「インラインで回答します」って?ビジネスメールの返信方法を解説

「インラインで回答します」って?ビジネスメールの返信方法を解説

ビジネスメールでは、「インラインで回答します」という表現を目にすることがあります。しかし、メールに不慣れな方にとっては、「インラインってどういう意味?」「どんなときに使うの?」と疑問に感じることもあるでしょう。この記事では、インライン返信の意味や使い方、注意点を解説し、例文を交えて具体的な返信方法をご紹介します。

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目次

インライン返信とは?

インラインとは「行内に挿入する」の意味

「インライン(inline)」とは、「行の中に」という意味を持つ英語で、メールでは「相手から受け取った本文の中に、自分の回答を直接書き加える方法」を指します。つまり、相手の質問や要望の文に、その場で回答を挿入するスタイルです。

たとえば、相手から複数の質問がメールに書かれていた場合、該当する質問の直下に自分のコメントを挿入していくことで、どの質問に対する回答かが明確になります。

どんなときに使うのか?

インライン返信は、以下のようなシチュエーションで活用されます。

  • 質問や依頼事項が複数ある場合
  • 内容が複雑で、返信が長くなりそうな場合
  • 要点を一つずつ押さえて丁寧に返答したい場合

相手の本文に対して直接答えることで、やり取りの齟齬や見落としを防ぐ効果があります。

インライン返信のメリットと注意点

メリット:相手にとって分かりやすい

インライン返信は、相手の文章に直接答えるため、読み手が「どの質問に対する返答か」をすぐに理解できるというメリットがあります。特に業務での確認事項が多い場合など、回答漏れや誤解を防ぎ、効率的なやりとりが可能になります。

メリット:本文が短くまとめられる

相手のメール本文に対して直接コメントを挿入するため、別途質問を引用したり箇条書きにまとめたりする手間が省けます。その結果、回答文を構造化する手間が減り、全体のメール文面が簡潔になります。

注意点:スレッド内で初めて使う場合は一言添える

インライン返信をそのメールスレッド内で初めて使用する場合は、冒頭で「以下、インラインにてご回答いたします」などと一言添えることが重要です。これにより、読み手はどのような形式で返信が書かれているのかを理解しやすくなります。相手がインラインに慣れていない場合にも、混乱を防ぐことができます。

注意点:引用文と返信の区別を明確にする

インライン返信では、相手の文章と自分の回答の境界をはっきりさせることが大切です。たとえば、引用部分の冒頭に > を付けたり、回答の文字色を分けたりすることで視認性が高まります。返信を明確に区別することで、相手も読みやすく、誤解が生じにくくなります。

注意点:無理してインラインにこだわらない

すべてのメールがインラインに適しているわけではありません。返信が非常に長くなりそうな場合や、情報が複雑に入り組んでいる場合は、インラインにせず、本文の最後に要点を整理した形で返信するのも有効です。「質問への回答を以下にまとめました」と記載して、箇条書きや見出しを使ってわかりやすく伝える工夫をしましょう。相手にとって読みやすく、返信しやすい形を選ぶことが何より大切です。

実際のインライン返信の例文

例文1:箇条書きに対する返信

例えば、次のようなメールが来たとします。

元となるメール

件名:〇〇プロジェクトの進行について

佐藤さん
お疲れ様です。
〇〇プロジェクトの進捗について質問です。すみませんが、お時間のある時に確認お願いします。

Q1. 先方への資料送付は完了していますか?

Q2. 次回のミーティング日時の調整状況はいかがでしょうか?

Q3. 全体スケジュールは更新されていますか?

