やさしく学べる！財務三表で読み解く会社のしくみ
数字を見るだけで気が引ける──そんな若手ビジネスパーソンにとって、「財務三表」は悩みのタネかもしれません。
でも安心してください。実は、仕組みさえわかれば、損益計算書も貸借対照表も、キャッシュフロー計算書も、“読む力”がグンと身につきます。
本記事では、財務三表の基本構造から実務での活用までを、やさしく順を追って解説していきます。
本記事では、以下の3つの財務諸表――損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書――の基礎とつながりを、転職に活かす視点で解説していきます。
ビジネスパーソンのための財務諸表分析対策講座 応用編
動画数｜44本 総再生時間｜749分
財務諸表の構造と読み方を基礎から学び、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の実務的な理解を深めます。連結決算や持分法といった高度な会計処理、金融商品取引法や会社法など法制度にも触れ、財務情報の開示目的を体系的に習得。実務事例や演習を通じて、即戦力となる分析力を身につけることを目指します。
動画の試聴はこちら目次
- 損益計算書（P/L）：企業の「儲け」を見る
- 貸借対照表（B/S）：企業の「体力」を見る
- キャッシュフロー計算書（C/F）：企業の「お金の動き」を見る
- 財務三表のつながりを図解で理解する
- 経理未経験者におすすめのeラーニング講座
- 実務で使える「数字のセンス」を磨くトレーニング法
- まとめ：財務三表を知ると、仕事の見え方が変わる
損益計算書（P/L）：企業の「儲け」を見る
損益計算書（Profit and Loss Statement）は、ある期間における企業の収益と費用の結果を示す書類です。
簡単に言えば、「会社はどれくらい売って、どれくらい儲けたのか？」を一目で確認できる表です。
代表的な項目
- 売上高：期間中の売上総額
- 売上原価：商品・サービスの原材料や仕入れコスト
- 営業利益：本業での儲け
- 経常利益：営業利益に営業外収益・費用を加えたもの
- 当期純利益：最終的な利益（税引後）
例：こんな読み方をする
たとえば、ある取引先の「営業利益率」が3年連続で下がっていたら、本業での収益力が落ちている可能性があります。そういった変化に気づけると、提案資料や上司への報告でも説得力が増し、「数字に強い人」として評価されやすくなります。
貸借対照表（B/S）：企業の「体力」を見る
貸借対照表（Balance Sheet）は、企業が「何を持ち」「何を借りているか」「どれだけ自己資本を持っているか」を表す書類です。
簡単に言えば、「この会社の財政状態は健全か？」をチェックするものです。
構成は以下の3つ
- 資産：現金や売上債権、在庫、建物など
- 負債：支払手形や借入金など返済義務のあるもの
- 純資産：資本金、利益剰余金など自己資本
代表的な分析指標
- 自己資本比率：高いほど倒産リスクが低い
- 流動比率：短期の支払能力を測る指標
例：社内で信頼される“数字の見方”
たとえば、貸借対照表を見て「借入が多く、現預金が少ない」場合、キャッシュフローが厳しい状況かもしれません。こうした視点を持っておくと、日々のやり取りや意思決定の場面でも、より現実的で説得力のある判断ができるようになります。
キャッシュフロー計算書（C/F）：企業の「お金の動き」を見る
キャッシュフロー計算書（Cash Flow Statement）は、実際の現金の流れを3つの活動に分けて記載したものです。
- 営業活動によるキャッシュフロー（営業CF）
- 投資活動によるキャッシュフロー（投資CF）
- 財務活動によるキャッシュフロー（財務CF）
この書類の目的は、「会計上は黒字でも、現金は足りているのか？」を判断することです。
重要ポイント
- 営業CFがマイナス続き → 本業の現金収支に問題あり
- 投資CFが大きくマイナス → 成長投資中とも、過剰投資とも取れる
- 財務CFが大きくプラス → 借入や株式発行で資金調達している可能性あり
例：企業分析に活用する
「利益が出ているのになぜ潰れるのか？」と疑問に思ったことはありませんか？ その答えはキャッシュフロー計算書にあります。数字の“つながり”を知ることで、財務の世界が一気に見えてきます。
| 財務諸表 | 主な目的 | 見るべきポイント | 活用される場面 |
|---|---|---|---|
| 損益計算書（P/L） | 利益構造の把握 | 売上総利益、営業利益、当期純利益 | 収益性分析、採算判断 |
