職場でのマタハラ被害は相談窓口へ!弁護士への無料相談は可能?

妊娠・出産・育児中に発生するマタハラ被害は、女性が正当な権利を主張できないまま、泣き寝入りしてしまうのが現状です。しかし、一人で悩まずに、相談窓口を積極的に利用しましょう。

この記事では、マタハラの相談窓口(公的機関や社内窓口)や、マタハラ相談をする際に準備しておきたいこと、さらに弁護士への相談について紹介します。現在、マタハラを受けている、またはマタハラを受ける可能性を懸念している女性従業員はぜひ参考にしてください。

目次

マタハラ問題を相談する際に準備しておきたいこと

マタハラを相談する際は、以下の準備をしておきましょう。

  1. マタニティハラスメントの詳細(日時、場所、相手、内容)を記録する
    5W1H(いつ、どこで、誰が、何をして、どう感じたか)を意識して書きましょう。マタハラ被害の音声データ、メールやLINEの画面を保存し、証拠として残しておくと、さらに効果的です。
  2. マタニティハラスメントによって受けた影響(体調なども含む)について記録しておく
    マタハラにより不利益な取扱い(例:休みが取れない、降格、解雇など)を受けた場合や、体調を崩した場合は、その影響を詳しく記録しておきましょう。
  3. マタハラに対して、自分がどのような対応を望んでいるかを明確にする

妊娠中の女性必見!マタニティハラスメントの相談窓口はここ!

では、現在マタハラに悩んでいる女性従業員へ、対処方法をご紹介します。まず、信頼できる相談窓口に相談し、サポートしてくれる味方を見つけることが大切です。マタハラについては、まだ十分に認知されていないことが多く、すぐに理解されないこともあるため、相談先は慎重に選びましょう。

社内のマタハラ相談窓口

マタニティハラスメントは、まず、会社に相談することが重要です。社内の相談窓口を利するか、信頼できる社内の人に相談するかを選びましょう。

社内の人に相談する場合、仲の良い同期や仕事ができる上司ではなく、妊娠や出産を経験し、子育てをしながら働いているワーキングマザーを相談相手に選ぶのが適切です。マタハラが起きる背景には、妊娠している女性への軽視や嫉妬があるため、理解されにくいことが考えられます。しかし、妊娠・出産を経験し、復職した女性であれば、共感を得やすいでしょう。

また、ある程度の規模の企業では、労働問題に対応する相談窓口が設置されている場合が多いため、遠慮せず積極的に活用することをおすすめします。

おすすめ

ハラスメント研修

ハラスメントは、良好な職場環境を保つために決して許されるものではなく、社員の精神的健康を守るためにも非常に重要なテーマです。 ビズアップ総研では、ハラスメントが企業・団体に及ぼす悪影響を様々な観点で学べる講座を多数ご用意しています。eラーニングで気軽に学べるe-JINZAIの2週間無料お試しID発行も行っておりますので、この機会にぜひご利用ください。

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社外のマタハラ相談窓口

社内に適切な相談相手がいなかったり、相談しても話を聞き入れてもらえなかったりした場合は、社外の機関に相談するという方法があります。ここでは、7つの相談窓口をご紹介します。

1.労働局雇雇用環境・均等部(室) 
各都道府県の労働局雇用環境・均等部(室)は、匿名で相談できるので、会社に相談しづらい場合に利用することをおすすめします。こちらでは、マタハラだけでなく、パワハラなど職場で起きるあらゆるハラスメントの無料相談が可能です。相談後に改善が必要と判断された場合、是正指導が行われます。

各都道府県の雇用環境・均等部(室)の所在地は、以下の一覧より確認してください。
厚生労働省 雇用環境・均等部(室)所在地一覧

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2.法務省 |女性の人権ホットライン
女性の人権ホットラインとは、女性の人権問題に関する相談を受け付ける窓口です。相談は無料、電話またはインターネットでの受け付けが可能です。相談フォームに、氏名・住所・年齢・相談内容を入力し送信すると、最寄りの法務局よりメールまたは電話で返答がきます。女性の人権問題に精通している法務局職員、または人権擁護委員が対応し、秘密は厳守されます。

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3.TECC 東京圏雇用労働相談センター
東京圏(東京都、神奈川県、千葉市、成田市)で弁護士や社労士などの専門家に相談したい場合はこちらを利用してください。東京圏雇用労働相談センターでは平日の21時まで相談に対応しています。予約なしでも利用できますが、予約優先となっています。利用料はすべて無料、何度利用しても料金は発生しません。

会社の人事部や上司との交渉、質問の仕方についても、丁寧にアドバイスしてくれます。女性弁護士も在籍しており、「この程度の内容で相談して良いのかな」と思うことでも、気軽に相談できます。堅苦しくなく、リラックスして相談できる新しいタイプの相談センターです。

