危険物取扱者の甲種・乙種・丙種の違いとは?選び方も解説

危険物取扱者の甲種・乙種・丙種の違いとは?選び方も解説

危険物取扱者は、化学工場やガソリンスタンド、製造業などで必要とされる国家資格です。
特に「甲種」「乙種」「丙種」と3つの種類があり、それぞれが取り扱える危険物や資格の取得条件に違いがあります。

「どれを取れば良いかわからない…」「転職に有利なのはどれ?」
そんな疑問にお応えすべく、本記事では甲種・乙種・丙種の違いと、目的別のおすすめ資格について徹底的に解説します。
資格取得までの流れや勉強法も紹介しているので、この記事を読めば最適な選択ができるようになります。

目次

危険物取扱者とは?基本概要と資格の重要性

危険物取扱者の役割と業務内容

危険物取扱者とは消防法で定められた危険物の取り扱い・貯蔵・運搬などを安全に行うために必要な国家資格です。

主に以下のような業務に関与します:

  • 危険物の取り扱い・保管・管理
  • 作業現場の安全指導
  • 消防法に基づいた監視業務

法令上の位置づけと必要性

消防法では、一定数量以上の危険物を扱う事業所には有資格者の配置が義務付けられています
そのため、製造業・エネルギー関連・物流など多くの業界で需要があります。

資格取得のメリット

  • 就職・転職で有利(とくに化学・製造系企業)
  • 給与アップや昇進の可能性
  • 安全管理の知識が身につく
  • 企業内評価が向上

甲種・乙種・丙種の違いを徹底比較

まずはそれぞれの違いをひと目で把握できるように、表にまとめます。

危険物取扱者の種類比較表

種類取り扱える危険物試験内容受験資格合格率難易度
甲種全ての危険物(第1〜第6類)法令・物理化学・性質と火災予防理系大卒、実務経験2年以上 など約30%高い
乙種指定した類の危険物のみ(全6種類)法令・物理化学・性質と火災予防誰でも可(制限なし)約40〜60%
丙種第4類の一部(引火性液体のみ)法令・燃焼理論・基礎知識誰でも可(年齢制限もなし)約60%易しい

選び方のポイント

  • 第4類(乙4)は最も需要が高く、転職や実務で有利
  • 第3類・第5類などは危険度が高いため、取り扱う現場が限定的
  • 複数取得することで業務の幅が広がる(例:乙4+乙1)

このように、乙種は単一類ごとの試験合格が必要であり、自分の働く業界・職種に合わせて選ぶことが重要です。
まずは最も汎用性の高い「第4類(乙4)」からの取得がおすすめです。

取り扱える危険物の範囲

  • 甲種:全ての類(第1類〜第6類)
  • 乙種:指定した1つの類のみ(例:乙4は第4類)
  • 丙種:第4類の中でも「引火性液体」の一部のみ(ガソリンなど)

乙種危険物取扱者の6つの種類と特徴【第1類〜第6類】

乙種の資格は、第1類から第6類までに分かれており、それぞれ扱える危険物の種類が異なります
1種類ずつ取得する形式なので、実務や業界ニーズに合った類を選ぶことが重要です。

乙種危険物取扱者の類別比較表

類別名称主な危険物例性質・特徴主な業界例
第1類酸化性固体塩素酸カリウム、硝酸カリウム可燃物と混ざると爆発の危険製薬・研究機関
第2類可燃性固体赤リン、硫黄、マグネシウム加熱や摩擦で発火花火製造、金属加工
第3類自然発火性・水反応性物質黄リン、ナトリウム、カリウム空気や水と反応し発火特殊化学製品
第4類引火性液体ガソリン、灯油、アルコール類最も事故が多く、取り扱い数が多いガソリンスタンド、工場全般
第5類自己反応性物質有機過酸化物、ニトロ化合物温度上昇で爆発の危険性あり塗料・化学合成
第6類酸化性液体過酸化水素、硝酸他物質を酸化させ火災を誘発医療・食品加工

試験内容と形式

試験科目甲種乙種丙種
危険物に関する法令
物理学および化学の基礎知識
危険物の性質・火災予防・消火方法

※丙種は物理・化学の問題がなく、初学者に向いています。

受験資格の違い

  • 甲種:理工系大卒、乙種4類+実務経験2年などの条件あり
  • 乙種・丙種:制限なし(年齢・学歴も不要)

どの資格を取るべき?目的別おすすめの選び方

就職・転職で有利になる資格

  • 製造業・化学業界を志望するなら「乙種第4類」
    → 最も需要が高く、多くの企業が保有を評価
  • 消防設備士や保安監督業務に携わるなら「甲種」
    → 幅広い分野で危険物を取り扱う場合に有利

初心者におすすめの資格

  • 資格試験に自信がない方や現場初心者は「丙種」
    → 出題範囲が狭く、受験資格も不要でチャレンジしやすい

キャリアアップを狙うなら?

