠です。
eラーニングを通じた実務スキルの習得は、2026年以降の激動するビジネス環境において、あなた自身とあなたの組織の競争力を守るための最も賢明な投資となるでしょう。今こそ「守り」の開示を「攻め」の経営へと転換し、人的資本を企業価値向上の最大の武器へと変えていきましょう。
人的資本経営と労務コンプライアンス
動画数|8本 総再生時間|136分
人的資本経営に不可欠な労務コンプライアンスを実務視点で習得。労働法の基礎から最新改正、リスク対応、制度見直しまでを網羅し、社員を守りながら育てるための実践的なマネジメント力を養います。
動画の試聴はこちら