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4.日本労働弁護団ホットライン
<女性のためのホットライン>
曜日:第2・4水曜日 ※祝日と重なる場合と8月第2水曜日はお休み
時間:15時~17時
対象:女性

マタハラやセクハラなど、女性特有の問題に関する電話相談を無料で提供しています。対応するのは女性弁護士ですので、相談しやすいかもしれません。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。また、毎週月・火・木に実施している東京での相談も利用できますが、こちらでは対応弁護士が必ずしも女性とは限らないため、その点をご了承ください。

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5.東京都労働相談情報センター
東京都労働相談情報センターは京都産業労働局の出先機関です。飯田橋センター、大崎、池袋、亀戸、八王子、国分寺の6つの事務所があり、それぞれの事務所で働き方に関する相談を受け付けています。もし、会社との話し合いで解決が難しい場合は、センターが仲介に入り、問題解決に向けた調整(あっせん)を行います。

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6.はたらく女性の全国センター
毎月、0と5がつく日に無料のホットラインを開設しています。受付時間は、平日が18:00~21:00、土日祝が14:00〜17:00です。相談の対応は、専門的なトレーニングを受けたボランティア相談員が行います。

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7.女性ユニオン東京
会社に労働組合がない場合、個人で加入できる合同労働組合(ユニオン)があります。労働組合に加入することで、団体交渉(団交)という手段を利用できます。団体交渉とは、労働組合が会社と労働協約の締結やその他の事案について交渉することです。また、電話やLINE相談に加えて、相談員による予約制の対面相談も行っています。

電話相談:月・水 12:00~14:00、16:00~19:00
LINE相談:火・金 19:00~20:30
面談(予約制):希望者はホームページの相談フォームから予約。

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その他の関連情報

NPO法人 マタハラNET
NPO法人 マタハラNETは、妊娠・出産に関連するハラスメントの問題に取り組んでいる団体です。妊娠・出産や育児休業を理由に職場で不当な扱いを受ける女性を支援し、相談窓口の提供や、法改正の提案、社会への啓発活動を行っています。マタハラに苦しむ女性が安心して働ける環境作りを目指して、さまざまな支援や情報提供を行っています。直接相談することはできませんが、日々マタハラに関する記事が更新されているため、参考になったり、励みになったりするでしょう。

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パンフレット「働きながらお母さんになるあなたへ」
厚生労働省のホームページでは、働く女性の妊娠・出産、そして育児に関する法的な規定をまとめたパンフレットが公開されています。また、医師から勤務時間を短縮するように指示を受けた場合、その内容を会社へ的確に伝えられるようにするための「母性健康管理指導事項連絡カード」も用意されています。

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弁護士に相談する

いくつもの窓口に相談しても解決に至らず、すでに解雇が告げられてしまうなど、マタハラ問題が解決できず不利益が生じている場合は、弁護士に相談してみましょう。とはいえ、初めての法律相談は緊張するものです。まずは、前述のような気軽に弁護士に無料で相談できる窓口を利用すると良いでしょう。

弁護士に相談する際は、基本的に予約が必要です。予約方法や面談の形式は、電話やメールなどのさまざまな手段があるため、相談先の対応方法を確認してください。また、弁護士によって得意な分野が異なるため、相談内容に合った弁護士を選ぶことが重要です。マタニティハラスメントについては、女性の権利問題やハラスメントに強い弁護士に相談するのが良いでしょう。弁護士を探す際は、インターネットで検索し、自宅や職場からアクセスしやすい法律事務所を選んで問い合わせてください。

弁護士へ相談するメリット

マタハラ問題について弁護士に相談する主なメリットは、以下の3つです。

  • 当事者に代わって企業にマタハラを中止させるよう交渉してくれる
  • 訴訟に至った場合、マタハラの証拠収集や書面作成をすべて任せることができる
  • マタハラによって不利益が発生している場合、損害賠償の請求を行ってくれる

以上のように、弁護士が味方になってくれることで、本人の精神的・身体的な負担がかなり軽減されるでしょう。

まとめ

職場で「これってマタハラ?」と少しでも違和感を覚え、不安を感じたら、早めに相談してみましょう。今回の記事でご紹介したように、現在はハラスメントについて無料で相談できる公的機関が多数あります。秘密は厳守されるので、安心して相談してください。

妊娠中は身体の変化が著しく、肉体的にも辛い時期で、精神的な安定が大切です。そのような時期にマタハラで受けた心身の負担は計り知れないほど大きくなります。決して一人で抱え込まず、相談しやすい窓口で今抱えている悩みを正直に話し、アドバイスをもらいましょう。