職場でパワハラを受けた!辞めたい場合と辞めない場合の対策を考える

運悪く、就職した会社の職場にパワハラめいたことをする上司がいたら、あなたはどうしますか。
パワハラに耐えられなくなり辞めたいと行動する選択もあるでしょうし、自分の正当性を貫いて、辞めずにそのまま居座る覚悟をするかもしれません。選択は人それぞれでしょう。

パワハラを受けている当人としては、このまま本当に辞めてしまっていいものかと、一度は立ち止まって迷ってしまうのが本音ではないでしょうか。本記事では、パワハラをテーマにし、その概要や定義、起こりやすい職場の特徴、退職を選択する場合としない場合の対応策などを解説していきます。

いずれにしても、手遅れにならないよう、ぜひ参考にしてみてください。

目次

どこからがパワハラに該当するのか

パワハラが起こる状況下では、個人の資質や人間関係において主観が先行しやすく、正式にパワハラとして断定するのが難しいとされてきました。

当初、どこからどこまでが上司としてのリーダーシップで、どこからがパワハラに該当していくのかの線引がなかったからです。そのため、2020年1月より厚生労働省が「職場のパワーハラスメント防止のための指針」を公表しました。

パワハラとしての客観的な基準を示したガイドラインがあります。その基準に則り、以下のような事情に該当する場合はパワハラの疑いがあると思ってよいでしょう。

優越的関係性を利用する言動

パワハラの第一基準は、優越的な立場にいる人物が、そうではない人物を対象にして力を誇示する状態です。

一般的にパワハラといえば、上司から部下へと向かうものだとイメージします。しかし、必ずしもそうではありません。例えば、職場にて経験値の高い同僚、もしくは部下であっても、言動に優越的関係だと判断されればパワハラとして成立することがあります。

業務上で明らかに不必要な言動

パワハラであるかどうかの基準として、業務にて本当に必要性がある言動であり、業務の目的のために重要な指摘であったかを問います。もし、業務上を大きく逸脱し、手段として不適切だと判断されれば、パワハラと見なされます。

職場環境を害するような精神的・身体的苦痛

職場にて、スキルを発揮するのに悪影響が生じている、あるいは就業に支障が生じる言動などで、労働者の就業環境が害されていれば、パワハラとして判断されるでしょう。

どこからがハラスメントにあたるのかを判断するのは難しい点ですが、企業内で適切かつ倫理上で問題がない状態にあったかを考えます。

パワハラを受けた職場を辞めたい場合の対策

職場でのパワハラに悩まされ1日でも早く辞めたいという場合、どのような方法を取れば納得のできる辞め方になるのでしょうか。ここでは、どうしてもパワハラ気質の職場を辞めたい場合の対策を解説します。

職場もしくは職場外の相談窓口を利用する

職場でパワハラの被害を受けていて困っているようなら、職場内にある相談窓口を尋ねてみるのも方法の一つです。

大手企業であれば、パワハラ防止について厳格に考えて義務化されています。同じ企業内だとしても、客観的に相談を受け入れ、職場環境が改善される可能性も期待できるでしょう。

ただし、職場内に相談窓口が設置されていない、もしくは信憑性が低いと判断した場合は、労働局・労働基準監督署・労働条件相談ほっとライン・弁護士などの外部の相談窓口も検討しておくことです。

もしかすると、辞める必要なく解決方法や具体的対処法などが見つかることもあるからです。辞めたい気持ちは分かりますが、自分にリスクを課す必要などありません。まずは、アドバイスを元に行動し改善してもらうことも、頭の片隅に入れておきましょう。

就業規則でパワハラへの措置をしているか確認する

2022年4月より、中小企業でもパワハラ防止法の対象となっています。

事実上、パワハラ防止のための対策を、いかなる企業も義務付けられたのです。そのため、就業規則にはパワハラに関する措置を定めることになっています。

念の為、就業規則を確認して、会社側がパワハラについて適切な措置を取る姿勢を持っているのかを調べておきましょう。他にも、退職金や未払いの残業代などを請求する場合にも、就業規則上の支払いルールなどを確認することです。

パワハラの証拠集めをしておく

パワハラに関する訴えを起こすことも前提に入れて、会社との示談や交渉、裁判になる場合も想定して、パワハラの立証をするための証拠固めをしておくとよいでしょう。

職場で実際に受けたパワハラの被害証拠を集めることはとても重要です。

パワハラの証拠の典型としては、以下のようなケースが考えられます。

  • 暴行を受けたを撮影した動画
  • 暴言を吐かれた状況の録音データ
  • 不当要求をされたメールの内容
  • パワハラの状況を記載したメモや日記
  • 負傷や精神疾患になった場合の医師による診断書

