会社員に求められる「自分ごと化」とは?意味やメリット、実現方法などを解説!

会社員に求められる「自分ごと化」とは?意味やメリット、実現方法などを解説!

「自分ごと化」は、ある問題・課題・目標などを他人事にせず、自分自身に関わるものとして捉える考え方や行動を指します。

社会問題や環境問題、世界情勢などの大きな取り組みに限らず、普段の職場におけるチームの目標、課題を「自分のこと」のように考えて、解決に向けて積極的に動くような傾向です。

本記事では、自分ごと化とはなにかについて、その基本概要やおこなう上でのメリット、実現させる方法などを中心に解説していきます。自分ごと化というキーワードに関心がある人は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

自分ごと化の基本概念

自分ごと化とは、それまで他人事のように扱っていた対象について、自分のことのように捉えて取り組む姿勢や考え方です。企業の中で自分ごと化を推進するためには、自分ごと化について具体的に意味を理解し、なぜそのような言動が重要なのかを把握しなければならないでしょう。

ここでは、自分ごと化の意味、その重要性を解説していきます。

自分ごと化の定義

自分ごと化とは、ある事象を他人や環境のせいにするのではなく、自分へ矢印を向けるように、原因や解決策・改善方法などを考えていく姿勢や取り組み方法のことです。

他人事のまま放置すると、自分には関係ない・無関係と割り切ってしまうため、相手から信頼を失ってしまう恐れがあります。ビジネス上で失敗をする場合、大小問わず、自分ごととして考えていない場合が目立つ傾向です。

自分ごと化の重要性

多様化する時代に対応するためには、企業の経営について各社員に「当事者意識」がなければ成立しなくなってきました。旧態然としたやり方では、上層部が方針を概ねで示し、指示・命令を受けた各社員へ半ば強制的にルール化する方法が一般的でした。

替えが利くほど人材が余っていれば、新しい人材採用をすれば良かったかもしれません。しかし、人口減となりつつある現在では、存続する社員一人ひとりとの関わり方が重要となっています。

また、現場の社員にも、上司や経営層の視点になって考えられる機会を設ける必要性があるでしょう。企業経営を自分ごと化できる社員が増えることで、意図や目的を自ら読み取れるスキルとなり、当事者意識・責任感などが芽生えます。より、課題解決のために全社員による意見交換が活発になり、現場も健全化されていくはずです。

自分ごと化が必要となった理由

もし、自分ごと化が定着すれば、上司・部下の肩書きや立場に関係なく、企業経営について自分の課題としてとらえられるようになるため、お互いに信頼性も高まります。信頼性が高まったチームは、成長し目標達成に向けて強い組織づくりとなるでしょう。

ここでは、自分ごと化がなぜ今必要とされてきたのか、その理由について解説します。

社会的なつながりが希薄化しているため

自分ごと化が重要視されてきた理由の一つは、社会的なつながりが希薄になってきたことによります。SNSやインターネットの普及は、物理的距離を超えて情報共有できるため、一見すれば社会的つながりを簡単に意識できるようになりました。

ところが、その分リアルな人間関係が少なくなりつつあります。他人や社会の問題についても、表面的には共感や同意をするものの、自分のこととして意識するマインドが欠けてきました。

そうなると、問題は浮上したまま、解決に向けた具体性がなくなってしまいます。危機感を覚えた優れた企業は、すでに気づき始めて、自分ごと化への取り組みに積極性を示し始めました。

個人主義がもてはやされてきたから

自分ごと化へ注目してきた背景には、個人主義がもてはやされてきた風潮もあります。現代社会では、良い意味でも悪い意味でも、個人の自由や選択が重視され始め、自分の人生や意見に責任を持つ意識が高まりつつあるからです。

そこで、「自分ごと化」として確立することで、企業と自分、あるいは社会とのつながり、影響などを与え合える可能性があります。

社会的問題が複雑化しつつあるから

環境・政治・経済など、現代の多くのことが深刻化してきました。社会的な問題が山積している現状が、自分ごと化の必要性を求めている理由の一つです。

それらは蚊帳の外で自分と関係がないと思いがちです。しかし実際、生きている以上は、間接的にも関わっています。複雑な時代の中で生活する上で、自分ごとの意識を高めて行動するスキルが求められてきたことが原因に挙げられます。

企業の社会的責任が問われてきたから

自分ごと化が進んでくることで、企業の社会的責任が重要視されてきました。企業や団体では、CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)などに代表される概念が定着しつつあります。