  • 乙種で現場経験を積んだあと、甲種を取得
    → 幅広い危険物を扱えるようになるため、管理職や責任者に近づけます

企業が求める資格の傾向

多くの企業では「乙種第4類(通称:乙4)」の保有を必須または推奨しています。
その理由は、ガソリンや灯油などの「引火性液体」は日常的に使用頻度が高く、消防法上の取り扱いリスクが最も大きいためです。

危険物取扱者の種類別:就職・業務対応表

資格種別就ける職種・業種主な職場例担当業務の例備考
甲種危険物全般の管理責任者・指導者化学工場、発電所、プラント、製油所、大手製造業全種類の危険物の取り扱い、安全管理、指導、設備保安最も広範な業務範囲。管理職に最適。
乙1類(酸化性固体)研究職、医薬品製造、爆薬関連医薬品工場、化学分析センター酸化剤を扱う作業、保管・搬送扱う職場は限定的、専門性が高い
乙2類(可燃性固体)火薬・花火製造、金属加工、研究機関花火工場、実験施設、粉体加工現場可燃性粉体の取扱・管理ニッチだが根強い需要あり
乙3類(自然発火性・水反応性物質)特殊化学製品、電池材料工場精密化学工場、金属系製造業空気・水と反応する物質の管理・製造補助危険度が高く高度な知識が必要
乙4類(引火性液体)ガソリンスタンド、運送業、ビル設備管理ガソリンスタンド、工場、消防関係、物流倉庫ガソリン・灯油・アルコール類の取扱・給油・監督最も汎用性が高く需要多数、転職有利
乙5類(自己反応性物質)塗料・ゴム・有機化学製造塗料工場、プラスチック製造工場自己反応性物質の取り扱い・安全指導過熱・衝撃に注意する職場で重要
乙6類(酸化性液体)医薬品・食品添加物・浄水施設医療工場、上下水処理施設、消毒液取扱施設酸化剤(過酸化水素等)の取扱・希釈作業医療・環境関連でも必要とされる
丙種ガソリンスタンド(給油作業のみ)コンビニ併設型SS、セルフ式スタンド給油、容器詰替(簡易作業)取り扱い制限あり。責任者業務不可

資格取得までのステップと勉強法

試験スケジュールと申込方法

おすすめの参考書・講座

独学 vs 講座受講

学習スタイル向いている人特徴
独学費用を抑えたい人書籍や無料コンテンツで自分のペースで学習可能
講座受講短期間で合格したい人講師による解説、質問対応、模試付きなど効率的

合格者の声・失敗しない勉強法

  • 「過去問を3回繰り返しただけで合格!」
  • 「法律問題で引っかかったので重点的に復習した」
    法令と性質は確実に押さえるべきポイント。範囲は広くないが出題が細かいため要注意。

危険物取扱者資格の活用事例と将来性

資格が活かせる業界と職種

  • 製造業(化学・鉄鋼・素材)
  • エネルギー業界(石油・ガス会社)
  • インフラ関連(電力・水道)
  • 消防・保安関連の業務

資格取得による収入アップ例

  • 資格手当(月3,000円〜10,000円)を支給する企業多数
  • 昇進・昇格の条件になるケースもあり

今後の需要と業界トレンド

  • 化学品の輸送・エネルギー供給分野で人材ニーズが拡大中
  • 高齢化により若手の資格保有者が求められている

まとめ

危険物取扱者の甲種・乙種・丙種には、取り扱える物質や受験資格、難易度に明確な違いがあります。

  • まずは「何を目的に資格を取りたいのか」を明確にしましょう。
  • 就職・転職なら「乙4」、安全管理職なら「甲種」、初学者なら「丙種」がおすすめ。

あなたのキャリアや目的に合った資格を選ぶことで、仕事の幅も広がります。
まずは乙種第4類からチャレンジしてみてはいかがでしょうか?