とくに、録音・録画は重要な証拠として残るので、常にその準備をしておくことです。今では誰もがスマートフォンを所有しています。機能やアプリに録画機能やボイスレコーダー機能が備わっているでしょう。このような自分の身を守る時にこそ、スマホを最大限に活かすことが大切です。

転職については内密にしておく

既に会社への期待をせず、転職活動を開始しているという場合、自分が転職中であることをわざわざ伝える必要などありません。

下手をするとパワハラがエスカレートしてしまう恐れもあります。転職や退職をするのは、個人の自由として守られているため、それを会社が妨害することはできません。

あえて伝えることなどないのです。

ただし、転職活動に成功し新しい職場への入社日が決まったのであれば、退職日の決定および調整などの相談はしないといけません。その際に、嫌な上司に伝えなくてはならないようなシチュエーションであれば、一部始終を録音や録画するなどして、証拠にしておくことが大切です。

悪質な上司だとしたら、報復手段として何をしでかすかわかりません。表向きは、一身上の都合で退職するという姿勢を貫くほうがよいでしょう。

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パワハラを受けた職場を辞めない場合の対策

職場でパワハラの被害を受けてしまうと、その会社自体を辞めたいと考えることは自然な流れです。とはいっても、自分に否がないのになぜ去らなければならないのか、理不尽さを感じるという人も中にはいます。

あるいは、会社側から退職を強要されることもあり得るのです。そこで、あえて辞めない選択をし、相手を処分してもらうなどの要望をするケースも考えられます。

ここでは、パワハラを受けても職場を辞めない場合の対策を解説しましょう。

環境を変えられるよう異動の希望を出してみる

パワハラの被害を受けている職場は嫌だけど、仕事自体は続けていきたい意志が強いのであれば、異動の申し出をしてみてはどうでしょうか。

パワハラの場合、多くは特定の人物からの被害が目立ちます。自ら異動や配置転換を申し出て、勤務地や業務内容の違った部署や環境にしてもらえるか相談してみましょう。

興味のある部門があるのなら、異動が実現できるチャンスかもしれません。

退職勧奨は断固拒否すること

もし会社側から退職の強要があった場合、簡単に退職勧奨には応じないことです。

本来、雇用主が労働者を退職させること自体が違法になります。労働者側に否があり懲戒免職などをする場合は別としても、企業および雇用主には、退職を強制して執行するまでの効力はないのです。

退職するつもりがないのなら、会社に対してはっきりとその旨を伝えるようにしましょう。辞めない意思を明確に示しているにもかかわらず、執拗に退職勧奨があるのなら、違法な退職勧奨となります。

退職の無効の主張および慰謝料請求ができる可能性もあります。詳細については、専門家などへ相談して指示を仰ぐほうがよいでしょう。

退職理由次第で条件交渉する

退職理由は、「会社都合退職」と「自己都合退職」の2種類があります。

一般的には、私事都合および自己都合での退職がスムーズです。ところがパワハラを認めない職場なので、まともな組織ではないと考えられます。
退職勧奨を強要するくらいなので、本来はそのような環境に居座っても自分の将来のためにはなりません。

そこで、もし最終的に退職勧奨に応じる場合であれば、退職理由は「会社側の都合」にするよう交渉し、退職金の上乗せといった有利な条件を交わす方法も検討しておきましょう。

  • 会社都合退職…倒産やリストラ・解雇など会社側の都合によるもの
  • 自己都合退職…結婚・介護・転居・キャリア向上など労働者側によるもの

解雇を不正に執行するとかえって企業側にリスクが課せられるので、できるだけ労働者自らが退職を決断してほしいというのが本音です。条件次第で交渉に応じてくれる可能性が高いといえます。

まとめ

本記事では、職場でのパワハラの概要と対応について解説してきました。

冒頭でも申しましたが、一般的に職場内の上司が加害側になるケースが目立っていますが、必ずしもそうではないことも認識しておく必要があります。異動などが多い企業では、後輩のほうがその場所での経験値が高くなって、後から赴任した年齢が上の人物へパワハラをするというケースもあり得るのです。

できれば、悪質な環境や会社の風土がはびこっているようなら、辞めたい気持ちに素直に従って、新天地を求めたほうが早いと思います。どうしても腑に落ちない事情があるのなら、証拠固めをして訴えることもできるでしょう。

ただし、パワハラに対抗するには、相手と闘うことになるので心身的にストレスを抱えてしまいます。その点を覚悟し、それでも自分を貫きたいのであれば、専門機関に相談してみることをおすすめします。