社会に与える影響を考慮した場合、自分ごととして積極的に関与する姿勢が必要だとされているからです。社会問題・環境問題について、企業側からも共感や支持をすることが当然とされている時代なので、その流れに対応できる人材を育てることに意義を感じ始めています。

自分ごと化ができる社員は、社会的な問題解決にも積極的な行動ができることを期待されているのです。

自分ごと化のメリット

自分ごと化のメリットは、様々な側面から生まれてきます。例えば、成長スピードの向上になることや、モチベーションアップ、自発的な行動力を促すといったものが考えられるでしょう。

相手への理解が深まる

自分ごと化が進んでいければ、他人への思いやりが育まれるので、相手をより理解しやすくなるメリットが生まれます。また、自分の経験や感情なども相手に伝えることができ、相手のほうでも深く理解しようとする動きが期待できるでしょう。

共感が得られる

社会生活を円滑にしていくためには、コミュニケーションが大切です。自分ごと化が進展すればするほど、他者及び第三者との共感が生まれやすくなります。
コミュニケーションでの重要な要素は、共感性といえるでしょう。相手の気持ちを考慮できる人は、誰からも好かれます。

信頼関係が構築できる

自分ごと化によって、相手との信頼関係が築けるでしょう。相手の立場を優先に汲み取ることは、好感を持たれることは言うまでもありません。
また、自分の経験や意見も率直に語りやすくなるため、お互いが信頼しやすくなるメリットが生まれます。

問題解決に導きやすくなる

自分ごと化を進めることによって、今まで浮上してきた社内の問題・課題が解決へと導きやすくなるでしょう。実際の問題点は具体的な形になって見えてくるので、順序よく徐々に解決策を見出しやすくなります。

自分ごと化の実現方法

企業や団体で自分ごと化を実現するためには、組織の目標を明確に共有した上で、社員各位に理解をしてもらうためのガイダンスや目標設定プロセスの導入を検討する必要があるでしょう。

その後は、定期的なフィードバックの機会を設けながら自発的に継続できる環境を提供することが、成功のプロセスとして大切です。

目標設定する

自分ごと化を実現させるにあたって、組織全体の目標を明確にすることが大前提です。

全社員へ共有するためのプロセスも欠かせません。目標設定では、全社員との意見交換をし、なるべく積極的に取り入れる必要もあります。具体的な行動計画を立てて進捗状況を可視化することが大切です。

フィードバックする

目標を設定し実践する中で、ミスや改善点も浮上することがあります。定期的なフィードバックの機会を設け、成果や改善点も共有する姿勢とシステムを作ることが大切です。

具体的な方法としては、1on1やメンター制度などの活用で、社員の成長をサポートします。また、振り返りシートなども作成し活用するとよいでしょう。

自発的に取り組める環境を作る

自分ごと化へ社員が自発的になれる環境作りをしましょう。全てとは言い切れませんが、多くの社員は、余計なことに触れたくないのが本音です。

挑戦や失敗を恐れていて、毎日を無難に過ごすことを考えます。そのような恒常化した環境を作り変えるには、新しいことへ挑戦する社員を奨励できる仕組みが必要です。失敗も成功も受け入れ、積極的に学べる姿勢を育めるように、意見や提案にも耳を貸し正当な評価をすることが大切になるでしょう。

コミュニケーションを図る

自分ごと化は、個人的なものと捕らわれがちですが、実際は多くの人々の協力が必要です。企業全体での交流や意見交換の機会は、多く設けていくようにしましょう。

まずは、組織内の上司やチームリーダーが率先し、自分ごと化をしている姿を自ら実験台のように見せることです。真っ先に自分が経験をして、従業員の疑問や不安解消ができるレベルにスキルアップすることで、全体のコミュニケーションもはかどります。

研修やスキルアップをする

自分ごと化は、コツコツと自分一人で進めるよりも、相対的に研修やスキルアップ制度を設けて実施するとよいでしょう。おもに、セルフマネジメント・セルフコーチングなどに関する研修を実施することで、社員のキャリアアップを底上げし支援することにもなります。

まとめ

毎日の業務内容を「自分ごと化」として捉えれば、企業の生産性が飛躍的にアップします。当事者意識を持ちながら、あたかも自己責任で捉えながら仕事に取り組めるかが問われるでしょう。

自分ごと化によって、社員個々のモチベーション向上や成果の最大化につながり、組織全体の一体感、生産性向上の効果にも関係してきます。自分ごと化は、現代の働き方・ビジネスシーンの重要な要素となりつつある考え方です。