フキハラとはなにか?原因や職場への影響、対処方法を解説!
フキハラとは、「不機嫌ハラスメント」の略称で、周囲に不快な思いを与える言動のことを指します。ハラスメントの種類はたくさんありますが、フキハラも意外と職場や家庭など、近くで起こってしまう現象です。
夫婦や親子関係、そして職場でもありえます。本記事では、フキハラについての原因やその後の影響、職場での事例、万が一の対処方法を解説する内容です。
目次
フキハラとはなにか
フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは、不機嫌な態度を周囲にまき散らす行為です。気分が不機嫌になって口調や態度が変わり、周囲に気を遣わせ困らせるような人物のことを指す場合にも用います。
状況にもよりますが、機嫌が悪くなると無視したり、なにかモノにあたることも考えられ、その不機嫌さは連鎖しやすいのが特徴です。
フキハラは職場で無意識に起こる
フキハラを引き起こす場合、多くは無意識な態度で現れています。例えば、体調不良、過労などにより、普段よりも配慮がおろそかになってしまった時は、意図していなくともフキハラの加害者になっているかもしれません。
人間なので誰しも機嫌の良い時・悪い時があるでしょう。その際、自分でもわかっていてコントロールできれば、相手に迷惑をかけることがないはずです。ところが、フキハラは意図しないまま、周囲に影響を与え広がってしまう厄介な性質があります。自分では普段のままのつもりでも、不機嫌な態度を表面化させるからです。
必ずしも周囲の人々が原因ではありません。
にもかかわらず、フキハラが恒常化した人は、周囲に責任を押しつけます。さらには、周囲でさえ、自分に非があるものと錯覚する恐れがある状態です。たった一人の理不尽な感情のために、周りが巻き込まれてしまいます。
フキハラのおもなパターン
フキハラで見られるおもなパターンには、さまざまな状態や動作があります。明らかに不機嫌さを表出させている場合、以下のような傾向があるでしょう。
- 舌打ちする
- 大きな物音を立てる
- ため息をつく
- そっけなく振る舞う
- 八つ当たりする
- にらむ
これらが頻繁に見受けられる人物は、フキハラ気質な人だと考えておきましょう。
また、フキハラでは特定・不特定かでも態度が違ってきます。
特定の人物への態度
- 話しかけても反応しない
- 挨拶を返さない
- 部下や立場が弱い相手にだけ厳しい
不特定多数への態度
- 怒鳴りだす
- モノに八つ当たりする
- 舌打ちや溜息が多い
- わざと音を大きくする
これらは、あくまでも個人的な感情から始まり、周りに伝染します。実際に、職場で、不機嫌な態度や激しく怒鳴りちらす上司が一人いるだけで、ギスギスしているのを感じ取った経験をした人も多いのではないでしょうか。
ハラスメント研修
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詳細・お申し込みはこちらフキハラとパワハラの関係
ハラスメントには他にもいくつか種類があります。パワハラやセクハラなどは頻繁に耳にすることでしょう。
とくに職場で噴出しやすいのは、パワハラ(パワーハラスメント)に発展する可能性です。パワハラの定義は、職場にて肩書きや権力のある人物が、業務範囲を超えた指示や嫌がらせを犯すことを指します。
フキハラによる不機嫌な態度や言動がエスカレートすれば、パワハラへと発展しやすいと考えられるでしょう。また、フキハラと混同されやすいのが、モラハラ(モラルハラスメント)です。モラハラとは、相手の人格を傷つける態度・言動にでてしまい、精神的苦痛を与える行為を指します。
双方には複数の共通点があり、不機嫌な態度が長期間続き強い支配に陥った場合は、フキハラを超えてモラハラに発展しているかもしれません。
フキハラはどうして起こるのか
では、なぜフキハラ気質な人は、不機嫌な状態に陥りやすいのでしょうか。ここでは、フキハラが起こってしまう原因について解説していきましょう。
当人の置かれている環境の悪さ
科学的なことではなく現実的な原因を探るとしたら、フキハラ加害者当人の生活環境に問題があることが推測できるでしょう。まずは、感情のコントロールが上手くできない点があげられます。