| 貸借対照表（B/S） | 財政状態の確認 | 流動比率、自己資本比率、負債構成 | 安全性分析、倒産リスク判断 |
| キャッシュフロー計算書（C/F） | 現金の流れの追跡 | 営業CF、投資CF、財務CF | 資金繰り、黒字倒産の予防 |
財務三表のつながりを図解で理解する
財務三表は、それぞれが独立した書類のように見えますが、実際は密接に連動しています。三表を「点」で覚えるのではなく、「線」でつなぐことが、理解の近道です。
具体例：売上が上がったらどうなる？
たとえば、ある月に売上が急増したとしましょう。すると、
| 影響の起点 | 損益計算書（P/L） | 貸借対照表（B/S） | キャッシュフロー計算書（C/F） |
|---|---|---|---|
| 売上高の増加 | 営業利益↑ 当期純利益↑ |
売掛金↑ 純資産↑ |
営業CF↑ ※未回収なら変化なし |
このように「売上」という1つの数字が、三表すべてに波及するのです。これが財務三表を“つながり”で理解するということです。
視覚的に整理する
理解を助けるために、以下のような図を頭に入れておくと良いでしょう：
もし余裕があれば、自分で企業の決算短信をダウンロードし、「この数字は三表のどこに影響するか？」とマッピングする癖をつけてみてください。
経理未経験者におすすめのeラーニング講座
三表の理解を一段深めるには、eラーニングの活用が非常に効果的です。特に社会人で時間が限られている方や、未経験から経理職を目指す方にとって、自分のペースで学べる環境は欠かせません。
おすすめ講座の特徴
- 図解中心で視覚的にわかりやすい
→ 数字が苦手な人でも、仕組みを感覚的に理解できます。 - 演習付きでアウトプットできる
→ 実際に手を動かすことで、知識が定着します。 - 財務三表の連動性を実例で学べる
→ 例えば「売掛金が回収されなかったらどうなるか」といったシナリオ学習が可能です。
利用シーン
- 通勤中にスマホで15分学習
- 昼休みに1チャプターだけ進める
- 土日を使って集中して1本の講義を完了
未経験からの転職を考えるなら、「財務三表入門」→「財務分析初級」→「決算書の読み方実践」という3ステップのカリキュラムが効果的です。
実務で使える「数字のセンス」を磨くトレーニング法
実際の仕事では、「知っている」だけでなく「使える」ことが大切です。
数字をどう読むか、どう伝えるか。そうしたスキルが、日々の報告や会議の中で評価されるポイントになります。
そこでおすすめしたいのが、「数字を見る習慣」を持つことです。
日常的なトレーニング方法
- 上場企業のIR資料を読む習慣をつける
→ 財務三表がどう構成され、どのように変化しているかがわかります。 - 売上総利益率や自己資本比率を即計算するクセをつける
→ 計算を通じて構造が見えるようになります。 - 「なぜ？」と問いかけるクセを持つ
→ たとえば「利益が上がっているのにキャッシュが減っているのはなぜか？」と考察する力が、経理職としての本質的な力になります。
数字に強い人と思われる！財務三表の伝え方
「財務三表は読めますか？」と聞かれて、「なんとなく…」と答えてしまった経験はありませんか？
若手ビジネスパーソンにとって、財務諸表の知識は上司や先輩との会話・報告・資料作成の場面で一目置かれる力になります。
たとえば、営業成績の報告で「売上は伸びました」だけで終わるのと、「売上総利益率も改善しました」と言えるのとでは、印象がまったく違います。
このように「数字を説明できる力」があるだけで、「この人、ちゃんとわかってるな」と信頼されるのです。
三表の中でも、たとえば：
- 損益計算書は「利益構造を語る力」
- 貸借対照表は「会社の安定性を語る力」
- キャッシュフロー計算書は「資金繰りを語る力」
という具合に、“読んで終わり”ではなく“話せる・使える”ことが差を生みます。
つまり、数字に苦手意識がある人ほど、「伝える練習」こそが最大の成長ポイントです。
まとめ：財務三表を知ると、仕事の見え方が変わる
財務三表は、経理担当だけのものではありません。
若手ビジネスパーソンにとっても、「数字からビジネスを理解する視点」を持つことは、日々の業務の質を大きく変えます。
- 損益計算書で、売上と利益の流れを把握する
- 貸借対照表で、会社の安定性や投資状況を読み取る
- キャッシュフロー計算書で、現金の動きをつかむ
- そして三表のつながりから、全体像を描けるようになる
これらの力が身につけば、会議や報告の場で「数字に強い人」として一目置かれる存在になれます。
最初は苦手でも、基本を押さえれば確実に成長できます。今こそ、“数字を味方にする力”を身につけましょう。
