コンプライアンスとは?事例や取り組むべき対策をわかりやすく解説
「コンプライアンスとは?」
「コンプライアンスが必要な理由は?」
「取り組むべきコンプライアンスの対策は?」
このようにお考えではありませんか?
コンプライアンスとは、企業や組織が法令遵守することに加えて、社会的なルールを守り、行動・活動することも求められます。
コンプライアンス違反をSNSで拡散され炎上すると、自社の損失だけでなく消費者や取引先、投資家などからの信用も失ってしまい、多くのビジネスチャンスを失う原因となります。
企業がコンプライアンス対策を徹底するには、効果的な対策を講じる必要があります。この記事では、コンプライアンスを重視する理由や取り組むべき対策などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
コンプライアンスとは
コンプライアンスとは、「法令などに従う」「規則に従う」などの意味である「Comply」に由来する言葉で、一般的には「法令遵守」と訳されます。企業や組織が法令遵守することに加えて、社会的なルールを守り、行動・活動することも求められます。公正かつ透明な経営を行うためには重要な概念です。
日本では、産地偽装事件や粉飾決算、メーカーにおけるリコール隠しなど、企業の不祥事が明らかになり、コンプライアンスが重要視されました。その結果、企業や組織はコンプライアンスを徹底することはもちろんのこと、企業倫理やモラルの遵守も重要となったのです。
企業がコンプライアンスを重視する理由
企業がコンプライアンスを重視する理由は、これまで引き起こされた過去の不祥事問題などが考えられます。近年では個人の情報発信力が高まった結果、SNSが普及するとことにより、SNSでの拡散力が高まりました。
そのため、コンプライアンス違反がSNDで拡散され炎上すると、自社の損失だけでなく消費者や取引先、投資家などからの信用も失ってしまうのです。また、関連企業などにも悪影響を及ぼしてしまい多くのビジネスチャンスを失う原因となるでしょう。最悪の場合、倒産や廃業に追い込まれてしまう恐れもあります。
最悪な事態を回避するためにも、コンプライアンスを重視することが重要です。
具体的なコンプライアンスの違反事例
コンプライアンス違反の事例は、さまざまなケースがあるため、具体的なコンプライアンス違反の事例を6つ紹介します。
労働問題
労働問題のコンプライアンス違反は、労働時間の問題はもちろんのこと、複数の要素が原因となっているケースは珍しくありません。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 残業代未払い、賃金未払い
- 不当解雇
- セクハラ、パワハラなどのハラスメント
- 不適切な時間外労働
- 過重労働
労働者が雇用者から受けた不当な扱いや不利益によって起こった肉体的・精神的な苦痛がこれに該当します。
情報漏えい
情報漏えいは、企業が保有する機密情報や個人情報などを外部に流出すると、重大なコンプライアンス違反となります。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 機密情報をSNSに投稿する
- 顧客の個人情報を流出させる
- 社外秘を家族や友達に共有する
- 仕事などの要件を装った電子メールを使って機密情報を盗む「標的型攻撃」による情報漏えい
また、在宅によるリモートワークの普及により、パソコンや記憶媒体の紛失などによる情報漏えいも注意が必要です。企業がおこなう情報セキュリティ対策に不備があり、情報漏えいを引き起こすと、企業のコンプライアンス意識が問われる結果となります。
不正経理
不正経理は、取引先や関連企業など、広範囲に被害を与えます。会計基準の不適切な運用は、法令違反として処罰される可能性がある内容です。
具体的には、以下のようなものがあります。
- 粉飾決算や横領、着服、キックバック
- 預金・現金の使い込み
- 取引書類や手形・小切手の偽造、
- 経費の水増し
不正経理によりコンプライアンス違反は、企業が受ける打撃も大きいため、最終的には倒産や廃業に至るケースも少なくありません。
不正受給
不正受給は、支給対象の条件や資格がある補助金や助成金を、受給条件や資格を満たさないにも関わらず受給することを指します。
このような不正受給は、法令違反となる処罰を受ける可能性があります。
故意的な事例:景品表示法違反
故意的なコンプライアンス違反は、悪質な行為とみなされるため、発覚した場合のダメージは非常に大きなものになります。企業側は、不正の発覚を恐れるために、さらなる隠ぺい行為や偽装を重ねてしまうと取り返しのつかない結果となるでしょう。
