【2025年6月】地方公務員副業解禁!新制度の内容と注意点を徹底解説

【2025年6月】 地方公務員副業解禁! 新制度の内容と注意点を徹底解説

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これまで「原則禁止」とされてきた公務員による営利活動への関与、いわゆる公務員による副業が2025年6月施行の総務省通知により、地方公務員では一定の条件下で許可されるようになり、全国の自治体職員に新たなキャリアの選択肢が生まれています。「副業OKって本当に自由にできるの?」「申請はどうすればいい?」「バレたら処分されるのでは?」といった疑問や不安を抱える方も少なくありません。

この記事では、2025年6月施行の総務省通知をベースに、以下のポイントを徹底解説いたします。

目次

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公務員の副業解禁とは何か?

2025年6月、地方公務員の副業が条件付きで正式に「解禁」されました。この副業解禁は、地方公務員法第38条の枠組みを維持しながら、任命権者の許可があれば営利活動も可能とするものです。

かつて地方公務員は「全体の奉仕者」として、公務に専念することが求められ、副業は原則として厳しく制限されてきました。しかし近年では、地域人材の不足や職員のキャリア多様化に対応するため、副業を通じたスキルの循環と地域貢献が求められるようになりました。

「副業解禁」は自由化ではない

ここで強調しておきたいのは、今回の制度改正は「全面解禁」ではなく、あくまで任命権者の許可制での柔軟化です。無断での副業は引き続き禁止されています。

国家公務員と地方公務員の制度比較

副業に関する規定は、「国家公務員」と「地方公務員」で大きく異なります。特に、地方公務員法は今回の通知で柔軟性が大きく広がりました。

国家公務員法の副業制度(変更なし)をチェックし、就業規則の見直しや社内教育の実施、必要に応じた外部専門家との連携を進めていくことが不可欠です。制度対応を通じて、企業としての信頼性と魅力を高めていきましょう。

国家公務員法の副業について

項目現行制度根拠
副業の原則原則禁止国家公務員法第103条・104条
営利企業の役員等禁止(原則)人事院規則
自営業(農業等)一部許容人事院通達
報酬を得る活動限定的に許可制同上

地方公務員法の副業について(2025年改正)

項目改正前(~2025年5月)改正後(2025年6月~)根拠
副業の原則原則禁止(許可制)許可制で柔軟化地方公務員法第38条
営利企業の関与公益性重視で限定許可営利目的も可(要審査)総務省通知
報酬のある副業慎重な運用条件付きで許可対象に同上
許可基準自治体差が大きい明文化・公表を推奨同上

解禁の背景と目的

この制度改革は、単なる緩和ではなく、公務員と地域社会の未来に向けた挑戦でもあります。

背景1:人口減少と人材不足

地方では、農業、福祉、地域イベントなどの人手不足が深刻です。副業制度を活用することで、公務員がそのスキルや人脈を活かし、地域の担い手として活躍できます。

背景2:職員のキャリア多様化

Z世代を中心に「1つの仕事だけに縛られたくない」「社会とつながりたい」という価値観が広がっています。副業を通じて、キャリアの複線化・専門性の強化が可能になります。

副業の許可条件と判断基準(自治体の具体例付き)

総務省の通知では、判断基準の明文化と公開を各自治体に求めています。ここでは、判断ポイントと、先進的な自治体での対応例を紹介します。

許可条件・判断基準

  • 職務への影響:勤務時間外で業務に支障がないか、疲労や健康面に配慮されているか
  • 利害関係の排除:公務と副業による利益相反がないか
  • 品位と信頼の保持:副業が公務の信頼を損なわないか
  • 報酬の妥当性:適正な報酬であり、高額報酬でないか

これらは、総務省通知に基づく許可基準であり、各自治体はこれを基本指針としています。

自治体の先進事例

自治体名年度許可制度名主な条件例
神戸市2017年度導入地域貢献応援制度農業・NPO活動などスキル活用。申請・報告を要件とする
生駒市2017年度導入地域活動副業制度週末・夜間のスポーツ指導等、職務との両立確認
新富町2018年度導入地域貢献兼業制度神楽舞い手活動、週8h以内、報酬業務可
福井県2019年10月地域ビジネス兼業促進制度月30h以内、在職1年以上、公益性が基準

これら自治体の制度は、総務省通知で示された判断基準(労働時間、公務影響、報酬、利害関係)と合致しており、実務モデルとして注目です。

許可が下りるかどうかのチェックポイント

  • 職務に支障をきたさないか(健康管理、疲労)
  • 公務と利害関係がないか(公平性の確保)
  • 職務の品位を損なわないか(信頼性の維持)
  • 報酬が妥当な範囲か(高額報酬は禁止)

実際に認められる副業の例

自治体の規則やガイドラインによって異なりますが、一般的に規定されいる主な内容をご案内いたします。

許可されやすい副業

  • 地域NPOやボランティア活動
  • オンライン講師・教育支援
  • 農業、家業、地域イベント支援
  • 小規模EC(ハンドメイド販売など)

許可が難しい副業

  • 競合事業(同業他社等)
  • 風俗・ギャンブル関連
  • 過重労働を伴う仕事
  • 公務と誤認される活動

副業申請と運用の注意点

無許可による副業は公務員規定違反となり、懲戒対象となることもあるため、必ず所属する自治体の規定を確認してください。

申請手順(一般的な流れ)

  1. 副業申請書を所属庁に提出(業務内容・報酬・勤務時間等を記載)
  2. 任命権者が審査
  3. 必要に応じて面談・条件調整
  4. 許可または不許可の通知

注意点

  • 無許可副業は懲戒対象になることも
  • 許可は「一度きり」ではなく「有効期間付き」
  • 定期的な報告義務がある場合も

人事評価やキャリアへの影響

副業そのものは人事評価の対象にはなりません。しかし、副業で得たスキルを公務に活かした場合は、評価の材料になると総務省も明言しています。

たとえば、NPOでのマネジメント経験や地域イベントの運営力が職場で発揮されれば、能力評価に良い影響を与えるでしょう。

他業種の副業制度との比較

民間企業の中でも副業を積極的に認める企業が増えており、以下のようなガイドラインが一般的です:

  • 月35時間、合計80時間まで
  • 申請は自己申告制
  • 健康状態を重視、繁忙期は抑制

こうした制度を公務員制度に応用することで、より柔軟で持続可能な運用が期待されます。

今後の課題と展望

ポジティブな展望

  • 公務員のモチベーション向上
  • 地域人材としての活躍
  • 離職防止、採用力強化

残された課題

  • 自治体ごとの基準差・許可格差
  • 公私の境界が曖昧になるリスク
  • 業務外でのトラブル対応ルール

まとめ

副業解禁により、地方公務員の働き方は大きく広がりました。しかしこれは、単なる“副収入”ではなく、地域社会に関与し、自らを成長させる機会です。

今後、副業を始めたいと考える公務員の皆さんは、まず所属自治体のガイドラインを確認し、しっかりと許可を得るところから始めましょう。

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