よろしくお願いします。

山田

インラインでの解答例

上記のメールのように、あらかじめ質問が箇条書きにされている場合は、質問部分だけをコピー&ペーストし、直下に自分の回答を目立つように記載すると分かりやすい返答になります。自分の回答を赤や太字で記載することで、どこからが回答かが分かりやすくなります。

件名:RE:〇〇プロジェクトの進行について

山田さん
お疲れ様です。
ご質問の件ですが、以下インラインにて回答します。

Q1. 先方への資料送付は完了していますか?
4月10日に送付済みです。受領確認もいただいております。

Q2. 次回のミーティング日時の調整状況はいかがでしょうか?
4月18日(水)14:00〜を第一候補として先方に打診中です。返信があり次第、再度ご連絡します。

Q3. 全体スケジュールは更新されていますか?
最新版を本メールに添付しておりますので、ご確認ください。

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

佐藤

例文2:文中に複数の質問がある場合

元となるメール

件名:電子パンフレットの作成依頼について

〇〇商事
佐藤様

いつも大変お世話になっております。
電子パンフレットについて、初稿をご送付いただきありがとうございます。

リリース原稿について、修正をお願いしたい点を添付のPDFに記載していますのでご確認をお願いします。一部画像についても差し替えをお願いしたく、社内で確認後に送付するようにいたします。

また、ホームページへの掲載日時については、当初5月以降でとお話ししていましたが、前倒して4月25日に掲載することは可能でしょうか?

以上、引き続きよろしくお願いいたします。

株式会社〇〇
広報部 鈴木

インラインでの解答例

上記のように、文中に複数の質問があり、それぞれの質問が明確に区別されていない場合は、「〇〇について」など言葉尻を変えるなどして質問の要点のみを引用することで、メールの文章が冗長になるのを防ぐことができます。ただし、引用文を大きく改変したり、順番を入れ替えたりするのは避けるのが無難です。また、TOやCCに複数の人が含まれているメールの場合は、【佐藤より】など、誰からの回答かを明記することで混乱を避けることができます。

件名:ご依頼いただいた件につきまして

株式会社〇〇
広報部 鈴木様

いつも大変お世話になっております。

ご連絡いただいた件につきまして、以下インラインにて回答いたします。

>リリース原稿の修正について
【佐藤より】ご指摘ありがとうございます。該当箇所を修正し、最新版を本日中にお送りします。

> 画像の差し替えについて
【佐藤より】承知いたしました。新しい画像を受領次第、差し替えたデータを再送いたします。

> 掲載日時の変更
【佐藤より】4月25日配信への変更、承知しました。社内でもスケジュールを調整いたします。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

〇〇商事
佐藤

例文3:文中を丸々引用する場合

たまに、メール本文をそのまま引用する形でインライン返信をする人がいます。こうしたやり方も間違いではありませんが、元々のメールが長い場合、受け取り手がどこに回答があるのかを見つけられない場合があります。そのため、知識として知っておくにとどめて、積極的な利用は避けた方が良いでしょう。

件名:RE: 会議日程につきまして

株式会社〇〇
鈴木様

いつも大変お世話になっております。
以下インラインにて回答いたします。


件名:ご依頼いただいた件につきまして

〇〇商事
佐藤様

お世話になっております。
〇〇プロジェクトの会議について、下記日程のいずれかでお願いしたく、ご確認をお願いいたします。時間は1時間程度を予定しております。

  • 2025年5月1日 11:00〜15:00
  • 2025年5月6日 14:00〜17:00
  • 2025年5月11日 10:00〜12:00

> 5月6日14:00〜15:00もしくは5月11日11:00〜12:00でお願いします。

恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

株式会社〇〇
鈴木

まとめ:インライン返信を上手に活用しよう

インライン返信は、複数の質問や依頼事項に対して的確に答えるための便利なメール手法です。ただし、相手にとって読みやすいよう配慮することが前提となります。

区別がつくように記号を使う、冒頭で「インラインで回答します」と明記する、などの工夫を取り入れて、誤解のない円滑なビジネスコミュニケーションを目指しましょう。

メールの返信ひとつにも相手への思いやりが表れます。丁寧でわかりやすい返信を心がけることが、信頼関係の構築にもつながります。

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