ものごとが自分の思うように進まないと苛立ってしまう性格で、ADHD(注意欠如・多動性障害)のような精神疾患も考えられますが、子供の頃からの育ち方や経験による場合もありえるでしょう。また、気持ちに余裕がないまま、無意識に不機嫌な状態へと陥っていることも考えられます。他には、慢性的な体調不良や個人的な事情を抱えていて、つい苛立って相手を不快にさせているかもしれません。
不満や嫉妬も考えられるでしょう。職場でのポジションに不満がある、あるいは転勤や異動によって本来望んだところから離れてしまい、やりがいを見失っていることで焦燥感や嫉妬を抱いている場合もあります。
これらのように、さまざまな要因が潜んでいる可能性があるので、とても一概には言い切れません。
職場でのフキハラの事例
職場にてフキハラが生じる場合、上司や同僚による不機嫌な態度が、周囲に不快さやストレスを与えています。以下のような、職場でのフキハラの事例が該当するでしょう。
無言による圧力
無言なまま不機嫌な態度を示す場合です。部下が報告書を提出しても、何も言わずに突き返してみたり、ため息をついたりします。部下からすれば自分の仕事に迷いが生じて、自信をなくしてしまうかもしれません。
特定人物への嫌がらせ
特定の部下や同僚だけをターゲットに、不機嫌な態度を取っているようならフキハラとして捉えてよいでしょう。他の人々とは良好そうな関係性に見えて、特定の人へは冷たい態度にでてしまいます。
被害を受けた人は、職場での居心地の悪さを感じ始めてしまいます。
ため息や舌打ち
仕事中にため息や舌打ちが目立つようならフキハラに該当します。部下に対してため息をついてから話し出す上司だとしたら、部下は自信をなくしたり萎縮してしまうでしょう。
無視・無反応
まったく挨拶を返さない、話しかけても無視するといった場合はフキハラと考えられます。挨拶を無視されると、嫌われているのではと不安に感じ、精神的に落ち着きません。
フキハラが職場にもたらす影響
フキハラが起きてしまうと、被害を受けた人はメンタルに悪影響をおよぼします。しかしそれだけではなく、職場全体へも深刻な問題を起こしかねません。ここでは、フキハラが職場にもたらす主な影響について解説します。
職場全体の環境が悪化する
フキハラは周囲に伝染しやすいことが特徴です。もし、一人の職場のスタッフによるフキハラがあった場合、その影響は他のスタッフにも及んでしまいかねません。
意識していなくても雰囲気にのまれてしまうのです。例えば、集団イジメというのがありますが、それもたった一人がきっかけとなり周りも同調してしまうためです。職場の場合では、上司のフキハラにより、部下は常に余計な気を遣い萎縮しはじめます。
やがて、部下同士のコミュニケーションも壊れて、チームワークが損なわれるでしょう。互いが冷たい態度を取り合ってしまい、協力して業務をこなすことが困難になってしまうのです。
モチベーションが下がり業績が下がる
職場のフキハラは、各スタッフのモチベーションを低下させ生産性低下を招きます。精神的なストレスにより嫌な空気が漂うので、集中力が低下し報告業務が遅れ、ミスが増えるはずです。
お互いが妙な気を遣い合って、業務に集中できなくなります。当然、商品・サービスの品質が低下して業績が悪化するでしょう。
離職率が上がってしまう
フキハラは職場スタッフへ嫌な空気感を与え、職場自体の雰囲気が悪くなります。結果として、新しい職場を求めて退職する人が増えはじめるでしょう。不快な職場環境に耐えるくらいなら、他の会社へ行ったほうが気が楽です。人によっては、うつ病などのメンタルヘルスでの不調に陥ることもあります。状態がさらに悪くなれば、休職や離職を選択しなくてはなりません。また、優秀な人材ほど、フキハラを悟って早々に離職してしまうはずです。
フキハラの対処方法
フキハラを受けていると感じた場合、あるいは発覚した場合には、そのための対処方法を知って実践することが大切です。考え方としては、個人でできる対処法と、職場全体でできる対処法があります。
個人での対処方法
個人でできる対処としては、シンプルに2つに絞って考えたほうが良いでしょう。以下の2点です。
- 可能な限り距離をおく
- さらに上の役職者や相談窓口に相談する
不機嫌な人には極力近づかないようにし、攻撃の対象にならないようにします。余計な気を遣ってしまうと、相手の思う壺にはまってかえって抜け出せません。