具体的には、誤解を招くような表現を使用した誇大広告は、「景品表示法違反」の罪に問われる可能性があり、コンプライアンス違反に該当します。
過失的な事例:衛生管理・安全管理の不徹底
過失的なコンプライアンス違反は、故意的なコンプライアンス違反とは違い不正の意図が無く発生するケースですが、企業の不祥事として認識されてしまいます。
消費者に向けて開示した情報が誤っていた場合が該当し、具体的には、飲食店や食品の製造、加工などの現場で衛生管理や安全管理の実施状況に不備があるケースが考えられます。
このような場合は、行政から改善指導がおこなわれますが、改善が図られない場合、営業停止や営業禁止などの重い行政処分が下されるケースもあるので注意が必要です。
コンプライアンス研修
企業はCSR(Corporate Social Responsibility)と呼ばれる、社会的責任を果たす必要があります。社員1人1人がモラルやルールに対する意識を高く持ち、社会的規範となる行動をとり、法令順守を推し進めていくことが、組織発展の土台となります。
コンプライアンスとCSRは密接に関連しています。企業がコンプライアンスを重視することは、法律や規制に従い、倫理的な行動を取ることを意味します。コンプライアンスが重視されることで、企業は法的リスクを軽減し、法律違反による罰金や訴訟、業界規制機関からの制裁を回避することができます。また、適切なコンプライアンスは企業の信頼性を高め、顧客や取引先、投資家からの信頼を築くのに役立ちます。
企業が取り組むべきコンプライアンス対策
企業がコンプライアンス対策を徹底するには、どのようなことに取り組むべきなのかを解説します。
チーム・体制の構築や相談窓口の設置
コンプライアンス対策を徹底するには、まずは対策チームや体制を構築しましょう。従業員に対するコンプライアンス教育や社内規則、マニュアルの作成、コンプライアンスに関する意識調査などを実施する体制を整えます。
コンプライアンス違反に対して、早期に対処できるよう、従業員が相談しやすい専用窓口の設置も重要です。相談者は、公益通報者保護法による保護の対象となるため、窓口の運用には、公益通報者保護法に抵触しないように注意してください。
社内に、コンプライアンス対策チームや体制などを構築することにより、コンプライアンス違反を早期に発見し対処できるのはもちろん、未然に防ぐことにもつながります。
社内規則やマニュアルの作成
コンプライアンス違反を未然に防ぐためにも、社内規則やマニュアルなどを作成し、徹底しましょう。遵守すべき主なコンプライアンスは、以下のようなものがあります。
- 不要なデータの持ち出し
- 社内データの目的外での使用禁止
- 各種ハラスメント行為の防止
- 無駄な残業の禁止
- SNSや公共の場での発言 など
また、コンプライアンスプログラムを作成し、ガイドラインや罰則規定などを定めましょう。
作成した社内規則やマニュアルなどは、専門家に監修してもらい運用することが重要です。なかでも法令に関する内容については、法令を正しく解釈し作成されているか、社労士や弁護士などに判断をしてもらう必要があります。
コンプライアンス研修の実施
社内規則やマニュアルだけでは不十分なコンプライアンス違反の問題もあるため、専門家によるセミナーや勉強会などの研修の実施が必要です。コンプライアンスの意識をつねに持ち未然に防ぐためには、継続的な啓発活動も不可欠といえます。
具体的な、コンプライアンス研修内容は、以下のようなものがあります。
- コンプライアンスとは
- コンプライアンスが重要な理由
- コンプライアンス違反となる行動とは
- コンプラン違反を発見した場合の対処法 など
また、過去に発生したコンプライアンス違反の事例なども取り入れて紹介すると、より効果的に社員一人ひとりに考える習慣をつけてもらえるでしょう。
まとめ
この記事ではコンプライアンスとその定義や具体例、対策について説明しました。コンプライアンスは、どの企業や組織も事業をおこなううえで、法令遵守することはもちろんのこと、社会的なルールを守り、行動・活動することも求められます。
そのため、コンプライアンス違反を引き起こすと、自社の損失だけでなく消費者や取引先、投資家などからの信用も失ってしまい、多くのビジネスチャンスを失う原因となりかねません。最悪の場合、倒産や廃業に追い込まれてしまう恐れもあります。
コンプライアンスの正しい意味や企業がコンプライアンスを重視する理由を理解し、コンプライアンス違反によるビジネスチャンスを損失しないよう必要な対策を講じ、未然に防ぎましょう。