普段も一定の距離を保って、最低限の関わりに留めて連絡も業務連絡だけにします。それでもフキハラが収まらないようなら、その加害者よりもさらに上のポジションの上司に状況を伝えて対応することです。正常な企業であれば、相談に応じてくれるはずです。あるいは、人事部門や社内相談窓口があればそこを頼るのもよいでしょう。ただし、先述したようにフキハラは無意識におこなわれている可能性があります。
必ずしも、相手を悪者にはすることはできません。相手の立場もありセンシティブな事情です。情報は具体的に取りまとめて、明確に伝える必要があります。具体的な被害状況や業務への支障の度合い、他の被害者の有無や協力などを考慮し、複数人による陳述書にして提出するほうが、すみやかに対応してもらえるでしょう。
職場全体での対処方法
フキハラを職場や組織全体として対処するような場合は、以下の内容を考えておきましょう。
- 当人に指導をする
- 業務の指示系統を見直す
- 配置換えする
職場の責任者は、まずは当人への指導を考えることが1つです。
しかしフキハラは自覚がない場合もあり、当人には一切悪気がないことも考えられます。いきなり悪者扱いするのではなく、周囲に及ぼす影響を客観的に伝え、再発防止の指導を促してみましょう。
潜在的な悩みや障害がないかヒアリングして、当人の立場を考えながら話し合います。あくまでも、職場での業務指示の方法に不満を持っている場合、指示系統の見直しが問題解決の糸口になることがあります。業務上でのスタッフへの支持の流れ、適切な方法がなされているかをチェックし、気になる箇所は改善を図ります。概ねの場合、複雑で面倒な業務指示に当人が困惑し、その結果で引き起こされるケースです。業務をシンプルにして一本化を図るなど、臨機応変に考えてみましょう。
それでも修復が難しいようなら、配置換えを検討すべきです。新しい環境に移れば変化もありえます。ただ、移動先でも同じようなフキハラを続けるようであれば、その時は、職場に害をもたらす人物として、別な手段も考えなくてはならないでしょう。
そうならないために、最初の段階にて、当人の悩みや問題に向き合う姿勢が大切です。
フキハラを対処する際の注意点
もし自分がフキハラにあってしまいそうだと感じた場合、事前に注意点を心得ておくことで予防にもなります。ここでは、フキハラ対策の際の注意点について解説しましょう。
我慢しない
フキハラに対する我慢は、決して解決策にはなりません。我慢だけはしないように気をつけてください。
とはいっても、自ら正論や正義心を押し出して解決を図ろうと接触すると、自分自身が次のターゲットになってしまう恐れがあります。一人で強行するのではなく、まずは上司・人事部門・相談窓口などの第三者へ相談しましょう。
余計な気遣いはしない
フキハラをする人をなだめようと気を遣ってしまえば、ますます調子に乗ってコントロールされてしまいかねません。新しいターゲットにされてしまう可能性もあります。あくまでも職場でのフキハラは、余計な気遣いなどせず距離をとるべきでしょう。やがて事態が落ち着くのを、離れた場所から傍観するほうが無難です。
自分に関わることにだけ対処する
フキハラの被害に遭いそうな時は、責任があることだけ対処しましょう。漠然としたかたちで無闇に謝罪する必要はありません。
自分に明確なミスがあるかどうかを判断し、なければ謝る必要はないのです。下手に謝るとかえって調子に乗って、フキハラしやすいターゲットにされてしまいます。もし不備な点があれば、具体的に謝罪することです。
例えば「報告書の提出が遅れて、申し訳ありません」といった、具体的な謝罪をします。自分のミスとは無関係なことには、その点については責任はないが、改善策を一緒に考えてみますと返答することです。
相手の立場を尊重するよう建設的な対話を心がけ、今後同じミスを繰り返さないようアドバイスをもらいたい旨を伝えてみてください。フキハラ気質の人は承認欲求も高めなので、敵ではなく一緒に考えたいといった態度を見せることで、意外と認めてくれることがあります。
まとめ
この記事では、フキハラ(不機嫌ハラスメント)についての詳細を特集してきました。フキハラは、職場の雰囲気を悪くして、業務の生産性を下げるといった悪影響を与えます。
しかも、フキハラをしている本人が無意識な状態であることも考えられ、とてもやっかいな現象です。大切なことは、少しでもフキハラの前兆を感じるようなら我慢をせずに、第三者へ報告し早めの対応をしてもらうようにしましょう。